副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第25話
〜必殺!パワーショット!〜



 〜デデデ城 デデデ大王の部屋〜

 MTS本部が新しく発見した惑星を攻撃するための準備で忙しくしている中、ポップスターではチクタクがMTS上層部には秘密で、 勝手に持ち出した魔獣・サウンドクラッシャーが倒されてから1日が経過していた。
「結局サウンドクラッシャーも負けたのか…。ぐぬぬ…チクタク!チクタクはおるか!?」
「は、はい!ここに……」
「なんでもいいからまた新しい魔獣をさっさとよこすぞい!!」
 サウンドクラッシャーが負けてしまった事を知り、少し不機嫌なデデデは、チクタクを呼ぶなり、ちょっと怒りっぽくしながら彼に次の魔獣の注文をした。
「陛下ならそういうと思って、もうすでに新しい魔獣を連れてきましたよ〜。もちろん、グリル様達には秘密で!」
「ん?」
 チクタクはデデデの発言を見透かしていたのか、ニコニコしながら彼の注文に答える。
「ほら、ご覧ください!この魔獣ならカービィを倒せます!!」
「どうせまた負けるんじゃ…って、なな!?メチャクチャ強そうな魔獣じゃないかぞい!?」
「ええ。こいつを野に放てばカービィなんてイチコロです、きっと………」
 デデデが見て驚いた、チクタクの連れてきた魔獣とは……?


