視点をマルク達MTS上層部の者達の方へ移してみよう。 ウィザード・フォートレスの司令室にはドロシアが転移魔法で帰還し、マルクのところへやってきていた。 グリルの方は先に不用物を処理する場所である処理場の方へデデデ城にて回収したゴッドを置きにいった為、今はここにはいない。 「パラマターを通してお前達の会話を聞かせてもらったけど…ドロシア、僕のことについて誤魔化し、任務を忘れて遊んでいたグリルを止めてくれて有難う」 「…………」 「どうした?なにか言いたそうに見えるが…」 「いや、なんでもない」 「?ああ、そうか」 ドロシアの微妙な顔の変化にマルクは気付いていた。 マルクがドロシアに彼女が話そうとしていたことを聞こうとしたとき、グリルが転移魔法で司令室にやってきた。 「お兄ちゃ〜ん!ゴッドはちゃんと回収して来たよ♪」 「よくやったな。今日のお前の仕事はこれで終わりだ。ご褒美として、明日から急な用事でもできない限り、僕とお前、そしてドロシアの3人でどこか支配下にある星に出かけてしばらくのんびりと過ごそう。今までかまってやれなくてすまなかったな、グリル」 「え!?お兄ちゃんとお出かけ!?嬉しい!…でも、陛下がそのお出かけしている間に注文してきたらどうするの?」 「陛下の通信に答えるときは通信が各惑星の支部にも届くようにすれば問題ないだろう。さあ、出かける準備をしてくれ。そしてこの後出かける為の計画を立てて、僕が不要となったゴッドを殺したら出発だ」 「わーい!ドロシア、3人でお出かけだって!お兄ちゃんと一緒にお出かけするのって久しぶり〜♪」 グリルはウキウキして出かける準備を始める為に司令室から出て行った。 「マルク、お前にしては珍しいな。出かけるなど言い出すとは…」 「うん、ちょっと休みが必要だと思ってね。ボーラルの治療はプランクやマドゥー達に今のところ任せておいて問題はない。それに、今グリルにも言ったとおり仕事は今のところ不要となったゴッドを始末する以外なにもないからね」 マルクは自分で『休みが必要』と言ったとおり、最近は魔獣研究(特に新型ウィルス魔獣やゴッド関連)に明け暮れていた為、少し精神的に疲れていたと同時に、他の魔獣研究が進まなくなってしまっていた。 その為、リラックスをするべくグリルには『ご褒美』と言って急遽自分の休む時間を作ったのだ。 「なるほど…研究に疲れたということか?」 「それもそうだし、グリルのことは大切にしてあげないとな。今この世に残された、僕にとってのただ一人の肉親だからね…」 「…………」 ドロシアはマルクの発言を聞き、また黙り込んでしまった。 当然マルクは表向きはそう言ったが、本気でそう思っているわけではない。 そんなとき、準備を終えたグリルが司令室に入ってきた。 「お兄ちゃん、ドロシア、早くお出かけの計画を立てようよ♪どこへ行きたい?」 「そうだな…お前の好きなところでいいよ」 「じゃあ最初に惑星フロリアのいい景色を眺める事のできる高級レストランでご飯食べるのはどう?」 マルクは楽しそうなグリルの事を見て「幸せな奴だな」と思っていた。 少し長い間惑星ハーフムーンから出ることのなかった彼らの休暇の始まりと思われた、そのとき。 「ん!?通信が入ったぞ?処理場のほうからだ」 マルクがいきなり出かける計画を立てているときに入った通信に応答する。 「どうした?」 マルクが応答すると、相手は下っ端のマドゥーであった。 「ま、マルク様!グリル様が処理場に持ち込んできた魔獣がいきなり暴れだして…わ!?ぎゃあああああああ!!!」 マドゥーが叫ぶと同時にグリルが回収したゴッドが映像に映った後、カメラと通信機が壊されたらしく、映像は砂嵐状態となって何も見えなくなってしまった。 しかし、その処理場の様子は一瞬モニターに映った映像からもよくわかった。 「どうやらゴッドが暴走を始めたらしい。グリル、ドロシア!お前達二人はここで待っていてくれ。急いで奴をなんとかしてくる」 マルクはグリルとドロシアの二人を司令室に残すとテレポートで姿を消した。 