副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第6話
〜魔獣ラブリー、再び!?〜



 デデデは今日もカービィを倒すための魔獣を買うためにデリバリーシステムを起動した。
「ハァイ、陛下♪今日はどうするの?」
「グリルよ、今日はあれ、あれをするぞい」
「あれ?何の事ですか?」
「あれぞい!ほら、こっちのものを魔獣化させるという…」
「あ、あれの事ね♪わかりました、じゃあどこかに魔獣が現れるので待っててくださいね♪」
「あの〜、陛下?」
「なんぞい?」
「あのいい加減な黒い雷に頼ってて良いのでゲしょうか?現れる魔獣の強さは指定できないのに…」
「これがタダと聞いたら使わないわけにはいかないぞい」
 再びあの黒い雷をMTSに頼んだデデデ。はたしてどんな魔獣が現れるのであろうか…。


 〜ウィザード・フォートレス 司令室〜

 グリルはデデデとの通信を終えると星の戦士狩りの準備を始めた。
「さあ、陛下とお話しするのも終わったし、お兄ちゃんに内緒で星の戦士狩りに行って来ようかな。お兄ちゃんにあの『素敵な計画』を実行させるためにもね。ドロシア、いつものように私が出掛けたのはお兄ちゃんには内緒にしておいて。じゃあ陛下からの報告が来た後に私はすぐに出かけるね♪」
「(『素敵な計画』…。マルク、奴は一体何を考えているんだ…)」
 ドロシアはグリルの言っていた『素敵な計画』のことが気になり、マルクに聞くことにした。


 カービィ達はウィスピーの森にやってきて、ウィスピーやそこに住んでいるファンファン、他の動物達と遊んでいた。
 そしてその近くには一輪のバラが咲いていた。
 しかしそんなとき、またしても空からゴロゴロという音がしたのだ。
 怪しいと思ったフームはファンファンや動物達に避難するように呼びかけた。
 まもなく、黒い雷が落ちてきた。カービィ達は自分達のすぐ近くに雷が落ちてきたので驚いて飛び跳ねた。
「わっ!!」
 どうやらウィスピーの近くのバラに落ちたようで、バラが怪しい黒い光を放っていた。
「姉ちゃん、あのバラが…」
「バラ…?」
 雷に撃たれたバラは巨大化し、凶悪な姿となった。ウィスピーはその姿をみて何かを思い出した。
「ラ…ラブリー…?」
 それに続いてフームもこう呟く。
「ラ、ラブリーに似ている…」
 マルクが放った黒い雷を浴びたバラは、かつてウィスピーの森に咲いていた花が魔獣化した物であるラブリーに似た姿の魔獣になったのだ。
「みんな、下がれ!」
 ウィスピーはカービィ達にそう呼びかけ、自分の後ろにカービィ達を隠した。
「ギシャアアアア!」
 ラブリーによく似たバラの魔獣は鋭利な蔦を伸ばしてウィスピーにそれを突き刺した。
「ぐっ…!」
「ウィスピー!」
「ぐ、ぐおぉぉぉ…」
 バラの魔獣に蔦に刺されたウィスピーは、突然カービィ達を根で攻撃して跳ね飛ばした。
「うあ!」
 そのウィスピーは葉の色が毒々しい紫色に染まっていた。
 どうやらバラの魔獣によって何かをされたらしく、続けてカービィ達を根で攻撃してきた。
「ウィスピー、一体どうしちゃったの?」
 フームがそう呼びかけるが、ウィスピーの攻撃が止む事はなかった。
