〜惑星アクアリスのある池のほとり〜
ここはMTSの支配下にある惑星アクアリス。 現在、この惑星では魔獣ハンターの少年・ナックルジョーとMTS副官・グリルによる死闘が行われている最中だった。 「バルカンジャブ!」 ナックルジョーはバルカンジャブを放つが、それをグリルに避けられてしまった。 「(さっきから俺の攻撃は全て奴に避けられるか、防がれてしまう…。どういう事だ…まさか、奴はリーディング能力を持っているのか…?)」 そう思いながらもナックルジョーは攻撃を出し続けるが、全てグリルには当たらない。 「くっ、スマッシュパンチ!」 ナックルジョーはエネルギー弾を拳から撃つ攻撃・スマッシュパンチを繰り出した。 「フンッ!」 グリルはそれを防ぐように掌から火炎弾・フレイムボールを放つ。 ドカーン!!! スマッシュパンチとフレイムボールが激突し、爆発を起こした。 「(この煙の中なら奴は視界がかすんでこちらの攻撃に対応できないはず…)」 そう考えたナックルジョーは黒煙の中でスマッシュパンチを撃つ。しかし…。 「うわあ!くっ…」 吹っ飛んだのはナックルジョーだった。火のような攻撃を受けたらしく、ナックルジョーの服には火が少し燃え移っていた。 「なるほど、スマッシュパンチ…。威力は高いが隙が大きく、連射はできない技ね…。読み取ったとおりだったわ」 「…?」 「貴方はスマッシュパンチを黒煙の中で撃って、視界が暗んでいる私に当てようとしたみたいだけど、私はすでにフレイムボールを2発撃っておいて、1発でスマッシュパンチを破るもの、もう1発はスマッシュパンチが破れて無防備になった貴方に当てるためのものだったんだよね」 「(やはりこちらの行動を全て読んでいたのか、ならば接近戦に…)」 するとナックルジョーはグリルに近づいて掴みかかり、投げ飛ばした。 「巴投げ!」 グリルは地面に叩きつけられるのではなく、華麗に着地した。 「何…?」 「ふん、貴方の行動パターンは全て読めている、今度はこっちの番よ!」 グリルは魔法攻撃から肉弾攻撃に切り替え、ナックルジョーに向かって素早く回し蹴りやパンチを浴びせる。 ナックルジョーは何とかその攻撃を防ぐが、それでも徐々にダメージは蓄積されていった。 「(素早い上になんて重い攻撃なんだ、体に響いてくる…)」 次々と繰り出されるグリルの攻撃の前に、ナックルジョーは防御体勢を崩してしまう。 そのナックルジョーにグリルのミドルキックが炸裂した。 「ぐっ!!」 バシャーーーン!!! その攻撃によって池に吹っ飛ぶナックルジョー。 池自体は浅いので、グリルもナックルジョーを追って池に入る。 「フフフ…池が浅くて水が綺麗だったのが救いだったかもね、もっと私を楽しませてよ♪」 池で肉弾戦を繰り広げる二人。 しかし、ダメージの差の為か次第にナックルジョーが押されていった。 「(…ここは再び距離をとって…)」 そう考えたナックルジョーはジャンプで後ろに下がってグリルのキックを避け、隙をついてスピンキックを放つ。 正確には隙をついたつもりだったが。 だが、グリルの猛攻撃によってナックルジョーにはすでに体力は殆ど残っていなかった。 「スピンキック!!」 「フッ!」 ナックルジョーの渾身のスピンキックをかわし、グリルはフレイムボールを連射した。 「うっ!」 水上での戦いであったため、威力は地上のときよりも落ちているフレイムボールだったが、傷だらけのナックルジョーにとっては大きなダメージとなった。 「これで終わりよ…」 「ぐっ…がはっ…!く、くそっ…」 傷のせいで動けないナックルジョーを置いてグリルは空中に浮かび上がった。 そしてグリルは電気のようなエネルギーを集め始めた。 「ま、まさか…!」 グリルは水の中にいる相手に対し、電撃魔法「サンダーレイン」を放った。 攻撃を避けようとするナックルジョーだったが、間に合わず、高圧の電流が彼を襲った。 バリバリバリバリ…! 「ぐわあぁっ!」 水はよく電気を通す。普通に喰らうよりも倍以上の威力の電撃を受けたナックルジョーは強力な攻撃に耐えられず、水中で気絶してしまった。 「うっ…カ…カービィ…メタ…ナイト…」 ナックルジョーが気を失ったのを見て、彼に勝利したグリルはこう独り言を呟いた。 「う〜ん、これでも手加減はしたんだけどな〜…本当に星の戦士って私よりも弱いんだね♪にしてもこの子は所詮魔獣ハンターだし、魔獣じゃない私には勝てなかったみたいね。この子の処理はどうしようかな〜…そうだ!一応MTSアクアリス支部に持って帰っておこうか!」 グリルは気絶したナックルジョーを念動力で持ち上げ、テレポートである場所に向かった。 〜マルク・ザ・トリックスターズ 惑星アクアリス支部〜 「あっ、グリル様!このとおり私たちがアクアリス支部を建設しておきました」 グリルのことをそう出迎えたのは、マルクによって生み出され、マルク・ザ・トリックスターズに所属する小悪魔・プランクであった。 彼らは大量の数が組織内におり、ハーフムーン本社はもちろんの事、様々な惑星に派遣されていて、主に魔獣の世話や施設内の掃除等、組織内の雑用係を任されている。 「うん、ご苦労様♪」 「それと、グリル様の横で浮いているそいつは…」 「私が狩ってきた星の戦士よ、確か魔獣ハンターのナックルジョーとか言ったっけ」 「い、良いのですか?星の戦士の相手は魔獣たちにさせなくて。勝手な事をするとまたマルク様に…」 「別に私が退屈だったから良いのよ。それにお兄ちゃんだってよく『言うこと聞かなければ殺す』、とか言ってるけど本当は私を愛しまくってるから私のこと殺せるはずも無いんだから♪」 「……。そ、それは置いといて、そいつはどうするんです?すぐに殺さなくていいのですか?」 「ここのアクアリス支部の牢獄に監禁でもしておいて、この子の処理はそのうちお兄ちゃんが決めるだろうし…。私だって本当はすぐにでもこの子の命は奪ってやりたいわよ。それから念のために言うけど、お兄ちゃんには私がナックルジョーを持ってきたという事は言わないでね♪そこら辺の魔獣に倒された、と報告してよ」 「わかりました。では…」 そう言われるとプランクはグリルの念動力から解放され、床に置かれた気絶したナックルジョーを複数の人数でアクアリス支部地下の牢屋まで運んでいった…。 それを見届けたグリルだったが、突然何かを思い出した。 「あっ、いけない!ウィザード・フォートレスに戻って陛下と連絡取らなきゃ!こうしている間に通信が入ってたらどうしよう…!」 グリルは急いでテレポートを使い、ハーフムーンへと帰還するのであった。 |