副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第15話
〜対決ロボット魔獣軍団〜



 〜ウィザード・フォートレス 社長室〜

 ウィザード・フォートレスのマルクの部屋。
 今、マルクはこの部屋でドロシアによるパイプオルガンの演奏を鑑賞していた。
「やはりドロシアのパイプオルガンの音色は最高だな。気持ちが安らぐよ」
 マルクはパイプオルガンの音にうっとりしているようだった。
「それは良かったな」
「ドロシアは絵を描く能力とパイプオルガンを弾く能力は僕を超えて宇宙一なんじゃないか?」
「世辞はよさないか」
「別にお世辞なんかじゃない。僕は本当に心の底からお前の事を褒めているよ」
「ふん、そうか。何を言われようと私には関係ないがな。しかし、確かにこのパイプオルガンの音色は相手に恐怖を植えうけるのには丁度いい音色だ」
「過去に何かトラウマがある奴には効果があるとかお前は言ってたな」
「そうだ」
「過去に心に深い傷を負うような何か嫌な出来事を体験した星の戦士は多いぞ。いや、カービィ以外は全員と言ってもいいかな」
「お前はその『星のカービィ』とやらが優先すべき目標なのだろう?なら私の存在は『星のカービィ』との直接対決には必要なさそうだな」
「何を言っているんだ?確かにカービィにはドロシアの得意とする戦法は効果がなさそうだが、お前には魔法の絵筆と攻撃魔法があるだろう。まあ僕やドロシアが直接出向く事なんて無いのだから気にすることはないと 思うけどね。グリルはすでに僕の言う事を聞かずに星の戦士と接触したようだけど」
「まあな。変なことを言って済まなかった」
「何を謝る必要があるんだ?それはさておき、ドロシアが生み出した絵画の魔獣たちのおかげもあって、僕らが支配した星の数はついに100を超えたよ」
「いつの間にかそんな数に達していたのか…」
「しかし最近どうも上手くいかないな」
「何がだ?」
「我がMTSの魔獣は最近カービィにことごとく倒されてると思い始めてきてるんだ。そろそろ戦闘力と知能の高い上級ランク魔獣たちをポップスターに投下する必要があるのかな…」
「お前が今進めている『プロジェクトG』はどうしたんだ?」
「ああ、それ?その計画で作る魔獣は実は星の戦士を倒すために利用するのは止めたんだ」
「止めた?それは何故だ」
「『プロジェクトG』で作り出した魔獣の第1号はポップスターに送り込んで星の戦士と戦わせて戦力チェックをし、その後能力を再調整をした第2号を星の戦士を倒すためではなく、この本部に配備して暴走をした魔獣を撃退するための切り札として使うつもりなんだ」
「暴走をした魔獣たちを止めるのは警備用の魔獣や下っ端のプランクやマドゥーどもの役割じゃなかったのか?」
「制御の難しい暴れん坊はすさまじい力を発揮して彼らでは抑えきれないこともあるかも知れないから、万が一のために用意しておくんだよ」
「お前はあまり他人を信用しない性格だな…」
「それを言うなら前みたいに『用心深い』と言ってくれ。さて、今から僕はその『プロジェクトG』の今度は第3工程の作業をするとしようか。ドロシア、とても良い演奏だったよ。有難う」
「………」
 マルクがテレポート能力を使って消えると、ドロシアもパイプオルガンを弾くのを止め、どこか別の場所に向かっていった。


 〜ププビレッジ デデデ城〜

「昨日黒い雷でやってもらった魔獣はどうやらカービィたちに倒されてしまったらしいぞい!」
「おかしいですね〜、今回落とした黒い雷は前に落としていた黒い雷よりも少し強い魔力を使っていたんですけど…。お兄ちゃん何か間違えたりしたのかな?」
 デデデ城では、今日もデデデが魔獣を購入するべくエスカルゴンと共にデリバリーシステムを使っているのだが、デデデは少し怒っているようだった。
「魔獣が負けたようであればまた次の魔獣を頼むぞい!今日はこのよくわからんが、4種類あるロボットが欲しいぞい!」
「え、どれどれ?あ、はいはいわかりました。魔獣アンドロンの1種類につき8機、合計32機のセットですね?お値段は1機1000デデン、全部で3万2000デデンになります!」
「そんなに安くていいのでゲスか?HN社のときは53万とか普通にかかっていたのでゲスが…」
「だから前から言ってるじゃないですか。魔獣は全て安くしておきますよって」
「早速それでお願いするぞい!」
「は〜い。ですけど陛下。この魔獣は惑星メックアイで量産している魔獣ですので、取り寄せるのに少し時間が掛かりますし、32機もそちらに送る事となるので、デリバリーシステムではなく直接そちらに送らせていただきますね♪」
「わかったぞい」
 デデデはグリルの言う事に承知すると、通信を切った。

