副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第23話・その2
〜襲撃準備〜



 〜MTSが未知の星を発見した日から1日後〜

 MTSの宇宙調査隊G班が謎の星を発見してから丁度24時間…丸1日が過ぎた。
 とは言っても、惑星ハーフムーンは太陽の光が差し込んでくるのない常夜の星であるため、一日過ぎたかどうかは時計かポップスターなどの他の惑星の様子を見ることでしかわからない。
 マルクとグリルの兄妹は二人で社長室におり、マルクは社長椅子に座りながら社長机の上に置いてあるパソコンを起動させながら赤い色の缶に入ったなんらかの飲み物を飲んでおり、グリルはそのマルクの隣でパソコンの画面や、飲み物を飲んでいるマルクのことを見ている。
 そういう状況の中、念力で持ち上げて缶の中身を飲んでいたマルクがそれを飲むのを途中でやめ、口を開いた。
「…ダメだ。やっぱりこの『D.P.』はいつ飲んでも不味いな」
「お兄ちゃんが宇宙で一番嫌っているその『D.P.』って飲み物はどんな味がするの?」
「飲んでみるか?」
「いや、最初にお兄ちゃんの意見を聞かせてよ?そうしてから私飲んでみる」
 グリルはいきなりマルクにまだ自分が飲んだ事の無い『不味い』と言われている『D.P.』を勧められ、焦った。
「この『D.P.』は僕らが支配下に加えたとある惑星のとある国で元々は高血圧の人のために作られた飲み薬として開発された飲み物なんだ。高血圧の人にとってはとても美味しい飲み物らしいのだけれど、僕を初めとする全宇宙の99.999%の人たちが『すごく…不味いです…』と評価している。これじゃああのコックオオサカも『宇宙一不味い食材』と評したキノコの一種『ゲロマズダケ』といい勝負だ。ゲロマズダケもそうだが、D.P.はあのポップスターに住んでいる料理人のコックカワサキの料理や、HN社のパイ魔獣・パワーストマックが生み出すパイよりも絶対に不味いだろう。多分あのカービィでも絶対にこれは嫌がって飲まないと僕は思う。こんなので腹の中をパンパンにされちゃあ誰だって地獄を見るはずだからな。…まったく、なにが『23種類の原料を混ぜ合わせて作った』だ、笑わせてくれる」
 そう言いつつも一度開けて口付けしたものは仕方ないと思っているのか、『D.P.』と呼ばれているその飲み物をまた飲み始めた。
 その隣では、グリルが勝手にマルクのパソコンを勝手にいじり始めている。
 するとグリルがパソコン内でインターネットを開き、検索サイトでなにかを調べ、掲示板サイトのようなものを開いた。
「ねぇねぇお兄ちゃん。ちょっとその飲み物の事について今調べてるんだけど、『D.P.が好きな人って、女にモテなくて彼女がなかなかできない男が圧倒的に多い』って書き込みがこの掲示板サイトのスレッドにあるけど、お兄ちゃんはこれって本当だと思う?」
「どうだろう?だが、僕はこのクソみたいな飲み物はどこが良いのかわからないし、これを美味しいと感じている奴らの気持ちも全く理解できない。これを平気で飲める奴はきっと湿布を水に溶かして飲んでもなんとも思わないんじゃないか?そしてその惑星の奴らがこんなのを販売している意図がわからないよ。血圧の薬ならもっと良い奴があるのにな」
「でもこれが本当だったら私、お兄ちゃんがそのD.P.が嫌いなのもわかるかもしれない」