 ププビレッジの村はずれのとある岩場では、ナックルジョーと、すでにファイターカービィに変身しているカービィが稽古をしており、その様子をフームとブンが横で見ている。
 よく彼らと一緒にいるはずなのに、今日はこの場にいないシリカはというと、彼女は昨日、 マイクカービィとサウンドクラッシャーの大音量攻撃を2連続でまともに受けてしまった所為で激しい頭痛を起こして体調を崩し、一晩寝てもまったく回復しなかったため、 外に出ずに部屋の中で安静にしており、メタナイト卿の部下の騎士達に看病されながら休んでいる。
 そんなわけで、カービィとジョーは2人で練習戦を行っているのだが………。
「ん?なんかこっちに近づいてくるぞ………?」
「ぽよ?」
「え?わああっ!!」
 ビュウウウウン、ズドオン!!
 カービィ達4人は、突然自分達に向かって振り下ろされた拳を素早く避ける。
 4人は拳が飛んできた方向を見上げると、崖の上に白い毛を持ったサルのような姿をした生物がいた。
 彼の腕は伸縮自在のようで、腕をゴムのように伸ばしてカービィ達に崖の上からパンチを打って来たのだ。
 魔獣でもないとこのような荒業は出来ない。
 カービィ達はそのサルを魔獣と認識する。
「魔獣か!?」
「グオオオッ!!」
 サルのような魔獣はゴリラ類に見られるドラミングのような動作をした後、両腕で近くにあった大きな岩を頭上へと抱えながら、崖の上からカービィ達がいる岩場のところへ飛び降りてきた。
 崖から飛び降りてくるなり、サルのような魔獣はカービィに向かって持っていた巨岩を投げつける。
「バルカンジャブ!!」
 カービィはバルカンジャブで飛んできた岩を破壊し、ジョーと協力して反撃に転じる。
「「スピンキック!!!!」」
 カービィとジョーは2人で足から気弾を発射し、サルのような魔獣を攻撃。
 だが、サルのような魔獣は、巨体からは想像もつかないほどの素早い動きで2人の攻撃を回避してしまう。
 その後も2人はサルのような魔獣に攻撃をするが、全てかわされてしまった。
 そして…。
「グオオオッ!!!」
 ビュウウウウン!!
「な!?うわあああっ!!!」
 ズゴオオオオオン!!!
 サルのような魔獣の、腕を伸ばしてのパンチ攻撃でナックルジョーは大きく吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされた先にあった岩盤に身体がめり込んでしまった。
 しかし、その隙を突いてカービィがサルのような魔獣に攻撃を仕掛ける。
「スマッシュパンチ!!」
「グオオオオオッ!!」
 スマッシュパンチを浴びたサルのような魔獣は跳躍し、その場から逃げ出した。
 そして、カービィとフーム、ブンは吹っ飛ばされたナックルジョーのところへ駆け寄る。
「ナックルジョー、生きてる?」
「ああ…なんとかな………」
「上から来るぞ、気をつけろぉ!!……って!何言ってるのかしら私…」
「姉ちゃん、こんなときに変なギャグ言っても寒いだけだって…」
「うっ、うるさいわね!!言ってみたかっただけよ!……それよりも、ナックルジョー。怪我が大したことなかったのならよかった。とりあえず、あの魔獣の行方を捜さないと…」
「そうだな……あんな奴を生かしておいたらまずいことに………」
 ナックルジョーは全身が砂埃塗れになっていたが、怪我は大したものではなく、普通に動いて自ら岩盤から抜け出た。
 4人は魔獣を追うべく、岩場から離れて村の方へと戻ろうとした。
 すると、そこへカービィやフーム、ブンにとっては見慣れない人物2人が、道に迷ったのか、辺りをキョロキョロしながらこちらへ歩いてきた。
「おかしいですねぇ〜、この星に先輩のお友達の方がいるはずなんですけど……」
「う〜ん、また他の星をあたってみるとするかのぉ〜……」
 その2人は、一人は2頭身で背の低い、2足歩行の子犬のような姿をしており、手にはボクシンググローブのようなものをはめていて、 もう1人は身体の大きさはフーム達よりも少し大きく、一頭身のハウンド犬のような姿をしている。
 一頭身の犬のような姿をした人物は言葉遣いが年寄り臭く、高齢である事がわかる。
「あ……な、なんでこんなところに…?」
 4人の中でただ1人、ナックルジョーはその2人に見覚えがあったらしく、2人の姿を見て目を見開いた。
「ん?あ、先輩!それに、先輩のお知り合いも!」
「えぇ?」
 ナックルジョーを除く3人は、見知らぬ背の低い子犬のような人物に声をかけられて動揺する。
 声をかけた子犬のような人物は、横にいる一頭身の犬のような姿をした人物と共にカービィ達4人のところへ駆け寄ってきた。
「ジョー、お前もこの星に来ていたのか……」
「あ、あのぉ〜…貴方達2人は一体……?」
 フームは、やってきた2人に素性を聞く。
 そして、2人の知り合いと思われるナックルジョーが2人の紹介を始めた。
「紹介するぜ。こっちの小さいほうは、俺の友達で後輩のデッシーだ。で、こっちの大きいほうは俺の育ての親にして、俺の師匠である宇宙で名を馳せる有名な格闘家のバウファイター爺さんだ」
「大きいほうとはなんじゃ!まったく、失礼じゃのう!」
「バウファイター師匠の弟子のデッシーです!初めまして、皆さん!カービィさんや皆さんのことは先輩から聞いてます!そして先輩も、お久しぶりです!!  最近僕達のところへ帰ってこないから心配してたんですよ?」
「わりぃな2人とも。しばらくそっちに帰ってなくて……」
「へぇ〜、ナックルジョーの先生と友達なんだ〜……」
 フームは、ナックルジョーから2人のことを紹介されて関心する。
 紹介されて、ナックルジョーからバウファイターと呼ばれた老犬のような人物はジョーの表現に対して不機嫌そうに怒り、 デッシーと呼ばれた子犬のような姿の人物はハキハキとした口調で自分の口からも自分の名前を言った。
「爺さん、デッシー。このピンクで丸いのが、前に話したカービィ。こっちの女の子はフーム。そしてフームの弟のブンだ」
「宜しくお願いします」
「よろしく〜」
「ブン!ちゃんと丁寧な言葉遣いで!」
「へ〜い…」
「ぽよ!」
 フームは、少し馴れ馴れしいブンの事を注意し、カービィは笑顔で挨拶した。
「じゃあ、爺さん。デッシー。ちょっと俺達と一緒にメタナイトのところへついて来てくれねぇか?なんでこんなところにいるのかはそのメタナイトと言う奴のところへ行ったら聞くからさ。  あいつにも、紹介してやりたいんだ」
「ほぅ、案内してくれるのか?」
「ぽよ!」
 カービィ達4人、そしてナックルジョーの師匠と言われる人物のバウファイターとナックルジョーの後輩と言われる人物のデッシーはデデデ城のメタナイト卿の元へと歩いて向かった。


