副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第13話・後編
〜対決!星の戦士とナイト・バンテッド〜



 〜デデデ城 中庭〜

 二手に別れて逃げていったナイト・バンテッドのメンバーとそれを追った星の戦士たち。
 こちらは逃げたアックスとジャベリンのペアを追ったカービィとメタナイト卿、フームとブンの様子。
「待ちなさい、ナイト・バンテッド!」
「ぽよ!」
「やってきたな〜?」
「………」
 ナイト・バンテッドのアックスとジャベリンは追ってきたカービィたちのいる方向を向き、足を止める。
「てめぇら、MTSと組んで何を企んでやがる!ソードとブレイドとの関係は!?」
 頭にきたブンが噛み付くようにアックスとジャベリンに言い放った。
「さっきも言っただろうが、金のためなんだよ。ソードとブレイドの奴らはなぁ…昔の仲間と言ったところかなぁ?」
「ソードとブレイドの昔の知り合いなの?メタナイト卿、貴方は知っていたの?」
 フームの問いにメタナイト卿はすぐに答えた。
「ああ。一度だけ話を聞いたことがある。自分たちはかつて盗賊団に所属していたと…」
「私は『盗賊まがいの仕事をしていた』って軽く聞いただけだったけど…そんなことが…」
 新たに発覚した事実にフームは首を傾げてしまった。
 そんなフームとブン、メタナイト卿の会話に割って入るように痺れを切らしたアックスが叫んだ。
「あぁぁぁ、畜生!そんな細けぇことは良いんだよどうでも!とにかく俺はお前たちと戦って暴れてやりたいんだよぉ!いくぞ、ジャベリン!星の戦士を倒して手柄をあげるぞ!」
「マックス・ラジャー」
 アックスとジャベリンの二人はカービィとメタナイト卿の二人に真正面から走って襲い掛かってきた。
「二人とも気をつけて!」
「奴らをやっつけろ!」
 フームとブンの二人が応援している中、カービィとメタナイト卿は構えを取った。
「うおぉぉぉ!」
 ガキィィィン!
 メタナイト卿はアックスの繰り出した斧による一撃をギャラクシアで受け止め、弾き返す。
 アックスは一度弾かれてもメタナイト卿の隙を狙って再び斧で斬りつけようとする。
 だが、隙を狙ったはずのその攻撃はメタナイト卿にまたしてもあっさり受け止められてしまった。
「ぐ…なんて野郎だ」
「そなた…斧の扱いはなかなかやるようだが…武器には相性があるということを知らぬのだな?」
「なにぃ…?」
「斧は射程が短い上に重量があってどうしても動作が大振りになってしまう武器…。それに対して剣は軽い上に小回りがきき、ものによるが射程も長め……。もうここまで言えば、私が何を言いたいかそなたにはわかるはずだが…」
「く、くそぅっ!」
 メタナイト卿が解説したとおり、そのような理由から斧使いにとって剣使いは相性が最悪の相手。もう勝敗はついたも同然だった。
 メタナイト卿は剣と斧の競り合いに勝利してアックスを吹き飛ばす。
 大きな隙ができたアックスにメタナイト卿のギャラクシアによる必殺技が決まった。
「胴抜き!!」
「あべし!!!!」
 力いっぱいギャラクシアを横に振り抜く攻撃がアックスを吹き飛ばし、そのままダウンさせた。

 そしてこちらはカービィとジャベリン。
 コピー能力でまだ変身をしていないカービィは低空飛行をしながら追ってくるジャベリンの放つ火の点いた槍を必死に避けていた。
「来て、ワープスター!」
 手も足も出ないカービィを見たフームは新ワープスターを呼んだ。
 呼ばれて飛んできた新ワープスターはジャベリンに突進し、カービィを乗せて空へ飛び立った。
 カービィは新ワープスターを操り、中庭の噴水にある水をフームの指示を無しに自分から吸い込み、ウォーターカービィになった。
「ウォータースプラッシュ!!」
 ドバァァァァァァ!
