副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第4話
〜逃げてきたローナ女王〜



 ある日のこと、ププビレッジの外れに小さな宇宙船が墜落してきた。
「こっちです、ローナ様…」
「…この星にいるカービィなら、全宇宙をMTSから救ってくれるかもしれない…」
 その宇宙船から出てきたのはピピ惑星の女王ローナとその近衛兵であるヴィー、そしてローナの側近の老人であった。
 ローナとはかつて、旅行でプププランドにやってきたピピ惑星の王女である。だが、現在は即位式を済ませて女王となっていた。
 しかし、なぜローナはまたこの星にやってきたのであろうか…?


 一方、カービィやフーム達は川のほとりにいた。
 いつものようにカービィはブンと一緒に遊んでおり、フームはその近くで読書をしている。
 しかし、フームは何かが気になっている様子だった。
「メタナイト卿の言うとおり、最近の出来事は何かがおかしいわ。デデデとエスカルゴンは村に姿を現さなくなり、玉座の部屋には入れてくれなくなったし、その代わりに魔獣のような敵が現れたり…」
 そんなフーム達のところに先ほどこの星のやってきたローナ達がやってきた。
「ロ、ローナ様、あの方達では?」
「あれは、カービィ!」
「ね、姉ちゃん、あれって…」
「ああ!貴方は…ローナ!」
「フーム!それにブンも!」
「ねぇ、どうして貴方はここに?」
「私達がここにきた理由は、貴方達の城で詳しくお話します」

 〜デデデ城・フームの部屋〜

「ローナ、貴方達は何故この星に?」
 部屋に入るとフームは、早速ローナに再びこの星にきた理由を聞く。
「私達は逃げてきたのです」
「に…逃げてきた?」
「魔導組織マルク・ザ・トリックスターズの襲撃から…」
 ローナのその発言にフーム達は首を傾げた。
「ま…魔導組織マルク・ザ・トリックスターズ…?」
「何だ、それ?」
 そう聞かれたローナはマルク・ザ・トリックスターズのことについて説明し始めた。
「マルク・ザ・トリックスターズ、通称MTS。宇宙の支配者・ナイトメアが滅びてから数ヵ月後に誕生したらしいホーリーナイトメア社と同じく宇宙を支配しようとしている悪の組織です。 私達の星は、組織が作り出したと思われる魔獣達の襲撃に遭い、反撃もできずに星を支配されてしまい、星の民は現在私達3人を除いて全て洗脳されて組織のほうに…」
「そんなことがあったの…。でも、そのマルク・ザ・トリックスターズって言うのは、まさかここのところ起きている事件に関係が…?」
 ローナの発言から嫌な予感を感じ取ったカービィ達であった。


 こちらはデデデ城の玉座の部屋。
 今日もデデデはデリバリーシステムを使ってMTSから魔獣を購入しようとしていた。
 ディスプレイにグリルの姿が映った。
「あ、陛下!今日は重大なお知らせがあります!」
「重大なお知らせ?」
「私のお兄ちゃんが貴方と直接お話をしたいそうなので、貴方自身がエスカルゴン閣下と一緒にそのデリバリーシステムでこっちのMTS本社に来ていただけませんか?」
「そんなことより魔獣をよこすぞい!」
「魔獣の話はそれからよ。とにかくデリバリーシステムからこちらの本社に…」
「これが済めば新しい魔獣をくれるのかぞい?」
「もちろんです♪ではデリバリーシステムの中に…」
 デデデとエスカルゴンはデリバリーシステムに自分達が入り、消えていった。


 〜ウィザード・フォートレス 司令室〜

「ん、ここはどこぞい…?」
 デリバリーシステムによって惑星ハーフムーンにあるMTSの本拠地にやって来たデデデとエスカルゴン。
 その二人を出迎えたのはマルク兄妹だった。
「ようこそ、我がMTS本社へ…」
「お前は誰ぞい?」
「私が、MTSの社長であるマルクです。グリル、お前は陛下と閣下のお茶を用意しろ」
「うん♪分かったよ、お兄ちゃん」
「グリルの言ってたお兄ちゃんとは…」
「貴方の事なんでゲスか?」
「そういうことになりますね。とりあえず、私と一緒に我が本社の応接室に来てください」
「は、はぁ…」
 何がなんだか訳の分からないうちにデデデとエスカルゴンはMTS本社の応接室に行くこととなった。