〜ウィザード・フォートレス 魔獣処理施設〜 マルクは転移魔法で問題のゴッドが暴れている処理場に一瞬で到着した。 しかし、処理場の光景はマルクでも驚くすさまじいものであった。 「な…なんだ……これは…?」 先ほど処理場でマドゥーや他の魔獣などを攻撃して暴れまわっていたゴッドは今までになく肥大化し、触手を操る巨大なタコのような姿となってしまっていた。 その体表には食べてしまったと思われるプランクやマドゥー、他の魔獣などの肉塊が一部覆っているのがわかる。 「オオオオオオオオッ!!」 シュルルルルルルルルルッ! ゴッドは目の前のマルクに向かって触手を伸ばす。 「ふっ!はぁっ!」 ピシュンッ! マルクは触手をジャンプで避けると一本の魔法で作り出した矢のようなものをゴッドに向かって発射する。 グニュッ だが、弾力性のあるボディとなったゴッドには矢は通用しない。 「はっ!」 ポッ、ポッ、ポッ……ドシュン、ドシュン、ドシュン! マルクは続いて魔力弾を自分の周囲に出現させてゴッドに3連続でぶつける。 ドゴォン! 「グウゥゥゥゥ」 魔力弾はゴッドに命中してある程度のダメージを与えたかのように見えたが、再生能力ですぐに回復してしまう。 「(まさかこいつの超再生細胞がこれほどのものだったとは…。現在力を抑えている僕一人ではこの不死身の怪物を殺すには少し手間取りそうだ…。かといってここで力を解放して変身し、戦えばこの部屋ごとゴッドが僕の攻撃で消えてしまう…。くそっ!どうすれば………!!」 ニョローン、バチン! マルクは再び伸ばされたゴッドの触手を避けながら考える。 「そうか!こういうときに奴らに差し向けて…)」 マルクは何かをひらめき、数時間前に最初の姿のときのゴッドにも浴びせた閃光を、目の前の変わり果てた姿となったゴッドに喰らわす。 するとゴッドはまばゆい光に包まれ、またしても消えてしまった。 ゴッドが完全に消えたのを確認すると、マルクは何を思ったのか一旦グリルとドロシアが待っている司令室ではなく、研究室のほうへ向かった。 カービィ達星の戦士4人とフームとブンの姉弟は超巨大エレベーターを使って地上に戻り、メタナイト卿と騎士達の部屋に戻っていた。 グリルとの戦いで怪我をしたジョーとシリカは先に部屋に戻っていた騎士達から手当てを受けている。 その横ではフームとメタナイト卿が謎のゴッドの正体について話していた。 「メタナイト卿、あの魔獣…MTSのグリルが『ゴッド』と呼んでいた魔獣は、本当にナックルジョーのパパだと思う?」 「奴らは私達が彼の亡骸を土葬したことを知っていた…。本物と思って間違いないだろう…」 「くそっ!あいつら……あがっ…!」 「いきなり起き上がっちゃだめダスよ!」 MTSに対して怒って起き上がったナックルジョーであったが、全身の痛みでまた寝かされていた布団に倒れ、彼を手当てしていたメイスナイトが注意をする。 だが、そのとき。 ドシャアアアアン! 「!!??」 全員が地響きのような大きな音に驚き、飛び跳ねそうになった。 「な…なんなの?」 フームを始め、全員は一時的にパニックとなり、周囲をキョロキョロとし始めた。 「メタナイト卿!お、俺が様子を見てきます!」 「アッシも!」 「ん?あ、ああ。頼む」 「アックス、メイス、気をつけろよ」 自分から様子を見てくることに名乗りを上げたアックスナイトとメイスナイトにメタナイト卿、そしてヘビーナイトは了承し、部屋の外の様子を見に行かせた。 外で何が起こったのか様子を確かめる為、アックスナイトとメイスナイトの二人は部屋の外に出た。 すると、部屋を出た途端、ワドルディ兵士達が城中を走り回っている光景が二人の目に飛び込んだ。 「な…なんなんだこれは?」 「どういうことダス?」 壁を見ると、先ほど自分達騎士も退治した無数のカブトガニのような小動物が這い回っており、ワドルディ兵士達はそれを武器で撃ち落として退治しているらしい。 