「どうしてそう思うんだ?」
 グリルの発言に首を傾げるマルク。
「だってお兄ちゃんはイケメンでとってもかっこいいじゃん♪それもまだマジカルーマ族が滅びたり、まだ私たち兄妹が両親から虐待を受ける前の小さい頃からお兄ちゃんはずぅ〜っと私の友達の女の子にモテモテだったし。だから、お兄ちゃんみたいなモテる男の人はD.P.を不味いと感じて私は当然だと思うね!!…私にとっては、愛せる男の人なんて、お兄ちゃんしかいないけど〜♪」
 グリルは隣のマルクに抱きついて顔をなすりつけ、甘えた態度で、ニコニコしながらところどころ自信満々そうに言った。
「ん…うぁ、やめろグリル!わかったから離れてくれ…(ダメだ、それ以上近づかれると情が移る…)」
 グリルに抱きつかれ、彼女に顔を擦り付けられたマルクは顔を赤くし、困惑していた。
「顔が赤くなってるよ、お兄ちゃんかわいい♪」
「ば、馬鹿!これだからお前という奴は…」
 マルクは普段は冷徹で今みたいに甘えてくるグリルのことをいつもは『鬱陶しい』、『殴ってやりたい』と思う事が多いのだが、所詮は彼も男の子だ。
 グリルを初め、見た目のかわいい女性に予告もなしにいきなり抱きつかれるなどの大胆なボディタッチをされるのを苦手としており、さすがにそうされると照れてしまうという意外な弱点(と言えるのだろうか?)があったのだ。
「そうそう、お兄ちゃん。今日は侵略の準備の作業で今日やることが終わったら久しぶりに一緒に隣同士で寝ない?」
「え?」
 またしてもグリルの発言にまた顔を赤くして戸惑うマルク。
「あ、ごめん。それは今の仕事が終わってから、だよね?照れなくていいよ♪」
「ぼ、僕は照れてなんかいない……」
 口では真剣にそう言うものの、久々に、そして唐突にやったグリルの大胆な甘え方に顔の色と表情は照れていることを全く隠せていないマルク。
「あ!そういえば!今日のあの星の攻撃準備ってなにをするの?」
 グリルは急に思い出したかのようにマルクに聞いた。
「え?昨日は持っていく魔獣の種類を選んだから、今日はこのパソコンを使って昨日選んだ種類の魔獣をそれぞれ何匹持っていくかをまとめるんだ。多分そこまで時間は掛からないだろう。足りなくなってもこっちから直接送ればいいしな。作業が終わったら、調査隊から星の調査の途中経過の報告が来るまで二人で一緒になにかして遊ぼうか」
「え?遊んでくれるの?やったぁ〜!最近お兄ちゃんと毎日のように遊べるグリルって、なんだかついてるぅ〜♪」
「そんなに嬉しいのか?」
「うん!私、この宇宙からカービィたち星の戦士だけじゃなくて他の生き物がみ〜んな消えちゃったとしてもお兄ちゃんがいれば生きていけるもん!…お兄ちゃんは私と一緒じゃダメ?」
「ダメってわけではないが…」
「じゃあお仕事終わったらなにして遊ぶか一緒に考えようね♪えっと、それと!明日はさっきお話に出てきた『宇宙一不味い食材』と言われている『ゲロマズダケ』のことを教えてくれない?」
「…ちょっと気が早いとは思うが…まあ良いか。明日は字の多い本から物事を学ぶ事が苦手なお前に『ゲロマズダケ』のことを教えてやるよ。それや一緒に遊ぶ前に、まずは今日の仕事を片付けないとな」
「は〜い」
 マルクは飲み終わったD.P.の缶を床に置いてから縦に踏み潰して粉砕し、その直後にグリルと共に目の前にあるパソコンと向かい合い、作業を開始した。