 ウィスピーの根による攻撃から逃げるのがやっとなカービィ達に向かって、バラの魔獣は頭部から消化液を飛ばしてきた。
 カービィ達はそれも何とか避けたが、地面が蒸気を上げて溶け出していた。
「!!」
 バラの魔獣とそれに操られるウィスピーの攻撃の前にカービィ達は追い詰められていった。
 フームとブンはカービィがコピー能力を得られそうなものを探すが、何も見つからない。
 そんな中でもバラの魔獣とウィスピーの攻撃は激しさを増すばかりで、カービィ達にとって非常に危険な状況となっていた。
 すると、操られているウィスピーが口から小さな竜巻を飛ばしてきた。
 ブンはそれを見てカービィに命令しようとした。
「カービィ、あの竜巻なら…」
 それに対してフームは注意をした。
「ブン!カービィが今あれを吸い込んでトルネイドカービィになったら、あの魔獣だけじゃなくウィスピーや周りの植物まで巻き込んじゃうでしょ!」
「あぁ、そうか…。て、姉ちゃん注意している場合じゃ…」
 フームとブンが言い合いをしている間にもバラの魔獣とウィスピーの攻撃は続く。
 バラの魔獣が粘液を飛ばし、カービィがそれを浴びて動けなくなってしまい、蔦に捕まってしまった。
「ぽよ〜!!」
「キシャアァァァ…」
 蔦でカービィを捕まえたバラの魔獣は頭部をカービィに近づけた。
「あいつ、カービィを食べる気なのか…?」
「カービィ!」
 危機に陥ったカービィだが、息を深く吸った後に口から空気弾を吐き出した。
 ボンッ!
「グシュゥゥゥ!」
 空気弾が命中して怯んだバラの魔獣はそのせいで蔦からカービィを放してしまった。
 それでもバラの魔獣は悪あがきとしてラブリーも使った花弁のカッターを飛ばしてきた。
「カービィ、あのカッターを吸い込んで!」
 フームはカービィの命令をすると、カービィはそのカッターを吸い込んでカッターカービィとなった。
「フンッ!!」
 バラの魔獣に操られているウィスピーは頭の葉から紫色の毒リンゴをカービィに向かってぶつけてきた。
 カービィはカッターブーメランでそれを切り裂いて防ぐ。
 バラの魔獣も蔦でもう一度カービィを捕まえようと襲ってきたが、カービィはカッターをナイフのようにして使う近距離用の技「カッター滅多切り」で一掃した。
 蔦がなくなって無防備となったバラの魔獣に向かってカービィは普通のカッターよりも強力なカッターを投げる新技「貫通カッター」を放った。
 ズバッ!!!
「ギャアアアア!」
 それを喰らったバラの魔獣は体を切り裂かれ、爆発を起こして倒された。
「…ん?さっきまで何をしていたんだ…?」
 バラの魔獣が倒された事により正気に戻ったウィスピーは、カービィ達に何が起きていたのか聞いた。
「ウィスピー、あなた変な怪物に操られていたのよ」
「カービィや俺達を攻撃してきてびっくりしたぜ」
「またカービィに助けられたのか…。何と言ったら良いか…すまなかったな、カービィ」
「気にする事ないのよ、貴方が悪いわけじゃないんだし…」
「ぽよ!」
 一時的に逃げていたファンファンや動物達もやってきて、カービィやブンと一緒に遊び始めた。
 その様子を見てほっとしていたフームだった。