 〜ウィザード・フォートレス 応接室〜

「改めて自己紹介を。私がマルク、MTSの社長です。グリルからも聞いたと思いますが、我々は敵対する、もしくはライバル心を持っている者を倒したいという方に対して優しく接し、その方に魔獣を与えて手助けをすることを目的とした会社なのです。 ですから我々は調査の末に陛下が『星のカービィ』と呼ばれる戦士に対してライバル心を持っていることに気づき、あなた方をお客様として迎え入れたのです」
 デデデはエスカルゴンに小声で話しかけた。
「なんか、言ってる事が難しくてよくわからんぞい…」
「陛下、おとなしく話を聞いているでゲスよ」
「それから私達は、あなた方以外の方、特にあなた方と敵対している星のカービィ、そして星のカービィと親しい者達にはこうして私達と陛下が繋がりを持っていることを知られたくないので、事前にあなた方の城のデリバリーシステムの部屋には特殊な魔法をかけてあなた方二人以外の出入りをさせないのはもちろん、話し声も外に聞こえないようにしてあります」
「い、いつの間にそんな細工をしたのでゲスか?」
「私どもとしては極秘で活動をしていきたいもので、そうしました。それからあなた方二人にも私達と繋がりを持っている事を口走らないようにその事を話そうとすると口が自然と動かなくなるような魔法をかけてあります」
「だ、だから何を言っているのか分からないぞい…」
「つまり、陛下はHN社と付き合っていたときのような失敗をしてはいけないと言う事でゲス」
 そう話しているとき、突如司令室に通信が入った。
「すいません、何か通信がきたようです。私は司令室に行きますが、あなた方もポップスターに帰りますか?話す事はもう全て話しましたから…。それに、今日は軽く挨拶をしたかっただけでしたので…」
「え、もう終わりなのかぞい?じ、じゃあ早く帰りたいぞい」
「わかりました」
 そう言って応接室から司令室に向かった3人であった…。

 〜ウィザード・フォートレス司令室〜

 デデデとエスカルゴンをデリバリーシステムでポップスターに帰したマルク。そして通信に応答する。
「マルクだ。ピピ惑星支部か…。何!?女王ローナとその側近2人を取り逃がしただと?!お前達、何をやっているんだ!?奴らはカービィ達と接触した事があるから確実に捕らえておけと言っただろぉ!もし仮に奴らがポップスターに逃げたのだとしたら、そのときはカービィ達に僕達の存在が知られてしまうだろうが!!くっ…念のために奴らを始末するための魔獣をデデデ陛下を通してポップスターに送り込め、グリルぅ!!」
「う、うん!」
 ローナが逃げた事に激怒し、焦り始めていたマルクを見てグリルは急いでデデデと通信をする準備を始めた。


 〜ポップスター・ププビレッジ デデデ城〜

 デデデとエスカルゴンはマルクとの話が済んでデリバリーシステムによってポップスターに帰ってきていた。
 だが、すぐに通信が入り、デリバリーシステムが起動した。
「あれ、いつもはこっちから通信を入れるのに今日はあっちから来たぞい」
 そして、ディスプレイにグリルの姿が映し出される。
「陛下陛下、大変!今すごく大変な事が起こってるから魔獣を早く買って!」
「わかったぞい!この前のレーザムみたいに頑丈な魔獣を頼むぞい!」
「OK!じゃあ今すぐそっちにそのような魔獣を送るね!」
 デリバリーシステムから現れたのは、頑丈な鎧に身を包んだ魔獣だった。
「鋼鉄魔獣アイアンマムよ、今私は急いでるからどんな能力を持ってるかはお楽しみね♪」
「アイアンマム、カービィをやっつけに行くぞい!」
「アイアンマ〜ム!!」
 アイアンマムはかつてのマッシャーのように城の一部を破壊しながら本来のターゲットであるローナ達を探し始めた。
 そして、デデデはまたしても疑問を抱いていた。
「グリルは今なぜあんなに焦っていたのかぞい?」
「何かとんでもない事が起きたのではないでゲしょうか…」


 カービィ達はローナからMTSの詳細を聞き、不安になっていた。そしてローナがまた口を開いた。
「ここにもすでにMTSの魔の手がのびているのなら私達もこのププビレッジには長くいられません。私達はこの星のどこかの国に逃げようと思います。この惑星ならまだ全てがMTSの支配下ではなさそうですし…」
「ど、どうして?他の星はダメなの?」
「MTSは情報を知っていてカービィと親しい私達を必ず殺そうとします。ですが、ピピ惑星以外の惑星も殆どがMTSに支配されていると聞きましたし…」
「姉ちゃん、て言うことは…」
「宇宙を渡り歩いているナックルジョー達が危ない!!」
 そのような会話をしているときに突然大きな物音がした。
 ドゴォォォォン!
「な、何の音かしら?」
「姉ちゃん、外に出てみようぜ!」
「ぽよっ!」
「ローナ達はここにいて!」