 ウォーターカービィに変身した直後、カービィは口から物凄い勢いで大量の水(水流)を吐き出した。
 それに対してジャベリンは槍を撃つが、撃った槍は水流の前に相殺、無力化された。
 そしてその水流はジャベリン自身に直撃し、空中から叩き落した。
「ジ…ジジジ……」
 強烈な水流を浴び、その上空中から落下したときの衝撃によるダメージで、ロボットのジャベリンは機能が停止してしまったみたいだった。
 カービィは戦闘が終わると新ワープスターから地上へ飛び降りた。
「二人とも、なんとか勝てたわね!」
 フームとブンがカービィとメタナイト卿の二人に走りよってきた。
「よし。ソードとブレイド、そして山賊団の首領を探そう」
 4人はソードとブレイド、ヘビーナイトの3人を探すべく、城内へ再び入っていった。

 カービィたちが戦っていたのと時を同じくして、ナックルジョーとシリカのペアは逃げたトライとメイスを追ってデデデ城の広い廊下にやってきていた。
「あいつらやってきたダスよ、トライ」
 メイスとトライの二人は足を止め、追いかけてきたジョーたちのほうへ振り向く。
「おい、そこの女。いい加減にあのお宝を返せ。あれが無いとボス、そして俺たちは困るんだよな」
 トライはシリカに向かってお宝、つまりは珍しいショットガンを返すように三叉の槍の先を向けながら言った。
「ああ、残念だが今その銃はここには無い。それと、銃をただ売り払うだけのお前たちと私は違うからな。あの銃は絶対に返さな…うっ!」
 いつものように強気で挑発的な態度と口調でトライの言う事に答えたシリカだったが、改造銃を持っていない左手で腹部を押さえ始めた。
「お前…怪我をしているな?」
「シリカ…本当に一緒に来て良かったのか?」
「大丈夫。さっきも言ったと思うけど、怪我をしていても奴らに勝てるだけの自信はある」
 ナックルジョーはシリカにまた声をかけたが、シリカはやはり性格からなのか、少し強がっている様子だった。
「手負いならとっとと決着をつけてMTSから金をがっぽり貰うダス!いくダスよ、トライ!」
「ふっ!」
 トライとメイスの二人はそれぞれの武器を構え、トライはシリカ、メイスはナックルジョーに襲い掛かった。
 ブンブンブンブン!
 メイスは鉄球を振り回しながらナックルジョーに近づいてきた。
「バルカンジャブ!」
 ナックルジョーは距離をとって正面からバルカンジャブを撃ったが、鉄球によって打ち消されてしまった。
「フゥン!」
「くっ!」
 メイスはチェーンハンマーをナックルジョー目掛けてぶつけようと投げつけてきた。
 ナックルジョーはそれを上手くかわして反撃しようとするが、メイスは予想以上にチェーンハンマーを手元に戻すのが速く、また振り回して周囲からの攻撃を防御するような体勢に入った。
 ナックルジョーは以前もこのような敵・マッシャーと戦った事があったのでそのときと同じような感覚でこのメイスと戦おうとしていたが、メイスはマッシャーとは違って身体は自分と同じくらいの大きさで、マッシャーに比べて隙が少ないので内心少し舌を巻いていた。

 すぐ近くで戦っていたシリカは、トライのリーチの長い攻撃に苦しんでいた。
 シリカは改造銃から伸ばしたナイフを武器に戦っているのだが、それに対するトライは長い三又の槍を持っている。
 明らかにナイフよりも槍のほうが有利な状況であった。
「(まずい…このままじゃ反撃をすることが……)」
 シリカは反撃しやすくするために距離をとろうとしたが、その際に無防備となってしまい…。
 グサッ!ビリビリッ!
「うわあぁぁ!」
 隙ができてしまったシリカはトライの三又の槍による攻撃を受けてしまい、そのときに彼女は何か違和感を感じた。
「身体が…痺れる……これは一体…?」
「言い忘れていたが、この槍には突き刺した相手に電流を流す効果があってな…」
「何!?」
「お前がそのような調子であればあのときの恨みを晴らすのも結構簡単かもしれないな…!」
 トライは再び槍を構えてシリカにそれによる一突きを加えようとする。
「な!?」
 ドカーン!
 だが、その瞬間に吹っ飛んだのはトライのほうだった。トライにシリカは至近距離でミサイルランチャーを撃ち込んで攻撃をしたのだ。
「ぐ…おぉ……」
 ミサイルランチャーの爆風を至近距離で喰らって吹っ飛ばされたトライは、そのままダウンしてしまった。
 「(危なかった…)」
 トライを倒したシリカは心の中でほっとしていた。

「(こんな地形だったらこの手がある…!)」
 メイスと戦っていたジョーはある策を思いついた。
「うおりゃあ!」
「ふっ!」
 メイスの鉄球による一撃をジョーはジャンプで避けた。
 すると…。
 ガシャーン!