そんな中、ワドルドゥ隊長がアックスナイトとメイスナイトのところへ駆け寄ってきた。 「あ!あなた方は…メイス殿と…名前なんて言いましたっけ?」 「アックスだよ、アックス!それよりもこれは一体何が起こっているんだ?」 アックスナイトは自分の名前をワドルドゥ隊長に覚えられていない事に腹を立てながらも現在の状況を聞く。 「…あぁ、これは失礼しましたアックス殿。実は先ほど姿を消した城を動き回っていたあの怪物…覚えていますよね?」 「ああ、それがどうしたんだ?」 「実はその怪物がこの近くに来ているようで…」 「なにぃ!?」 「アックス、メタナイト卿の話では、MTSの前にアッシ達を助けたグリルという奴があの魔獣を回収したはずじゃあ…」 「確かにそのはずだよな…だとしたらどうしてこのちびっこいのが…」 ドシャアアアアン! 「わあっ!」 アックスとメイス、ワドルドゥが話しているとまた壁を壊したかのような大きな音が鳴り響く。 そして一人のワドルディがワドルドゥのところへ急いで状況報告にやって来た。 「ん?なになに…わかった!」 ワドルドゥはワドルディから報告を聞くとワドルディ達に指示を出す。 「兵士達は全員あちらの方向へ進めぇぇぇぇ!そしてお二人も…」 ワドルドゥに連れられてアックスとメイスの二人も報告しにやって来たワドルディが示していた方向へ走った。 走っていくとすぐに何が起こっているのかがわかった。 「グギュオオオオオオオオ!!!」 「あ!あの化け物…」 「メンタマがあるということは…さっきの怪物と同じ奴じゃないのか!?」 アックスとメイスはそのでかすぎる怪物の姿を見て腰を抜かしてしまった。 それは先ほどマルクがウィザード・フォートレスから直接送り込んできたゴッドである。 だが、そんなことを知る筈もないアックス、メイス、ワドルドゥ隊長、ワドルディ達はその光景が信じられなかった。 「あんなにでっかくなってるダス…」 「でもあいつはメタナイト卿の話ではグリルに回収されたはずだろ?それがどうして…」 「きっとMTSの奴らがまたあいつをこっちに送ってきたんダスよ!」 メイスナイトのカンはほぼ当たっていた。 しかし、それが正しいかどうかはやはり誰にもわからない。 「メイス!とにかく今の状況をメタナイト卿やオヤビンたちに報告しよう!」 「言われなくてもわかっているダス!」 「では私達はあの怪物の進撃を押さえて時間稼ぎをします!」 「お願いするダスよ!」 こうしてワドルドゥ隊長とワドルディ兵士達は怪物…ゴッドをなんとか押しとどめようと戦いを挑み、アックスとメイスは報告するべくメタナイト卿の部屋に戻っていった。 「アックスとメイス…随分と遅いな。何かあったのだろうか?」 「俺は特にメイスの奴がドジだからしくじっていたりしてそうで心配だな…」 ソードナイトとトライデントナイトは様子を見に行ってなかなか帰ってこないアックスとメイスのことを心配していた。 すると丁度そのアックスとメイスの二人が部屋に帰ってきた。 「皆、聞いてくれ!」 「騒ぎを起こしているのはあの化け物ダス!」 「えぇ?でも、ゴッドと言われていた魔獣は私達の目の前で…」 フームがそういうとアックスはこう返してきた。 「とにかく見てもらったほうが早い!奴はいつになくでっかくなっていやがるんだ!」 「な、なんですって?カービィ、メタナイト卿、ブン!早く行きましょう!」 「うむ。お前達、私は魔獣のところへ向かう。ジョーとシリカを頼む」 「はっ!」 メタナイト卿は騎士達に指示を出し、カービィ、フーム、ブンと共に暴れているらしいゴッドのところへ向かった。 いつになく肥大化したゴッドと戦っているワドルディ達はその驚異的な生命力の強さに撤退せざるを得なくなる状況に陥っていた。 武器による攻撃は弾力のある皮膚には通用しない。 そこへカービィ、メタナイト卿、フーム、ブンが駆けつける。 駆けつけた4人はその怪物の姿を見て、殆ど以前の原形を留めてはいないものの、眼球やイソギンチャクのような口からゴッドと断定できた。 