副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第7話
〜仮面を被りし2匹の魔獣〜



 〜惑星メックアイ〜

 ここ惑星メックアイの廃ビル街では現在、銀河戦士団の一員だったガールードの娘である女戦士のシリカとMTSの副官グリルの二人による激しい戦いの真っ最中だった。
「ふっ!」
 シリカは愛用の改造銃をミサイルランチャーのモードにしてグリルに向かって連射をした。
 しかし、グリルはミサイルの爆炎に怯みもせずにシリカに接近してくる。
 グリルはシリカの目の前まで接近し、喋りながら彼女の頬をはたいて吹っ飛ばした。
「そんな武器で私を倒せると思ったの?」
「ぐっ!」
 はたくだけでシリカを簡単に吹っ飛ばしてしまったグリル。
 吹っ飛ばされたシリカに次々と攻撃を加えていく。
 シリカは攻撃されてもよろけず、改造銃から接近戦用のナイフを伸ばしてグリルに斬りかかった。
「たあぁっ!」
 グリルはそれを予知していたかのように魔法で箒を出現させ、シリカの攻撃を受け止め、弾いた。
「何ッ!?」
「貴方の動きは全て読めてるのよ」
 シリカは態勢を立て直して改造銃をグリルに向かって構える。
 そんなシリカに対してグリルは不気味な笑みを浮かべた。
「そういえばあんたよりも前に私はすでに一人星の戦士を倒しているんだよね〜、フフフ…」
「何だと!?その戦士とは一体…?」
「さあね、私達の目的が今何かは貴方に教える必要はないわ、だって貴方はここで私にやられちゃうんだもの」
「貴様…!」
 怒ったシリカは改造銃のモードを火炎放射器に換えてそれでグリルを撃とうとした。しかし…。
「まあそんなに怒らないでよ♪」
 自分の発言に怒ったシリカを軽くあしらい、グリルはよそ見しながらフレイムボールをシリカのいる方向とは別の方向に放った。
「?」
 最初はグリルが何をしたのか分からなかったシリカだったが、すぐに状況を把握できた。
 なんとグリルはフレイムボールをシリカのすぐ横の廃ビルにぶつけたのだ。
 そしてフレイムボールの爆発によってシリカの真横にあったビルが倒れてきた。
「あっ!」
 シリカはかつてデデデ城でソードナイトやブレイドナイトと戦ったときに真上から落ちてきたシャンデリアを避けるのと同じように、倒れてきたビルを避けた。
「うわあっ!」
 だが直撃からは逃れたものの、シリカはビルが倒れた事によって起きた爆発の爆風によって吹っ飛ばさてしまう。
「うぐっ!」
 グリルもその爆発に怯んでいるようだった。シリカはそのチャンスを見逃さず、再び態勢を立て直してミサイルランチャーでグリルを撃った。
 ドカーン!
「ううん…」
 シリカの撃った弾はグリルに命中した。だがグリルは倒れず、笑みを浮かべながらシリカのことを褒めた。
「へぇ…私に攻撃を当てることができるなんてあんたやるじゃない。前戦った子は私にダメージを与える事すらできなかったのに。まあグリルとしても強いほうがある程度は楽しめるし、それにまだ戦いは始まったばかりだからもっと楽しませてちょーだい♪」
 グリルは肉弾戦を展開する。
 シリカはグリルの激しい攻撃を受け止め続けていたが、疲労が溜まって徐々に動きが鈍くなっていき、ついにグリルのローリングソバットを受けてしまった。
「うぐあっ!」
 グリルのキックはシリカの腹部に直撃し、シリカはダメージで倒れそうになった。
「ぐ…げほっ、げほっ!」
「ふんっ!」
 弱ったシリカにグリルは容赦なくフレイムボールをぶつけた。
「があっ…ぐぅっ…」
「こんな状態になっちゃったんじゃあもう楽しめなさそうだし、そろそろ終わりにしてメックアイ支部に…」
 グリルがそう言いかけた瞬間、グリルの攻撃でボロボロになったシリカは力を振り絞ってミサイルランチャーをグリルの足元に撃ち込んだ。
「く…!」
「!?」
 グリルは爆発に怯み、煙が晴れた後で辺りを見渡したが、シリカの姿は無かった。
「あれ、いない。まさか逃げたのかな〜?はぁ〜、本当に星の戦士ってだらしのない子ばっかりなのね〜、獲物が逃げたんじゃあお兄ちゃんが困っちゃうじゃない。でも、切れがいいし本部に戻って陛下から通信が入るのを待とうかな♪」
 戦いをするも結局シリカを取り逃がしてしまったグリルだったが、気を取り直してテレポートでハーフムーンのウィザード・フォートレスへと帰っていった。

 一方、グリルの猛攻撃から逃れることができたシリカは怪我をした腹部を片手で抱えながら廃ビル街を彷徨っていた。
 腹部からは真っ赤な血がドクドクと流れ出ていた。
 腹部の傷口に添えた左手のグローブが流れる血によって赤く染まっていく。
「はぁ…はぁ…カ、カービィ達や…ジョー達に…し、知らせないと……て、敵が…新手の敵が…いることを…。特に…連絡が取れない…ジョーが…心配だ…な…」
 疲労と腹部の怪我によって彼女の足取りは重くなっていく。
「この惑星は…もしかすると…奴らによって…支配されているのかも……しれない…。う…ぐ…、このままじゃ…敵に見つかる…。早く、どこかで休んで…怪我を…どうにかしないと…」
 怪我をしたまま独り言を呟き、廃ビル街を後にしたシリカだった。