 カービィは今日もブンや村の子供たちと一緒に遊んでいた。彼らは今日は鬼ごっこで遊んでいるようだった。
 その近くには読書をしているフームと、突然襲ってくるかもしれない魔獣と戦うために同行したナックルジョーとシリカがいた。
 ナックルジョーとシリカの二人はしばらくこの星にいる間、メタナイト卿から基本的にカービィやフームたちが外出する際にはどちらか片方、または両方が一緒に同行するように頼まれているのだ。
 そんなときだった。
 ドスン! ドスン! ドスン!
 突然空からカービィや子供たちの前に何かが降ってきた。
「早速何かやってきたようだぜ…!」
「皆早く逃げて!!」
 警戒心を強めたナックルジョーは身構え、フームはカービィたちに指示を出した。
 空から降ってきたのはロボットの集団だった。その数はざっと数えて30体程はいた。
「げっ、あんなにたくさんいるじゃん…」
「二人とも大丈夫なの?」
 ブンはその数に驚き、フームは心配してジョーに聞いた。
「そんなのやってみなきゃわからないだろ。まあ全員まとめてぶっとばしてやるよ。行くぞシリカ」
「ああ」
 ロボット集団のうちの数体がナックルジョーとシリカに向かって腕のグレネードランチャーを発射してきた。
 二人はそれを避け、反撃に転じる。
「スピンキック!」
 ナックルジョーのスピンキックが、最初にグレネードランチャーによる砲撃をしてきたロボットたちに命中。
「ふっ!」
 続いてシリカがミサイルランチャーにした改造銃から放ったミサイルがロボットたちに当たり、最初に攻撃をしてきた3〜4体ほどのロボットの集団は破壊された。
「あ!?!」
 その直後、シリカの後ろから襲い掛かってきたロボットがいた。
 シリカは素早く反応したが、改造銃では対応しきれず、間に合わないことを悟った。
「(くっ…ならば…!)」
 シリカは改造銃とはまた別に何か小さな銃を取り出し、それをロボットに向かって発砲した。
 その銃は光線銃であり、ロボットを一撃で破壊する事に成功した。
「へぇ〜、やるじゃんその武器」
 光線銃の威力を見て感心したジョーが褒めた。
「ある親しい武器商人から貰った特注品なんだ。ふっ!」
 説明しながらもシリカはまた一体ロボットを攻撃、破壊した。
 二人の活躍でロボット集団は少しずつ倒されていき、大体最初と比べて半分くらいの数にまで減っていた。
 だが、残りのロボットたちはどういうわけか、全員揃ってその場から飛び去ってしまった。
「まずいぞ姉ちゃん!あのロボットたちが飛んでいったのは村の方向だ!」
「来て、ワープスター!」
 フームは新ワープスターを呼び、カービィはそれに飛び乗り、飛び去ったロボットたちの後を追跡した。
「私たちも後を追うよ、ジョー!」
「わかってるって!」
 ジョーも身体を発行させてから空を飛んでロボットを追っているカービィの後に続いた。
「いいなぁ、皆自由に空を飛ぶことができて…」
「そんなこと言っている場合じゃないわよシリカ!あのロボットたちを追わないと…」
「…あ、うん」
 シリカとフーム、ブン、村の子供たちも走ってカービィたちが飛んでいった方向に走り出した。

