〜ポップスター・デデデ城〜
「う〜む、なぜ動かないぞい…!」 「おかしいでゲスねぇ〜…私が調べたところ故障ではないようでゲスが…。留守にしているんでゲスかねぇ?」 「留守?」 今日も魔獣をダウンロードするためにMTSを呼び出そうとする デデデとエスカルゴンだったが、デリバリーシステムが玉座のスイッチを何度押しても起動しないため、それに腹を立てていたところだった。 「…おぉ!やっと動いたぞい!」 そしてようやくデリバリーシステムが動き出し、ディスプレイにグリルの姿が写し出された。 「ハァイ♪陛下、ようこ…」 グリルはいつものように話し始めようするが、デデデの怒鳴り声がグリルの声を打ち消した。 「さっきからデリバリーシステムが動かなかったのだがどういう事ぞい!お客様を見捨てるとは何の真似ぞい!」 「ご…ごめんなさい、ちょっと事情があって出かけてたもので…」 「ど、どこに出かけていたのかぞい?」 「水の惑星アクアリスに星の戦士狩りに行ってたんです♪」 「み、水の惑星アクアリス〜?エスカルゴン、それはどこにあるのかぞい?」 「水の惑星アクアリスは、このポップスターから少し離れた場所にある星で、『宇宙の泉』という別名を持つ星でゲス。星の90%が綺麗な水で被われていて、とても美しい惑星らしいんでゲス」 「う〜ん、よくわからんぞい…」 「そりゃ陛下の頭じゃわからないでゲスな」 ドォン! エスカルゴンがそう言うとデデデはエスカルゴンに向かってハンマーを振り下ろした。 「な、何するんでゲスかもう!」 「グリル、星の戦士がどうとか言ったけどそれは何なのかぞい?」 「あ、星の戦士狩りの事ね、実はさっき私はナックルジョーを倒しました!」 「な…ナックルジョーを!!!?」 「陛下、ナックルジョーと言えば…」 「前に最強魔獣マッシャーをカービィと一緒に倒したあいつかぞい?グリルはそれを…」 デデデとエスカルゴンはグリルによってナックルジョーが倒された事を知ると驚いた。 「ピンポ〜ン、正解で〜す♪貴方たちとも会ったことのあるあの子を私は倒してきました〜♪」 「じ、じゃあグリル、お前はナックルジョーよりも強いのかぞい?」 「す、すごいでゲスなぁ〜…」 「それはそうと話が長くなっちゃった!陛下、今日はどんな魔獣を?」 「あ、それなら、今日は何でも良いから強くて安い魔獣を送るぞい!」 「分かりました、それじゃあこんな魔獣はいかがでしょうか?」 グリルによってデリバリーシステムから現れたのは、3つの目玉と4本の腕がある球体の姿を持つ光線魔獣「レーザム」と、その子分である小さな球状の魔獣『レーザーボール」。グリルはその2種類の魔獣の特徴について説明する。 「おっきいのは魔獣レーザム。様々な種類の光線を撃てる上に非常に硬い装甲を持つ強力な魔獣よ。小さくていっぱいいるのは魔獣レーザーボール。レーザムの子分よ。こっちはレーザムほど強くないけど、集団で敵を追い詰めちゃうんです♪素敵でしょう?」 グリルから魔獣について説明されたデデデは、早速レーザムをカービィの元へと向かわせた。 「よし、レーザムとレーザーボールよ、カービィをやっつけてくるぞい!」 「ビギュゥー!!」 「それじゃあ楽しんでくださいね〜♪」 グリルはディスプレイから姿を消す。 レーザムがカービィたちのところへ向かった後、デデデとエスカルゴンはグリルの言っていた事が気になって仕方なかった。 「グリルは本当に自分であのナックルジョーを倒したのかぞい?」 「で、でも、留守にしていた事から本当という可能性もあるでゲスよ…?本当にMTSの謎は深まるばかりでゲスなぁ〜…」 場所は変わってここはププビレッジの町へ向かう途中の草原。 カービィたちは丁度町に向かって歩いているところだった。 そんなカービィ達から数メートルほど離れた上空に、先ほどデデデがMTSに注文したレーザムとレーザーボールがいた。 「ビギュビギュビギュビギュ!」 ビィーーーーッバチバチバチ! レーザムはカービィの存在を確認すると、カービィに向けて電気属性のレーザーを発射した。 「ぽよ〜!!?」 「何!!!!?」 それを浴びてしまったカービィはダメージを受ける。 突然カービィがダメージを受けた事に驚いたフームが辺りを見回すと、上空に浮かぶレーザムとレーザーボールの姿が確認できた。 しかし、レーザムたちのことなど知る由もないフームはその姿を見て驚く。 そしてレーザムの周囲にいるレーザーボール達が次々とレーザーを撃ってきたが、カービィ達はなんとかその攻撃を避ける。 「あ、あれも魔獣…?」 異質な姿に加えてカービィを攻撃してきた球体たちが魔獣ではないかと感じたフーム。 そしてフームは偶然持っていた鉛筆をカービィに投げつけた。 「これは…。カービィ、これを吸い込んで!」 「ぽよ!」 その鉛筆を吸い込んだカービィはニードルカービィになった。 「来て、ワープスター!」 それと同時にフームはワープスターを呼び出そうとする。 しかし、ここでフームはある事に気がついた。 「(そ、そうだ…!ワープスターは確かナイトメアとの戦いでカービィがスターロッドにして消滅させたんだっけ…。