 ジョーが避けた事により、メイスが放った鉄球は壁を破壊し、そこに深く食い込んでしまった。
「しまった!取れなくなっちゃったダス!」
「スマッシュパンチ!」
「ギャース!!!」
 鉄球を壁から引き抜こうとしていたメイスにスマッシュパンチが3連続で命中、メイスは気を失ってしまった。
「ふ〜、終わった終わった」
「私のほうも何とか終わったよ、ジョー」
「それにしてもお前、まだあんなくだらない『鉄砲狩り』をやってたのか?はぁ…まったく、誰かが言ってただろ?『人のものを盗む奴はもっと大事なものを無くす』ってさ。しかもお前は『ストーカーのストーカー』の次は『ドロボーのドロボー』をやってることになるぞ?面白い奴だぜ」
「ジョー、そんなこと言っていいのか?私の怪我が治ったら、その借りは後で返してやるぞ」
「へっ。好きに言ってろよ」
 敵に勝利した後のジョーとシリカのやりとりは、何か微笑ましいものであった。


「ぐわぁっ!」
 ガキィン!
「どうした?それが新しい主人から教わった剣術か?大した事ではないようだな…!」
 ソードとブレイドはヘビーナイトに戦いを挑んだが、彼のパワフルな攻撃の前に追い詰められてしまっていた。
「く、くそっ…」
「お前たちがそんなんではワシをとめる事はできないぞ。さて、ワシはアックスたちと合流して共に星の戦士を倒しに行くか…」
 ヘビーナイトがその場を立ち去ろうとした瞬間、彼は呼び止められた。
「そこまでだ、ヘビーナイト!」
 ヘビーナイトを呼び止めたのはメタナイト卿。後ろにはカービィ、フーム、ブンの3人がいる。
 カービィたちは最初に傷ついたソードとブレイドを救出してからヘビーナイトの目の前にやってきた。
「ヘビーナイト、貴方の子分はカービィたちが全員倒したわ!残るは貴方一人よ!!」
「(姉ちゃん、ナックルジョーとシリカが何してるのか分からないのに全員倒したって断言しちゃってるよ…)」
 ヘビーナイトに堂々とした態度でそう言い張るフームと、その言葉に内心ツッコミを入れているブン。
「何だと…!?」
「もう逃げ場は無いわ!観念しなさい!」
「ふん…そうか。残ったのはワシ一人か…」
「さあ、どうするの?」
「ならば…おい、そこの『星のカービィ』」
「ぽよ?」
 ヘビーナイトはいきなり何を言い出すのかと思ったら、カービィのことを指名した。
「MTSが最も警戒しているお前とワシは1対1の真剣勝負、つまりは決闘を行いたい。ソードとブレイドはもうワシにとっては用済みだ。次の標的はお前だ」
「どうする、カービィ?」
「ぽよ!」
 フームが心配そうにカービィに聞くが、カービィ本人は自分からヘビーナイトの前に出てきた。
「ふん、そうこなくてはな。ではまずワシとしても決闘をするからには何も武器を持っていない相手と戦うのは気分がよくない。これを受け取れ」
 ヘビーナイトは腰に提げていた自分が普段使っている大剣とは別にある、ソードやブレイドが使っているようなものと同じくらいの大きさの剣をカービィの目の前に差し出した。
 カービィは剣を吸い込み、ソードカービィとなる。
「この決闘でワシが負けた場合はワシがMTSについて知っている事を全て話してからいさぎよくこの星から去ることにしよう。勝った場合はここにいる星の戦士は全てワシが殺し、MTSに全員の首を捧げるとする。さあ、始めようか…」
「ぽよ!」
「カービィ、気をつけて!」
 カービィとヘビーナイトによる1対1の真剣勝負が始まった。
「ぬぅん!」
 先手を取ったのはヘビーナイト。大剣を上段に構えて振り下ろす攻撃を行った。
 カービィはそれをかわし、反撃のチャンスとばかりに転がって後ろに回りこみ、斬り付けようとする。
 だが、ヘビーナイトはその見た目からは想像がつかないほど機敏な動きを見せた。
 後ろに回りこんだカービィの剣をすかさず手に持った大剣で受け止めたのだ。
 続いてヘビーナイトは大剣による横斬りを繰り出すが、やはりカービィに避けられてしまう。
「ちょこまかと…これでも喰らえ!」
 カービィ目掛けて渾身の振り下ろしを浴びせようとするが、これも紙一重で回避されてしまった。
 カービィのほうも、素早い動きを見せるヘビーナイトの前に少し焦り、疲れ始めていた。
 相手の攻撃を避けて反撃をしようとするも、なかなか上手くいかない。
 疲労が溜まったカービィに向かってヘビーナイトは再び大上段からの振り下ろし攻撃を浴びせようとする。
