副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第1.5話
〜絵画の魔女、ドロシア・ソーサレス〜



 〜惑星ハーフムーンのとある廃墟〜

「この辺りか、グリルの言うドロシアが封印されている絵がある廃墟は…」
 MTSの首領・マルクは、自分たちの更なる戦力強化のために その昔知り合いでグリルの育ての親であるドロシアの封印を解く為に廃墟に来ていた。
 念動力で瓦礫をどかして絵を探す。そして…。
「…見つけた。この魔女が描かれている絵か…」
 マルクは絵に向かって怪しい呪文を唱えた後、絵を爆破してしまった。すると煙の中からは一人の魔女が現れた。
「……久しぶりだな、マルク」
「ドロシア、今日はある事をしてもらうためにお前の封印を解いたんだ」
「絵の中から見ていたが、ナイトメアは私のことを長い間放置していたようだな。で、頼みたい事とは何だ?」
「ナイトメアは今、星のカービィという星の戦士に倒され、次はこの僕が奴に代わって宇宙を支配しようとしているところなんだ。そこで、ナイトメアによって生み出された多大の魔力を持つお前が必要となったんだ」
「ナイトメアが倒された?馬鹿な事を言うな、そもそも奴を倒す事など…」
「残念ながら本当の話だ、とりあえずまずは僕と一緒に今から僕の作った組織の本拠地『ウィザード・フォートレス』に来てほしい。話はそれからだ」
「ほう…。今は立場上こうお前に従っているが、お前が何を頼もうと私はナイトメアに仕えていた時とは違ってお前とは対等の位置から話すがな、マルク」
「フッ…構わないよ。じゃあ今からこの惑星を一周した後その場所に向かおうか」
 そしてマルクはコウモリの様な姿に体を変化させ、空へ飛び上がった。
 それに続いてドロシアと呼ばれる魔女も飛び上がる。

 〜ウィザード・フォートレス〜

 場面は変わってここはMTS本拠地のウィザード・フォートレス。副官のグリルは司令室にいた。
「陛下と連絡を取った上でカービィの新しいデータも確保できたし、惑星フロリアと惑星アクアリス、惑星メックアイには大量の魔獣と宣戦布告のメッセージを送りつけて制圧もしたし、残った仕事は残りの惑星を支配下に入れる事ぐらいかな。それにしても、今支配した3つの惑星に星の戦士らしい人いなかったし、ちょっと残念だな〜」
 そう独り言を呟いているグリルのところにドロシアを連れてマルクが帰ってきた。
「ただいま、グリル」
「あ、お兄ちゃんお帰り〜!あ、ドロシアも!生きてたんだ〜!二人ともちょっと時間かかったけどどうしたの?」
「最初に言っただろう、しばらく帰ってこれないって…。念のためこの惑星のどこかに星の戦士が潜んでいないか見回っていたんだ。まあ、データにある星の戦士と思われる奴は居なかったし、警戒しすぎていたかな…。それからグリル、お前ちゃんと自分の仕事は済ませておいたのか?勝手な事はしてないよな…?」
「う、うん!陛下とも連絡取ったしすでに惑星3つも支配しちゃったし、片付けられる仕事は全部片付けたつもりよ!私、お兄ちゃんにもっともっと好きになってもらえるように頑張るよ!」
「それでいい。ただ、もし勝手な事をしたり、言う事が聞けないのだったら場合によってはお前を殺すからな…」
「そ、そんなのわかってるわよ!」
 するとドロシアが突然口を開いた。
「そうはさせないよ」
「…ドロシア!…そうか、お前はグリルに味方しているんだっけか」
「ああ、私はこの娘の育ての親であったし、昔この娘と過ごしているうちに情がうつってね…。お前がグリルを殺すようなことがあれば私がお前を殺す…」
「なるほど、グリルが幸せであるのならドロシアも気分がいい、そういうことだろ?」
「私は、グリルの不幸は見たくないからな…。…マルク、今こうしてここにグリルがいるのなら私は『グリルを守るため』にこれから行動するようにする。つまり状況によってはお前の敵にもなるかもしれないが、それでもいいのなら私はここにいてお前の頼みごとは可能な範囲で行うようにするが…」
「わかったよ。じゃあさっき言ったように早速仕事をひとつお前に任せよう。今からお前はお前が持ってるその『魔法の絵筆』を使ってできるだけ各惑星侵攻用の魔獣を量産してほしい。それからこれもさっき話したカービィや星の戦士はグリルの幸せを脅かしている一つの原因なんだ。そしてもし、お前がこの仕事で星の戦士を一人でも殺してくれれば、グリルの障害は一つなくなる。そして僕はドロシアにも感謝する。何よりも、星の戦士が死ぬ事で僕たち二人が幸せになれる世の中に一歩近づく事ができるんだ。そのためにもこの仕事をやってほしい…」
「そうだよ、私が幸せになるためにドロシア、協力してくれるよね?」
 兄妹の頼みごとにドロシアは少し間を空けてこう答えた。
「……いいだろう、マルク。そしてグリル。星の戦士を倒すために協力してやるよ。そもそも今の私にとっては星の戦士はどうでもいい存在…。ただ、星の戦士を殺す事でグリルが幸せになるのなら、私はそのために働いてやろう…」
「やった〜♪♪♪有難う、ドロシア♪さすがだね!」
 ドロシアと呼ばれる魔女を味方につけたMTS。
 カービィたちに、更なる危機が降りかかろうとしていたのであった…………。




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