でもそうとなるとどうすれば…?)」 カービィは、尚も発射されるレーザーを巧みに避けながらトゲを飛ばしてレーザムを攻撃するも、レーザムは強固な装甲によってトゲ攻撃を防いでしまい、周りを飛ぶレーザーボールはトゲを簡単に避けてしまう。 カービィの攻撃がレーザムに通用していないのを見てフームたちは驚き、焦り始めた。 カービィは何度かトゲを飛ばしてレーザムたちを攻撃するが、その度にレーザムの強固な装甲に防がれたり、レーザーボールには避けられてしまう。 やがてカービィはトゲを全て撃ち尽くし、その上レーザムの攻撃をまともに喰らったことでニードルカービィから元のカービィに戻ってしまった。 その様を見たフームは、どうすれば良いのかと不安を感じた。 そんな時、消滅したはずのワープスターが飛んできたのである。 「え、あれは…ワープスター…?」 「でも姉ちゃん、色がちょっと違うぞ…?」 やってきた新ワープスターは前のワープスターとは違って若干橙の掛かった色をしていたのである。フームはカービィに指示を出した。 「カービィ!あの新しいワープスターに乗って!」 「ぽよ!」 カービィは新ワープスターに乗ると、レーザムの周りを飛行し始めた。 レーザムやレーザーボール達はレーザーを撃って新ワープスターに乗ったカービィを攻撃しようとするが、飛行速度が速くて当てる事ができない。 続けてフームはカービィに指示を出す。 「カービィ!あの魔獣たちが出すレーザーを吸い込んで!」 カービィはレーザーボールが撃ちだしたレーザーを吸い込み、フーム達が今まで見た事のない近未来的なゴーグルを着けた新しい姿になった。 「あのコピー能力は…?」 するとメタナイト卿がそこに現れ、説明した。 「むっ…あれはレーザーカービィ」 「レーザーカービィ?」 「レーザーを真っ直ぐ発射するぐらいの攻撃しかできないが、そのレーザーは弾速が速く、斜面に当てれば反射し、更にはパワーを溜めれば溜めるほど強力になる…!」 レーザーカービィは新型ワープスターに乗って飛び回りながらゴーグルからレーザーを撃ってレーザムたちを攻撃する。 そのレーザーの前にレーザーボールが一体、また一体と次々と倒され、爆破していく。 だが、レーザムにはそこまで効いている様子は無かった。レーザムがカービィに向かってレーザーを撃つ。 カービィはそれをかわしたが、レーザムの撃ったレーザーは斜面に当たって反射し、レーザム自身に命中した。 「ビギューーーーーーッ!」 それを見たフームたちは不思議そうに見ていた。 「え…?姉ちゃん、あいつ、自分で撃ったレーザーで自分がやられてるぞ?」 「そうだ!カービィ、これを利用してあいつを攻撃して!」 それでもレーザムは尚もレーザーを撃ってくるが、斜面によって反射され、自爆する。 それが繰り返される内に、レーザムは跳ね返されたレーザーが何度も自分に当たったことでボロボロの状態になっていった。 最後の力を振り絞ってレーザムは目玉から極太のレーザーをカービィ目掛けて撃ってきた。 カービィはそれに対抗してエネルギーを溜め始めた。 エネルギーチャージが限界になったところで、カービィも極太のレーザーを撃った。 レーザー同士のぶつかり合いとなったが、最終的にはすでにボロボロになっていたレーザムが押し負け、大爆発を起こして倒された。 「やった〜!」 カービィの勝利を見届けたフーム達は喜んだ。 一方こちらデデデ城では、エスカルゴンがデデデにレーザムが倒されたことを報告していた。それを聞いたデデデは驚愕してMTSのグリルを呼び出し、その事をグリルに告げる。 「グリル、レーザムたちが倒されてしまったぞい」 「え、あの魔獣が!?おかしいな〜、お兄ちゃんの自信作だったのに…」 「な、なんか見た事のないコピー能力にやられたんでゲス!」 「また新しいコピー能力が出たの!?う〜ん、お兄ちゃんになんと報告したらいいか…。とにかく、カービィについてはまだ謎が多いという事が分かったし、カービィのデータはまだ調べておいたほうが良いわね…。陛下、報告有難うございました♪」 そういうとグリルは通信を切った。 さらに場面は変わってMTS本拠地ウィザード・フォートレスの社長室。 「なるほど、レーザムが『星のカービィ』によって倒されたのか…」 「そうみたいよ、お兄ちゃん」 「フッ、新しいコピー能力はまだまだ登場しそうだし、僕はこれからも調査を続けようと思う。あの魔獣を倒すとはカービィもなかなかやるじゃないか。それから惑星アクアリスで星の戦士の一人であるナックルジョーが発見されたようだ、報告してくれたプランクは『魔獣によって倒された』と言っていた…。今僕はこいつの処理はどうするべきか考えている…」 「すぐに殺さないの?」 「『すぐに殺す』以外の使い道がないか考えているんだよ、グリル。例えば、拷問をしたりするのも楽しそうじゃないか」 「へぇ〜、やっぱりお兄ちゃんは頭良いんだねぇ〜」 「(お前なんかに褒められても嬉しくないのだが…)」 レーザムが倒された事に驚いたマルクだったが、同時にナックルジョーを捕らえ、目標に一歩近づいた事への喜びもあった。 |