 一方デデデは自分達がいなかったところに魔獣が現れたのを知らずに、グリルに魔獣がいつまでたっても現れないと文句を言っていた。
「いつまでたっても魔獣が出てこないぞい」
「陛下があの黒い雷を使うっていったんでゲしょうが…」
「いつまでたっても出ないというのはおかしいな〜。陛下の知らないところで魔獣が出たかもしれないね〜…。とにかく報告有難うございます、次は不満なら黒い雷じゃなくちゃんとした魔獣を買ったほうが良いと思いますよ♪」
 グリルはデデデとの通信を切り、ディスプレイから姿を消した。


 ウィザード・フォートレスの司令室ではグリルが出かける準備を終え、テレポートで消えたところだった。
 社長室では、ドロシアがマルクからグリルの言う『素敵な計画』のことについて聞いていた。
「グリルの言っていた『素敵な計画』の内容というのは、捕まえた星の戦士を洗脳して僕らの配下の魔獣にし、カービィ達と戦わせるという僕の作戦だよ」
「お前は昔同じような作戦をHN社にいたときナイトメアに提案していたな」
「まあね。そのときナイトメアは表向きは知略の方にも長けていると銀河戦士団から恐れられてはいたが、そのような作戦は裏で全て僕が作ったものだから、実際に知略に長けていたのはこの僕だったんだ。僕はあの時はナイトメアの頭脳として、彼を実は裏から操っていたんだ。関係はないが僕はお前やナイトメアが見てないところでも様々な星の戦士、特に銀河戦士団のすぐれた戦士の死に関わっている。ジェクラ以外にはガールードの死にもね。このガールードの死に僕が関わっているという話は、お前やナイトメアはもちろん、メタナイト卿、他の戦士団員、そして意思を持つ宝剣ギャラクシアも知らないことなんだ。今すぐここで聞くか、ドロシア?」
「私も知らない事実か……ああ、聞かせてもらおう」
「歴史ではメタナイト卿と共にHN社に宝剣ギャラクシアを奪い返しに出動したガールードは、そこの洞窟でキリサキンに斬殺されたということになっているが、実はガールードはこのときはまだ生きていたんだ」
「…!」
「そう、深い傷を負っただけでまだ死んではいなかった。彼女は大怪我をした自分が仲間達の足を引っ張るのではないかと感じ、メタナイト卿の前では遺言として『自分の遺体を持ち帰らぬように』という言葉を残して息絶えたように見せかけた。メタナイト卿がその場を去った後、彼女は宇宙船を使って物資補給をして手助けをした僕のところへやってきたのだ。ガールードは僕にこれまでのことを全て話し、治療のためにここで休ませてほしいと頼んできた。僕はそれを受け入れ、家で彼女を休ませることにした…。そのとき僕は、こいつは弱ってるようだしここで殺しておいたほうがいいと考えた。そして、奴が僕に水を用意してほしいと頼んできたときに僕は…」
「ガールードを殺したということか」
「そういうことだ」
「お前はずいぶんと卑劣な事もやってのけるのだな」
「邪魔者を消すためにはこれぐらいのことはしないとね。話が随分と逸れたが、『素敵な計画』実行のためにも、お前もその魔法の絵筆で各惑星に配備する魔獣を量産しておいてくれ。それとグリルにはあまり勝手な事はしないように指示しておくことだ」
「…わかった、そのつもりでいる(やり方が卑劣とはいえ面白い話を聞かせてもらったぞマルク。お前は銀河戦士団に所属する多くの実力に優れた戦士達の死に関わっていたのか…。では銀河最強と言われた『あいつ』が行方不明になったのもお前が…。いや、まだ確信したわけではないがな…)。」
 そう心の中で考えたドロシアだったが、彼女の言う『あいつ』とは誰の事を指しているのかは謎であった…。


 〜惑星メックアイ 廃ビル街〜

 ここはMTSの支配下にある機械の惑星メックアイ。
 地表の大半がビル街とコンビナートで覆われており、機械化されている産業と工業の惑星である。
 その廃墟となったビル街で魔獣達と戦っていた少女がいた。
 彼女の名はシリカ。彼女は以前メタナイト卿を殺して宝剣ギャラクシアを奪うためにププビレッジにやってきた女戦士。
 彼女はナックルジョーやオーサー卿といったメンバーと同じく、様々な惑星を飛び回ってHN社の生き残りの魔獣と戦っていた。
「ふっ!」
 彼女の持つ改造銃によって魔獣達は一匹、二匹、と次々に倒されていく。
 そんな彼女の前に帽子をかぶった魔法使いが現れる。
 その魔法使いは手を叩きながら魔獣達とシリカに近づいてきた。
「はい終了、終了〜!そこまでよ」
「?」
 その魔法使いがそう言うと、周りの魔獣達はシリカに対しての攻撃を止めた。
 魔獣達を大人しくさせた魔法使いのことをシリカは不審に思い、愛用の改造銃をグリルに向けながら口を開いた。
「お前は一体何者だ、なぜ魔獣達をこう大人しくさせることができたんだ?」
「私?私はグリルって言うの。今私は急いでいるからここで貴方を倒してやろうかと考えているの」
「急いでいるならどうして私と戦うんだ?何が目的なのか答えろ。返答によってはここでお前を叩き潰す」
「私はお兄ちゃんの『素敵な計画』のための材料を集めているの。それ以外の詳しいことは言えないわ。どう?戦う気になった?言っておくけど私は『宇宙で2番目に強い存在』だから、貴方ごときが私を叩き潰すなんて無理だと思うけど?」
「ほう、『宇宙で2番目に強い存在』か…。その言葉が嘘でないかどうか戦って確かめてやろう」
 自分の挑発に対してのシリカの強気な態度を見たグリルはニコッと微笑み、魔獣達に指示を出した。
「気に入ったわ。悪いけどあんた達は邪魔だからどこか好きな場所に行ってていいわよ。これはあの子と私の戦いなんだから」
 グリルに命令された魔獣達はそれぞれ別の場所に行ってしまった。
「これで私と貴方を邪魔するものはいなくなったわ。それじゃあ始めましょう」
「ああ、言っておくが私はお前に何があっても手加減だけはしないからな」
 惑星メックアイの廃墟を舞台に始まった戦闘。戦いに勝つのはどちらなのか…?




[前の話へ] [次の話へ]
[アニメ版星のカービィ 第2期予想小説・目次に戻る]
[ホームへ戻る]