 〜MTSが未知の星を発見した日から2日後〜

 MTSが未知の星を発見してからすでに2日が経過していた。
 マルクとグリルは昨日と同じように、社長室にある社長机の上のパソコンでなにか作業を行っている。
「昨日、宇宙調査隊のG班からあの星の調査の途中経過のデータが送られてきたからちょっと一緒に見ようか」
「うん」
 マルクはパソコンの画面でなにかのフォルダーを開き、そこの中にあった写真や資料などをクリックし、表示した。
「これがあの星の土地の様子、そしてこれがあの星の住人たち…らしい」
 するとグリルはその複数の写真を食い入るように見つめ、見た感想を述べ始めた。
「ん?何これ?あの星の住人って妖精みたいな姿をしているの?」
「どうやらそうらしい。それから同じように調査隊員のプランクやマドゥーどもから送られてきたその妖精たちの生態調査メモや、惑星の環境について記したメモもあるぞ」
 マルクはその文書ファイル二つを開き、グリルと共に読み始めた。
「え?なになに、『未知の惑星の住民たちについての調査報告…。未知の惑星の住民の妖精たちは女性が多く、妖精たちは一般型というものと戦闘型というものが存在する。未知の惑星の住民の妖精たちは水だけで生きている………』」
 グリルは二つのメモの文章を全て声に出して読んだ。
「なんか食料を必要としないこと以外結構平凡じゃない?こんな星簡単に征服できるよ、きっと」
 グリルは星の様子を聞いて思ったよりも普通すぎて、少しガッカリしているようだった。
「だが、見た目から予想できた事でもあったけど、ポップスターと似たような環境と言うのは少し魅力的じゃないか?」
「それはそうだけどさ…」
 マルクはメモを見てその未知の星はポップスターと似た環境である事を知り、少し期待をしていた。
 しかし、マルクはその文章を読んでいてその星の驚きの事実を知った。
「『今現在、星の様子はなんだかとても慌しく、まるで戦争の準備をしているかのようです』…。慌しい?どういうことだ、これは?」
「え?でもお兄ちゃんはちゃんとあの下っ端たちに『光学迷彩機能を使え』って事前に言ったはずだよね?」
「確かにそのはずだ…。奴らが僕の命令にちゃんと従っているのであるとすれば……まさか?!」
「ど、どうしたの?」
 マルクは何故彼らが戦争の準備をしているのかということについて、ある一つの仮説を一瞬で立てた。
「妖精どもは予知能力を持っている…?」
「えぇ?それはさすがにないと思うけど…」
 グリルはマルクの仮説を『考えすぎだ』と思い、否定した。
「いや、その報告の中にある『不思議な力を持っている』ということが本当であれば、予知能力も持っている可能性も0%ではないだろう。もし奴らが本当に戦いの準備をしているのなら、僕たちもそれに応えようじゃないか」
「うん!そいつらに私たちが作った魔獣の力を見せてやらなきゃ!」
「その意気だ、グリル」
 グリルは星を攻撃する事にすっかり乗り気になってしまっていた。
「ところで、その話も良いんだけど!今日は昨日お兄ちゃんの言っていた『ゲロマズダケ』のことについて教えてくれない?」
「ああ、それはだな…」
 マルクはその後、グリルに『宇宙一不味い食材』こと『ゲロマズダケ』の説明をグリルに行い、それが終わった後でグリルと二人で攻撃の準備の続きを行い、一日を終えた。


 〜MTSが未知の星を発見した日から3日後〜

 MTSが未知の惑星を発見してからもう3日が経った。
 一昨日や昨日と同じく、マルクとグリルの二人は社長室のパソコンを使ってなにかの作業をしている。
「昨日の仕事のおかげで妖精たちの対策としての戦力調整ももう終わった…。後は最終チェックだけだな」
「早く終わらせたいところだけど…お兄ちゃん」
「ん?なんだ?」
「なんかプランクやマドゥーたちからまた調査報告が届いているよ?」
 グリルにそのことを教えられたマルクはパソコン内の昨日使ったものと同じものであるフォルダーを開き、中身を確認した。
 そして、その中にあったメモを全て黙読した。
「…なるほど。やはりあれは戦いの準備だったようだな。戦う事のできない『一般型』と呼ばれる戦闘能力を持たない妖精たちがどこに避難しているのかもちゃんと記してあるとは…。あの雑用係どもも普段は殆ど役に立たないが、やるときはちゃんと仕事をするんだな」
 マルクは調査隊員のプランクやマドゥーたちの意外な働きぶりに感心していた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん、星の攻撃のこととは関係ないんだけどちょっと話したい事が…」
「どうした?」
「さっき魔獣を保管してある場所とかで魔獣の数を確認したら3、4体ぐらい減ってたんだけど…」
「なんだと?まさかチクタクの奴が勝手な事を…」
「でも、監視カメラの映像には怪しい人は誰も映ってなかったよ?」
「いや、グリル。お前はあいつの特殊能力を忘れたのか?」
「え?『時間を操る能力』のこと?」
「そうだ。奴はきっとこの本部の監視カメラの死角あたりにやってきて、その後で時間をとめて魔獣を勝手に持っていったに違いない」
「どうするの?チクタクのことを殺すの?」
「そんな事は未知の惑星を征服してから考えよう。僕たちは仕事を続けなきゃな」
「うん、わかった」
 マルクとグリルは作業に戻り、明日に迫った攻撃の日を前にその後は忙しい一日を送った。