そしてワドルドゥ達は一旦退避した。 「ゲゲッ!これはちょっとでかくなりすぎだろ…」 ブンはまたゴッドに腰を抜かしてしまった。 「グギュウウウウウウン!!」 ゴッドは触手で瓦礫を掴んでカービィ達に投げつけてきた。 「ふっ!はああっ!」 ズバッ!ゴオオッ!! メタナイト卿がギャラクシアで瓦礫を切り裂き、更にギャラクシアから波動斬りをゴッドの眼球目掛けて撃ち出す。 「グオオオオオッ!!」 ゴッドは眼球への攻撃に怯む様子を見せたが、構わず触手による直接攻撃を行ってきた。 「ま…待て!!」 「え?」 メタナイト卿がゴッドと戦っているところへやってきた人物がいた。ナックルジョーである。 後ろには彼を止めようと彼の身体を押さえつけているヘビーナイトもいる。 「ナックルジョー!?来ちゃダメよ!貴方その身体じゃ戦う事なんて…!」 「姉ちゃんの言うとおりだ!さっき自分でももう動けないって言ってたじゃん」 「うるせぇ!あいつに止めを刺すのはこの俺だっつってんだろ!生きてるなら無理してでもあいつに止めを刺す…!」 ジョーは押さえつけていたヘビーナイトを振り払い、ゴッドまで一直線に走っていく。 「でやあああああああっ!」 ジョーは走りながらゴッドの触手を弾いてゴッドのすぐ近くまでやってくるとジャンプをし、渾身のスマッシュパンチを撃つ。 ブニュン! だが弾力のあるゴッドの身体はスマッシュパンチを無力化し、ゴッドは逆にジョーに向かって触手をにょろんと伸ばした。 ガシッ! 「なっ!?」 足を触手に掴まれたジョーは空中で振り回される。 「うわあああああっ!」 ドズゥゥウン! そしてジョーは振り回された後、床に叩きつけられる。 「しっかりしろ!」 叩きつけられたジョーのところにヘビーナイトが駆け寄る。 「カービィ、これを!」 同時にヘビーナイトは腰に下げていた普通の大きさの剣をカービィに向かって投げる。 カービィはそれを吸い込んでソードカービィとなった。 「ワシもあの魔獣と戦おう。フーム殿、ブン殿。ナックルジョーを頼みます」 「ええ!」 フームとブンはナックルジョーをメタナイト卿の部屋へ連れ戻し、ヘビーナイトは愛用の大剣を構え、ゴッドと戦っているカービィとメタナイト卿のところへ向かう。 「ヘビーナイト?一緒に戦ってくれるのか?」 「はい。怪我をしているナックルジョーに戦いをさせることはできません。ナックルジョーに代わってワシが戦いを手伝いします」 「そうか、それは心強い。早速で悪いがヘビーナイト、魔獣の触手を斬って私やカービィが戦いやすいようにしてくれ」 「はっ!」 ヘビーナイトはメタナイト卿の指示を聞き入れると、言われたとおりカービィとメタナイト卿の後方支援にまわる。 シュルルルルルルル! 「ぬぅん!!」 ブチィィィッ!! 「グゴォォォォォォ!」 ヘビーナイトの大剣の威力はすさまじく、一撃でゴッドの触手を一刀両断した。 そしてヘビーナイトは次々と触手を切り裂き、ゴッドの攻撃手段を確実に減らしていった。 だが、ここでゴッドは口の部分をもごもごとさせ始めた。 「(なんだ?)」 グエッ ヘビーナイトは不審に思ったが、そうなって2秒後ぐらいにゴッドは口からMTSの本社で捕食したと思われる魔獣を口から吐き出した。 ゴッドから吐き出された魔獣は脚部が無くなり、唾液塗れとなっている状態だが何故かまだゾンビのように生きており、ヘビーナイトのほうに向かってくる。 「行儀があまり良くないな…ふん!」 ヘビーナイトは気持ち悪いと思いつつも大剣で吐き出された魔獣を斬り裂き、粉砕する。 カービィ、メタナイト卿もヘビーナイトの活躍で触手に邪魔されずになんとかゴッドの上に乗っかり、身体にある眼球を滅多切りにした。 ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ! 「ングウゥゥゥゥゥオォォォォォォ!!」 これはかなり効いている。ゴッドは滅多切りを受けて悲鳴を上げた。 