 〜ポップスター デデデ城〜

 デデデ城では、デデデが先ほどメックアイから戻ってきたグリルとシステムを通して会話していた。
「今日買う魔獣はカタログを見て気に入ったこの2体がいいぞい」
「どれどれ…あ、はい、かしこまりました♪その2体で良いんですね?」
 デデデが注文した2体の魔獣はどちらも2頭身の人型で、マスクをかぶっている不気味な魔獣だった。
 すぐにその魔獣達はMTSから送られてきた。
「片腕が鋸みたいになっているのが魔獣チェンソー・J、片腕が斧になっているほうが魔獣J・アックスよ。2体とも危ない奴だけど、陛下の言う事はちゃんと聞くから心配はしないでね♪それじゃあ、またのご利用を♪」
 グリルがそう言ってディスプレイから姿を消した後、エスカルゴンは2体の魔獣に不満なようであった。
「危ない奴って…確かに刃物を持っていて危険でゲスが…」
「細かい事は気にしちゃだめぞいエスカルゴン。ではお前達、早速カービィをやっつけにいくぞい」
 デデデの命令を聞いた魔獣のうち一体、J・アックスは謎の言葉でデデデに返答し、部屋から出て行った。
「Hasta luego…(じゃあね…)」
「…今、奴はなんと言ったぞい?聞き取れなかったぞい」
「さあ、あれは魔獣語なんでゲしょうかねぇ?」


 カービィはフーム達と一緒にププビレッジのメインストリートに遊びに来ていた。
 しかしその中でもフームは何かを警戒しているようであった。
「姉ちゃん…?なにキョロキョロしてるの?」
「ブン、いつ魔獣が襲ってくるかわからないでしょ?」
「そんな神経質にならなくても…なぁカービィ?」
「ぽよ!」
 ブンが油断をしていた頃、突如危機は訪れた。
 フーム達の近くにあった茂みから先ほどデデデが注文した2体の魔獣、J・アックスとチェンソー・Jが飛び出してきたのだ。
 突然の事に驚くカービィ達と村人達は腰を抜かしてしまった。
「うわあっ!」
「何なの、あの魔獣は…」
 J・アックスとチェンソー・Jは周りを見渡すとカービィを見つけて襲い掛かってきた。
「Te cogi!(見つけたぞぉ!)」
「ぽよ〜!」
「みんな逃げて!」
 フームが村人達に指示を出すと村人達は皆近くの建物に隠れた。
 2体の魔獣はそれぞれの武器を振り回してカービィを追い掛け回す。
 フームとブンは刃物を持っている魔獣に近寄る事ができなかった。
「姉ちゃん、あいつら危険すぎるだろ!」
「でも、カービィを助ける事が…」
 カービィは2体の魔獣を上手く回避し、目を盗んで魔獣のうち1体であるJ・アックスの真後ろにある茂みの中に隠れた。
 J・アックスは自分の後ろの茂みに隠れている事を知らず、辺りを探している。
 もう1体の魔獣、チェンソー・JはJ・アックスの後ろの茂みがかすかに動いた事に気づき、茂みをチェーンソーで切り裂いた。
 茂みの中からはカービィが飛び出し、再び逃げ出した。
 目標を取り逃がした2体の魔獣は再びカービィを追い始める。
「No dejeis que se escape!(奴を逃がすな!)」
 カービィは逃げている間にフームと共にコピーできるものがないか探していた。だが、なかなか見つからないでいた。
 カービィは追い詰められ、危ないところだった。
「あっ!」
 するとレストランカワサキからあのコックカワサキがやってきて、カービィにフライパンを投げつけた。
「カービィ、俺のフライパンを!」
 カービィはそのフライパンを吸い込んでコックカービィになった。
 フライパンを使って2体の魔獣の攻撃を防ぐカービィだったが、次第に押されていった。
 勢いづいた魔獣達は武器による一撃をカービィに喰らわせようとする。
「Matar!(殺す!)」
 カービィは2体の魔獣の攻撃を回避し、フライパンから光弾を撃ち出す技・フライパンサーブを繰り出す。
「フライパンサーブ!」
「グォォ!」
 光弾は見事に命中、2体の魔獣は態勢を崩した。
「来て、ワープスター!」
 その隙にフームは新ワープスターを呼び出し、カービィは呼び出された新ワープスターに乗った。
 カービィは空中からフライパンサーブを連射する。光弾の雨が2体の魔獣に降り注いだ。
「ングォアアア!!」
 次々と魔獣達に降ってくる光弾。
 しかし、2体の魔獣それによっては倒されたわけではなく、爆発の中どこかへ逃げていった。
「に…逃げた?」
「またカービィを襲ってくるかもしれないぞ?」
「そうね、気が抜けないわ…」
 今回の戦いはカービィがなんとか勝利したが、魔獣達は逃げてしまったのでフーム達は戦いの後も少し不安が残っていた…。


 カービィの攻撃から逃げてきたJ・アックスとチェンソー・Jは、ププビレッジのメインストリートから少し離れている丘に来ていた。
 そんな2体の前にグリルが現れた。
「なにやってんのよ。見させてもらったけど、逃げ出す事はないでしょう?」
 グリルに叱られたJ・アックスとチェンソー・Jは謝罪をした。
「Lo siento mucho…(本当に申し訳ない…)」
「仕方が無いわね…じゃああんた達はちょっと私に付き合ってくれない?実はさっき私が惑星メックアイで戦った星の戦士の子がどこかに逃げちゃったのよ。そこであんた達は私と一緒にその星の戦士を探してほしいんだけど…」
「De acuerdo(了解した)」
 どうやらグリルの頼みごとにJ・アックスとチェンソー・Jは了解したようだ。
「うん、それじゃあ一緒についてきてね♪」
 グリルはテレポート能力で2体の魔獣と共に姿を消した。向かった先は惑星メックアイなのであろうか…?




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