 〜MTSが未知の星を発見した日から4日後・攻撃開始の日〜

 MTSが未知の惑星を発見してから4日後の今日。とうとうMTSは未知の惑星を攻撃する日を迎えた。  マルクはドロシアと共に司令室におり、未知の惑星に向かうためにすでに攻撃に使う魔獣が大量に格納された超大型宇宙船の中で待機しているグリルに通信を入れていた。
「…ついに来た。未開の惑星を制圧し、支配下に加えるこの日が。グリル、もう向かう準備は出来ているか?」
 マルクの通信に、宇宙船の操縦席にいたグリルが通信に応える。
 グリルの隣には、生まれ変わって戦闘力が上昇したボーラルがいる。
「大丈夫よ、調査隊G班が教えた場所に行くように調整してからスイッチを押せばそこまでワープできるんでしょ?」
「ふふふ…いよいよですね。私の力を存分に見せてやりますよ」
「…二人とも準備はいいみたいだな。わかった、スイッチを押せ、グリル。魔獣は追加する分はこちらから直接その星に送り込もう」
「りょうか〜い」
 グリルはワープする場所を調整してからワープスイッチを押した。
 するとMTSの本部、ウィザード・フォートレスの外にあった大型宇宙船が瞬時に消えた。
 未知の星にグリル率いる侵略部隊が向かった瞬間であった。


 〜MTSが発見した未知の惑星〜

 MTSが新しく発見された未知の惑星。それは調査隊G班の調査によると妖精たちが暮らしている星であった。
 ここからは、先ほどから少しだけ時間を巻き戻し、しばらくはこの惑星の住人である妖精たちの視点から物語を見てみよう。
 MTSが調査したとおり、発見した星には妖精たちが暮らしており、環境は自然が豊かで空気が綺麗、生物は妖精たち以外は存在しないというものであった。
 MTSがこの星を発見した日と同じ日、この星のある町並みでは、占い師のような妖精のところへ他の妖精たちが集まっていた。
 占い師のような姿をした妖精は、周りにいる一般人と思われる妖精たちになにかを伝えていた。
「今日は絶対に伝えておかなければならない重要なお話があるので皆様をここに集めました。今日から4日後に、この星リップルスターに災いが起こります」
!!!!!
 占い師のような姿をした妖精は突然、なにかを予知したように言った。
 また、その妖精はこの星のことを『リップルスター』と呼んでいるようだ。
「それもただの災いではありません、災いの根源は外の世界…宇宙からやってきます」
「プリステスさん、べ…別の宇宙って、まさかこの星の外から来るというのですか?」
「はい。間違いありません」
 プリステスと呼ばれた占い師のような妖精は周りの妖精たちにそう教えた。
「し…信じられない……」
「それよりも、ここ以外に私たちのような生き物が住んでいる星ってあったの…?」
「いや、プリステスさんの『未来を見ることのできる力』は本物だ…。あの人が予言した事は今まで必ず当たっていたし、私たちもあの人の力で助けられたことは何度もあります。信じるべきでしょう」
「まだ外の世界へ飛び立つ方法なんてないから、私も宇宙から来るということに驚きました…」
 プリステスと言う妖精の言葉を聞いた他の妖精たちはざわめき始める。
「で…では、もし本当にそうなるなら、私たちはこれからどうすればいいのでしょうか……?」
 周囲の妖精たちがざわめいている中、一人の妖精がプリステスに質問をする。
「…女王様にこのことを話して、対策を考えます」
 プリステスは質問にそう答え、背中の羽で空を飛んで大きな城のほうへ向かった。