 村の方向に飛んだロボット集団とカービィ、ナックルジョーは空中戦を繰り広げていた。
 カービィは新ワープスターに乗ったまま、空中で体当たりをロボットに繰り出した。
 空を飛んでいるときは無防備なロボットは体当たりをまともに喰らい、地面に墜落して大破した。
 ナックルジョーはロボットに掴みかかり、巴投げで次々とロボットたちを地面に叩き落す。
 カービィの空中体当たりを喰らったロボットと同じように投げ飛ばされたロボットは地面に激突し、爆発する。
 彼らの攻撃によってロボットたちはあっという間に5〜6体ほどとなった。そのロボットたちはそこで地面に着地した。
 そして反撃をするつもりなのか、ロボットたちの内、一体のある両肩にミサイルポッドを装備した個体がまだ空中にいたカービィとナックルジョーを目掛けてミサイルを撃ってきた。
「来るぞ、カービィ!」
「ぽよ!」
 カービィとジョーは飛行してそのミサイルを避けようとするが、ある異変に気づいた。
「こ…このミサイルは…追尾式か?」
「ぽよ?」
 放たれたミサイルはカービィとジョーを追い掛け回し始めた。
「しつこいなぁ…追っかけてくるんじゃねぇ!」
 カービィとジョーがミサイルに追いかけられていた、その時。
 ズバッ! ドガーン!
 ついさっきまでカービィたちを追っていたミサイルが突然全て爆発し、消滅した。
「!?メタナイト?」
「ぽよよ?」
 ミサイルを消したのはメタナイト卿。その様子を見ていたと思われるメタナイト卿がカービィとジョーを助けるために空を飛んでやってきたのだ。
「はぁっ!」
 メタナイト卿はその後地面に降り立ち、ギャラクシアによる攻撃で残りのロボットたちを一掃してしまった。
「まったく…余計なお世話だよ。しかもおいしいところを持っていっちまうしさ」
「………」
 敵が全滅したところでカービィとジョーも地面に降りてきた。
「みんな〜〜〜!」
 敵を倒して安心していた3人のところにフームたちがやって来た。
「ここまで来る途中ロボットの残骸が落ちていたりしていたけどまさか…」
「ああ、俺たちが全て倒してやったぜ。最後はメタナイトにいいところ持っていかれちゃったけど…」
「なら良かったけど…。メタナイト卿、これももしかすると…」
「MTSと呼ばれる者たちの仕業だろう。奴らは一体何が目的で私たちを攻撃するのか…そして、『マルク』との関係は一体…」
 謎のロボット集団との戦いに勝利した星の戦士たちであったが、HN社よりも注意深い動きをするMTSに彼らは頭を悩ますばかりであった…。


 〜ウィザード・フォートレス グリルの部屋〜

 星の戦士たちがロボット集団を全滅させたのと同じ頃のこと。
 MTSの本部のグリルの部屋ではグリルがなにやらある二人の人物を呼び出して話し合いをしていた。
「さて、私が貴方たち2人を何故呼び出したかはわかるわね?チクタクにボーラル」
「もちろんですともグリル様。いよいよ私たちの出番がやってきたのですね?」
「そう。今まで送り込み続けてきた魔獣が皆やられてしまったから、強力な力を持っている貴方たち『上級ランク魔獣』の力が必要となった、というわけよ」
「ほほほ。グリル様、それなら心配いりませんよ。この『宇宙最強の魔獣』であるわたくしボーラルがいれば星の戦士など虫ケラ同然です」
「フフ、大した自信ね。ではまず、お兄ちゃんが言っていたのだけれど、ポップスターが次の朝を迎えたらチクタク、貴方はデリバリーシステムを通じてデデデ陛下のところへ行く事になってるわ。そしてデデデ陛下と仲良くして、宇宙全てで放映されているポップスターの『チャンネルDDD』のニュース番組内で新コーナーを報道するのよ。そう、我がMTS社の考えを世間に伝えるためにね。そしてボーラル。貴方は一足遅れて次の次の日に星の戦士討伐に向かいなさい。今のところ『宇宙最強』の魔獣の実力を星の戦士たちに見せつけてやるのよ」
「わかりました。この『代弁者』の異名を持つわたくしチクタクにお任せください」
「おやおやグリル様。私は『“今のところ”宇宙最強』ではなく、これからもずっと『宇宙最強の魔獣』であり続けますが?」
「まあ二人ともこれからやることがなんとなくわかればいいのよ、私はお兄ちゃんみたいに細かい事をごちゃごちゃ言わないから。ということでチクタク。まず最初に貴方のほうがポップスターへ向かうのよ。それまで今日は出撃準備として引き連れていく部下魔獣を選びなさい」
「はい」
「頑張ってくださいよチクタクさん。私は少し遅れてからそちらに参りますからね…ほっほっほ」
 グリルと話していた魔獣と思われる『チクタク』と『ボーラル』の二人。
 彼らは一体何者なのであろうか…。




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