 カービィ達が城の外に出ると城の前の平原に鎧の塊のような魔獣がいた。
「あれは…ローナの言っていたMTSの魔獣?」
「アイアンマ〜ム!!」
 カービィ達に気付いたその魔獣は突然鉄球のような手によるパンチを繰り出してきた。
「うわああ!」
 カービィ達はなんとかそれを避ける。しかしそのパンチの威力は相当なもので、当たった地面にはヒビが入っていた。
 自分達の周囲にカービィがコピー能力を得る事ができそうな物がないか探していたフーム達だが、運悪く何も見つからなかった。
 そんなフーム達の元にメタナイト卿と、メタナイトの部下であるソードナイトとブレイドナイトが駆けつけた。
「カービィ!」
 ソードナイトが自分の剣をカービィに投げつける。それを吸い込んだカービィはソードカービィとなる。
 ソードカービィは敵のパンチ攻撃をかわし、ソードビームを放つ。
 しかし、アイアンマムの頑丈な鎧には通用しなかった。
 するとアイアンマムは重い体を使った押し潰し攻撃をしようと、大ジャンプをした後にものすごい勢いで空中から急降下してきた。
 カービィはその押し潰し攻撃を避けたが、その際に出た衝撃波によって吹っ飛ばされてしまい、持っていた剣も折られてしまった。
「カービィ、これを使え!」
 メタナイト卿がそう言ってカービィに投げたのは、自身が使う剣である宝剣ギャラクシアであった。
 カービィはそれを受け取り、すぐさま反撃に転じようとする。
「来て、ワープスター!!」
 フームは新ワープスターを呼び出す。
 カービィは新ワープスターに乗り、ギャラクシアソードビームを撃つが、やはり鋼鉄の体を持つアイアンマムには効果がない。
 アイアンマムが空中のカービィを狙ってパンチを放つ。アイアンマムの手は飛び道具にもなる優れた手なのである。
 カービィはそれを避け、誰も見た事のない技を発動した。
 その新必殺技は大きな竜巻を敵に向かって飛ばすというもの。
 それを見たメタナイト卿は説明をした。
「あの技は、竜巻斬り!」
「竜巻斬り?」
「あれは、ギャラクシアに宿るパワーを使って巨大な竜巻を放つ必殺技…。あの技であれば、ギャラクシアソードビームが通じないあの敵にもダメージを与える事ができるかもしれない…!」
 カービィによってギャラクシアから放たれた竜巻斬りはアイアンマムの手を破壊し、アイアンマム本体にも直撃した。
「グォアアアアアアアア!」
 アイアンマムは声を上げると大爆発を起こして倒された。
 そしてカービィの勝利を見て喜ぶフーム達。
 するとメタナイト卿からある話を聞かされた。
「今、私達で陛下が何をしているのか様子を見に行こうと思ったのだが、どうしたことか何か結界のようなものが張られているようで扉を開けることすらできないのだ…」
「どういうことなの…?」
「分からない。だが、謎の敵は私達には自分達が何をしているのか知られたくないように見える…」
 ますます不安になったフーム達だったが、そこに城の中にいたローナがやって来た。
「フーム、ブン!」
「ローナ!」
「城から見ていましたよ、カービィ、本当に強いんですね」
「ぽよ!」
 その後、ローナはMTSから逃げるためにフーム達の静止を聞かず、プププランドを離れて別の国へと旅立った…。


 場面は変わってウィザード・フォートレス司令室。
 デデデからアイアンマムが倒された上でローナも存在していたという報告を聞いたグリルは、さらにマルクに伝えた。
「クソッ、やられた!ローナは始末する事ができなかったし、その上アイアンマムはカービィに倒された。おまけに宝剣ギャラクシアによる新必殺技だと!!?なぜ僕の思い通りにならないんだ!?そしてローナの奴がいるということは、僕達の存在がカービィ達に知れ渡った可能性がある…!全て台無しだ!!!!!」
「お兄ちゃん…」
 様々な失敗が重なって怒っているマルクにグリルは声を掛ける事ができなかった。
 マルクは怒鳴った後にしばらく間を空けてこう話した。
「…グリル。ナックルジョー以外の星の戦士は捕まっているのか?」
「え?各惑星からそんな報告はまだ来ていないけど…」
「じゃあ前以上に徹底的に警備を強化して必ず探し出し、魔獣を使って一刻も早く捕らえるんだ。今、僕は奴らを『すぐに殺す』以外のいい使い道を考えているからな…。フフフフフフ…ハハハハハハハハ…」
 捕らえた星の戦士達の処理に関してどのような事を考えたのかは不明だが、その考えによって高笑いをしているマルクなのであった。




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