 カービィは隙だらけで避けやすいはずの攻撃を疲労の所為で避ける事ができず、受け止めてしまった。
 パワーでは断然相手のほうが上。とても不利な状況に陥ってしまった。競り合いに負けたカービィは後退してしまう。
「ワシの勝ちだぁぁぁぁ!」
 ヘビーナイトがカービィに向かって大剣を構え、止めとばかりに斬りかかろうとする。
 疲れ切ったカービィがこの攻撃を避ける事ができるはずがない。勝負はヘビーナイトの勝利に思われた。
 だが。
「ぐおっ!?」
 ヘビーナイトはその場でゆっくりとうつ伏せに倒れた。
 カービィは、勝てると確信して隙だらけの攻撃を仕掛けてきたヘビーナイトの腹部あたりを斬りつけたのだ。
 決闘はカービィの勝利に終わった。
「姉ちゃん、カービィが勝ったぜ!」
「やったわね!」
 フームとブンが歓喜の声を上げる。
「お〜い、お前ら〜!!」
 フームとブンが喜んでいると、ナックルジョーとシリカの二人がその場にやって来た。
「ナックルジョー、シリカ!貴方たちも勝ったのね!」
「今、カービィが山賊団の親玉を一人で倒したところだったんだぜ!」 「ぽよ!」
「カービィ、よくやったな」
 ナックルジョーはカービィの頭をなでていたそのとき。
「ぐ…!」
 カービィに負けたはずのヘビーナイトが再び立ち上がった。
「ヘビーナイト!?」
「まだ戦う気なの?」
「いや、違う……そうではない。それにしても『星のカービィ』はかなりやるな…。ナイトメアを倒したということと、これだけの実力の持ち主であれば…MTSも警戒するわけだ…。それと、ワシの負けだから、約束を果たさねばならぬな…」
「MTSについて知っている事を全て話してくれるの?」
「ああ」
 ヘビーナイトはその場に座り込み、MTSと関わったときのことをカービィたちに話した。
「貴方もそのグリルと言う奴に会ったことがあるの?」
「そうだ。ただ、その後ろにいる存在についてはワシはまだ何も知らない…。ワシが知っているのはそれくらいだ…」
 話し終えたヘビーナイトが立ち上がったとき、叫び声をあげながら近づいてくる集団がいた。
「オヤビ〜〜ン!!」
「お、お前たち!」
「星の戦士は強すぎるよぉ…」
「アッシたちの力では敵わなかったダス…」
「ボスが奴らと戦って返り討ちにして欲しい…」
 やってきたのはナイト・バンテッドのメンバーたちだった。
 アックス、メイス、トライ(と、機能の停止したジャベリンが彼らに抱えられている)は自分たちが敗北したため、ヘビーナイトを見つけ、彼に泣きついたのだ。
「悪いが、もう星の戦士と戦うのはやめだ」
「えぇ!?」
「オヤビン、何を言って…」
「ワシはそこにいる『星のカービィ』と戦い、たった今負けたところだ。それにワシはソードとブレイドを殺す気も、もう無い」
「そんな…」
「じゃあMTSにはなんて報告するのですか?」
「いや、奴らのもとへは帰らない。あいつら、そして星の戦士たちにはもう関わらないぞ」
「えぇ〜!?せっかくの大金がパァじゃないですか!?」
「お前たちには話していなかったが、本当のことを言うとワシは元々気楽な犯罪者であるはずなのに、大企業に良いように利用されているのが最初から気に食わなかったのでな。MTSに味方したのは、空腹でお前たちを死なせたくなかった。ただそれだけなのだ」
 ヘビーナイトは自分がMTSに味方した本当の理由を部下たちに話した。すると…。
「俺たちのことを考えてそんなことを…」
「か…感動的ダス!やっぱりオヤビンは最高ダス!!わぁぁ〜ん!」
 メンバーは感激して泣き出してしまった。
「ソードとブレイド、あの人って本当はいい人なのね」
「はい、ボスは昔から部下である私たちにとって一番良い選択をする人でした」
 ヘビーナイトとナイト・バンテッドのメンバーを見て、フームとソード、ブレイドの二人が言った。
「わかった、わかった。泣くのはもうやめろ」
「ぐすっ…」
 ヘビーナイトが慰めて、ナイト・バンテッドのほかのメンバーは泣き止んだ。
「ということだ、星の戦士たち。約束は約束だ。ワシたちはもうお前たち、MTS、ソード、ブレイドとは二度と関わらない事にしよう。ソード、ブレイド。新しい主人のもとで達者で暮らせよ。ワシたちはこれからまたこの星を旅して宇宙船を見つけたら、それでまたどこかの星へ行こうと考えている。では、迷惑をかけたが…さらばだ。久しぶりに旧友の顔も見れて嬉しかったぞ」
「ボス…」