 〜リップルスター 女王の城の中 玉座の間〜

 妖精たちには『リップルスター』と呼ばれているこの星には大きな城が建っていた。
 ここに、先ほど民衆と共にいたプリステスが入っていく。プリステスは城の通路をとおり、玉座の間までやってくる。
 この城の一番奥の玉座には、この星で一番偉いと思われる、大きな眼鏡をかけた女性が座っており、その横には少し地味な色合いの服装をした少年のような姿の妖精がいる。
 プリステスは眼鏡の女性の目の前にやってきて跪き、自分が予知能力で見た『外の世界の者(他の宇宙からの来訪者)』のことについて全て話した。
「…なんと?これからそのようなことがこの国に起こるとは…」
「はい、女王様」
「女王様、これからどうなさいます?」
 同じく、女王の横でプリステスの報告を聞いていた少年のような見た目の妖精が女王に問う。
「エスピリト、貴方は兵士たちを集めて外の世界の者からここを守るために話し合いをして備えてください。プリステスは、何人かの兵と共に、この星にいる力を持たない者全てをそれぞれ近くのシェルターに逃げ込むように呼びかけてください」
「「はっ!」」
 エスピリトと呼ばれた少年のような姿の妖精とプリステスは女王の指示でそれぞれ自分がやるべきことをするべく別の方向へ飛び立った。
「(それにしてもプリステスの言う『外の世界の者』…。どのような存在なのか想像がつかないですね…)」
 一人、玉座の間に残っている惑星リップルスターの女王は座った状態でプリステスが予知した『外の世界の者』のことについて考えていた…。

 〜4日後 予言のとおりであれば『外の世界の者』がやってくる日〜

 惑星リップルスターでは、戦う力を持たない普通の『一般人』のような立場の妖精たちはプリステスや彼女と共に出動した何人かの兵士妖精たちの指示で全員シェルターに逃げ込み終わり、兵士妖精たちはエスピリトの指示でそれぞれ星のあちこちで自分の持ち場につき、いざとなったらいつでも動けるような状態となっている。そして、女王から直接命令をされているという位の高い立場であるエスピリトとプリステスはどうしているのかと言うと、二人は女王の元へ残り、女王の護衛に複数の兵士と共についていた。
「プリステス、君の予言が当たっていれば今日『外の世界の者』がやってきて、ここを襲うんだよね?」
「ええ」
「僕たちは『外の世界の者』を追い払う事ができるのだろうか…?」
「…わかりません。『行動によって変えることのできる未来』…つまりは運命というものについては私も見ることが出来ませんから……」
「…言っちゃあ悪いけどキミの『未来を見る力』はいつも肝心なところがわからないときがあるよね……」
「…すいません……」
「あ、ごめん!謝るのは僕の方なんだ…。…うん、わからないならなんとしてでもこの国を守らないとね」
「はい」
 エスピリトとプリステスの二人がそんな会話をしていると、一人の兵士の妖精が慌てて彼ら二人と女王の元へ向かってきた。
「申し上げます!西の地区の方に謎の飛行物体が現れました!」
「!!!」
 報告にやって来た兵士妖精の言葉を聞いた女王とエスピリト、プリステス、護衛のために残っていた兵士妖精は目を見開き、驚いている様子であった。
「それと、この国へ来た『外の世界の者』たちは、女王様に話し合いを求めているそうで…」
 報告にやって来た兵士の妖精は、相手がいきなり攻撃してくるのではなく、何故だか話し合いを求めている、と話した。
「女王様、いかがなさいましょうか?」
 エスピリトがどう対応すべきかを女王に聞く。
「…私をその場所まで案内してください」
「女王様!しかし…」
「危険です!」
 女王の発言に、エスピリトとプリステス、報告にやって来た兵士妖精を初め、周りは反対した。
「もしその話し合いで帰っていただけるなら、私もその方が良い。無駄な争い事はしたくありません。今すぐ案内してください」
「わ、わかりました」
 報告にやって来た兵士妖精は女王を連れて城の外へ出た。


 〜リップルスター 西の地区のとある場所 MTSの宇宙船内〜

 リップルスターには、妖精たちからは『外の世界の者』と呼ばれているグリル率いるMTSの侵略部隊の大型宇宙船がワープで瞬時に到着し、すでに着陸をしていた。宇宙船の中では、まだグリルたちが待機している。
「(スピーカーからこの星の一番偉い人を呼んできて話をしようって言ったけど、本当に来るのかなぁ…。宣戦布告は相手をビビらせるのにも大事だってお兄ちゃんは言うけど、私としてはちょっと面倒臭いと思うなぁ…)」
「ん?グリル様、先ほど報告するように行ったこの星の兵が戻ってきたようですよ?なにやら眼鏡をかけた別の妖精と一緒です」

 退屈しているグリルの横で、モニターから外の様子を見ていたボーラルがグリルにそう話した。
「いよいよね…」
 グリルは寛いでリラックスさせていた体勢を元に戻してマイクに向かって声を入れた。
「貴方がこの星で一番偉い人?」




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