怯んで進撃することをやめたゴッドの身体から上に乗っかっていたカービィとメタナイト卿は床におりた。 「カービィ」 床に降りたメタナイト卿はカービィにギャラクシアを渡す。 「グウウウウウアアアオオオオオオオオオオオンンンンン!!」 苦しんでいるゴッドはカービィ、メタナイト卿、ヘビーナイトを丸呑みにしようと大きな口を開けた。 カービィはまっすぐに突進し、ゴッドの大口の中に飛び込んだ。 「たあああああああっ!」 ゴッドの大口に入る瞬間、カービィはギャラクシアを前に突き出した。 カービィはゴッドの口に呑み込まれてしまう。しかし。 ザブシュウゥゥゥゥゥゥッ!! 「グルルルルルルル…グ?グオォォォアアアアアア!!」 呑み込まれたかと思われたカービィはギャラクシアの突き刺し攻撃で体内を貫通、ゴッドの後ろ側から肉を突き破って脱出した。 「アガオオオオオオオオオオオオオッ!!!」 バチバチバチッ! ブシャアアアアアアアアッ! 身体をギャラクシアで貫かれたゴッドは火花と血しぶき、唾液を同時に吹き出しながら崩れ落ち、溶けてしまったかのような状態になり、その後動かなくなってしまった。 ゴッドを倒したカービィはメタナイト卿とヘビーナイトのところへ駆け寄ってきた。 ヘビーナイトは崩れ落ちたゴッドを見つめつつメタナイト卿に声をかける。 「……メタナイト卿、終わりましたね」 「……………ああ」 本物の旧友と思われる存在の成れの果てを見たメタナイト卿の返事と姿はどこか悲しげであった。 戦いが終わってすぐに、ナックルジョー、フーム、ブンが現場にやってきた。 「できれば俺の手で止めを刺してやりたかったな…」 ナックルジョーは液体のようになって動かなくなっているゴッドを見つめながら呟いた。 「グリルが言っていることが本当であろうとなかろうと、俺はMTSを許さない………!」 MTSに怒るナックルジョーの横にメタナイト卿がやってくる。 「ジョー、さっきも言ったと思うが…その気持ちは私にも痛いほどわかる。人の身体で実験をする者達の気が知れない…」 MTSがジョーの父・ジェクラの身体を魔獣の素材に使った、そのことで星の戦士側はとても暗い雰囲気に包まれる事となってしまった…。 〜ウィザード・フォートレス 研究室〜 マルクは肉塊のような姿と化したゴッドをポップスターに飛ばした後、研究室に来ており、プランクやマドゥー達にこの部屋にある培養カプセルの中にグリルが回収したゴッドの肉片と血液を入れさせるように命令していた。 「(あの完成形の第3形態のデータさえ手に入ればいい…。あれに更に改良を加えて最強のゴッドを作れば…。ふっ…ふふふふふふ…はっはっはっはっは…)」 マルクは何かを企み、心の中で笑っていると、研究室にずっと彼のことを待っているグリルが入ってきた。 「お兄ちゃん!早く出かけようよ、予定決まったよ?」 「ああ、少し作業があって。それじゃあ行こうか」 「うん!」 「お前達、ゴッドの肉片と血液はあとはそのままにしておくだけで良いから、僕達がいない間の留守番を頼んだよ」 「わかりました」 「それでいい。じゃあグリル、ドロシアとも一緒に出かけようか」 マルクはグリルと共に研究室から出て行った。 ポップスターに送り込まれたジェクラが変化した究極の魔獣・ゴッドはカービィ達によって遂に倒された。 しかし、マルクの手元にはグリルが回収したゴッドの肉片と血液がある。 カービィ達星の戦士がまたゴッドの脅威に晒される日は近い…。 〜デデデ城〜 同じ頃デデデ城では、ゴッドとの戦いを終えたカービィ達が安心して再びぐっすりと深い眠りに就いた。 だが、星の戦士達がゴッドの死骸のところから去って数分後…。 グチュッ、グチッ、ビチャッ! 「ギリイィィィィィィ…」 ゴッドの死骸を突き破り、そこから一匹のカブトガニのような小動物が飛び出した。 「グギリィィィィ」 ヒタヒタヒタヒタ… 死骸から出てきた一匹の小動物は、そのまま素早く移動し、壁を這い、城の外へと出て行ってしまった。 小動物は一体どこへ何をしに行ったのであろうか……? |