 別れの挨拶をした後、ヘビーナイトは仲間たちを引き連れて、デデデ城の外へ向かおうとした。
「待て、お前たち」
「あ?」
「なんダスか?」
 出て行こうとしたナイト・バンテッドのメンバーを引きとめたのはメタナイト卿だった。
「お前たち。また別の場所に旅立って、その向かった先で宇宙船、食料、そして金を手に入れられるという事が確信できるのか?」
「うむ、それはだな…」
「オヤビン、アッシはMTSに拾われる直前のときみたいにまた行き倒れたりしてしまったら少し困るダス…」
「腹が減るのはすごくつらいしなぁ…」
「確かに」
 メタナイト卿に聞かれたことに関して、ナイト・バンテッドのメンバーは少し考え込んでしまった。
「行き倒れになるのが嫌で確信する事ができないのであれば、お前たちの腕を見込んで頼みがある。…私のもとへ来ないか?」
「えぇ!?」
「メタナイト卿!?何を言って…」
「卿、正気ですか!?」
「ぽよ?」
 メタナイト卿の発言に、周りにいたカービィ、フーム、ブン、ジョー、シリカ、ソード、ブレイドは驚愕した。
「彼らは皆いい腕をしている。それにソード、ブレイド。旧友が仲間になるのは嫌なのか?」
「………」
 いきなり急展開と言うべき話を持ちかけられた山賊団のメンバーは戸惑った。
「え!?山賊の俺たちに仲間になれって言うの?」
「オヤビン、どうするダス?」
 戸惑っている山賊団のメンバーにメタナイト卿は仲間になることに関しての話をさらに付け加えた。
「ただ、一つ条件がある。首領の…ヘビーナイトと言ったな?私のところへ来るのなら、山賊団を解散させろ。いや、解散と言っても正確には騎士団になるということだが…。お前たちにとって不安な食料は、陛下の資金を使えば何とかなる。給料も貰える」
 条件付である事を言われ、ナイト・バンテッドのメンバーはまた考え込んだ。
「堅苦しいのはあまり好きじゃないんだけどなぁ…。でも行き倒れたくはないし…」
 とアックス。
「俺は奴らの仲間になることに賛成だ。給料ももらえるようだし、前みたいな苦労ばかりの生活とはおさらばにできるからな」
「アッシはあまり頭良くないから、オヤビンの判断に任せるダス」
 トライ、メイスと続く。
「(やはり今回も仲間のことを考えて雇われるべきなのか…。しかし、彼は胡散臭かったMTSとは違ってワシたちをいいように利用してるような感じがしないから、信用できる存在なのか…?)」
「お…オヤビン?どうするダス?」
 『判断はヘビーナイトに任せる』と言ったメイスがヘビーナイトに答えを聞いてきた。
「……わかった。メタナイト卿、そしてソード、ブレイド。お前たちのほうに味方しよう」
「え?ほ、本気で言っているのですか!?」
 意見が微妙なところであったアックスが驚いた。
「前の雇い主であるMTSは少し胡散臭かったが、このメタナイト卿は信用できる主人だ。なんというか…ワシにはこの人が何かたくらんでいるとかそのようには見えない。それに、もうお前たちを酷い目にあわせたくなんかないからな」
「やっぱりオヤビンは俺たちのことを考えて…」
「オヤビンは最高ダス〜!」
「答えはそれで良いのか?」
 メタナイト卿が再びヘビーナイトに聞く。
「うむ。これからよろしく……お願いします、メタナイト卿。ソード、ブレイド」
「え!?オヤビンが、け、敬語を…!?」
「お前たち。ワシたちは山賊団を解散した。もうワシはお前たちの親分ではないぞ」
「いや、オヤビンはアッシたちの中ではいつまでもオヤビンのまんまダス!それにとっくに山賊団を抜け出したソードとブレイドだって、オヤビンのことを『ボス』って呼んでいたダス!ソード、ブレイド、お前たちもそう思って言っていたんダスよね?
「あ、ああ…」
「ということでメタナイト卿!早速喧嘩…いや、稽古をしてほしいダス!」
「よかろう」
 メタナイト卿とソードとブレイド、山賊団を解散した元ナイト・バンテッドのメンバーは外まで走っていった。
 その様子を横で見ていたカービィたちは嬉しそうにしていた。
「姉ちゃん、こんな風に仲間になるのってありなのか?」
「いいんじゃない?愉快になったから」
 こうして合流したナックルジョーとシリカに続き、ソードとブレイドの旧友である(元)ナイト・バンテッドのメンバーがカービィたちの仲間になったのであった。




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