 〜デデデ城 メタナイト卿の部屋〜

「メタナイト。それぞれ俺の育ての親で師匠のバウファイター爺さんと、俺の後輩で友達のデッシーだ」
「バウファイター殿。そなたの名前はお聞きした事はあるが、実際にお会いするのは初めてだ……。よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくのぅ〜」
「それにしても爺さん、今日は何でデッシーと一緒にこのポップスターに来たんだ?」
「それはのぉ〜、お前からいつも聞いとるカービィやメタナイト卿に会いに行くためにこの星にやってきたのじゃが…まさかジョー。お前までいるとは思わなかった。 ……ふむ。丁度良い。お前がいるなら、わしが死ぬ前にそのお前に教えておきたい『究極の技』があるのじゃ」
「究極の……技……?ま、まさか?」
「そうじゃ、そのまさかじゃ。わしが500年かけて開発した究極の技を教えようかと思っての〜」
「究極の技って……何ヶ月かそこらで習得できるものなのか?」
「才能があって飲み込みも早いお前なら修行をすれば2日とちょっと程度で覚えられるじゃろう。……さて、一休みしたらジョー。お前はわしと一緒に来てくれんか? そうそう、メタナイト卿。そしてそこのお前さん達も一緒に…」
「え?ええ……」
「(まったく、この爺さんは何を根拠に2日とちょっととか言ってるんだ……)」
 バウファイターは一方的に話を進め、しばらくしたらナックルジョー、カービィ、メタナイト卿、フーム、ブンに自分と一緒に来て欲しいと言った。
 ナックルジョーは内心、いつもと変わらないと思われるバウファイターに少し呆れていた。
 だが、そのバウファイターが500年かけて編み出したという『究極の技』とは一体何なのであろうか……?


 数分後、バウファイターから『究極の技』というものを習得するためにナックルジョーはバウファイターが指導する下でカービィ、メタナイト卿、  フーム、ブン、デッシーの5人と一緒に修行をすることとなった。
 とは言ってもメタナイト卿、フーム、ブンの3人は修行している様子を見ているだけではあるが。
 カービィはファイターカービィへと変身し、ナックルジョーの修行に協力する事に。
 バウファイターは普段は年寄り臭くのんびりとしているが、修行のときは鬼と思えるほどに真面目で厳しく、カービィ、ナックルジョー、デッシーの3人はしっかりと真面目に修行に取り組んだ。
 準備運動が終わると手合わせをし、泥だらけになりながらも、ナックルジョーは『究極の技』の特訓に本格的に入っていく。
「この技は力を入れた一点にエネルギーを集中させ、それを一気に爆発させるというのがポイントの技じゃ。まずは精神を統一する練習から始めるぞ」
「ああ」
 そんなこんなで1日が過ぎていったが、さすがに修行を始めてすぐには技を習得できるはずもなく、『究極の技』は完成しなかった。


 〜プププランド 海岸〜

 3日後の、MTSの精鋭が丁度謎の星を襲撃しているのと同刻。
 ナックルジョーは夜も寝ないで技を完成させるのに必死になっていたが、まだ完成はしていない。
 今日は教えている立場のバウファイターと、ナックルジョーの後輩であるデッシー以外の人物は修行に付き合っておらず、実質ナックルジョーとバウファイターの1対1の特訓である。
 ナックルジョーはエネルギーを右の拳に集め、ビームのようにして撃とうとするが、不発に終わり、小さな気弾が出る程度のものになってしまう。
「くっ…やっぱりダメか……。どうしても光線のように撃ち出すことができない…」
「やはりお前はこういうときに限って少し焦ってしまう気持ちを直さないといかんようじゃな。究極の技『パワーショット』はそういう気持ちもコントロールできてこそ完成するのじゃ」
「よ、よし!(集中……集中……)」


 その頃、ププビレッジには数日前に逃げ出したサルのような姿をした魔獣が出現し、大暴れしていた。
 カービィはファイアカービィとなり、頭痛が回復したシリカとタッグを組んで戦うが、敵の素早い動きについていけず、苦戦を強いられる。
 その上途中からサルのような姿をした魔獣に加勢するかのようにチクタクが呼び寄せたと思われる魔獣・ティンダロスとJ・アックス、ローズラブリーが乱入し、カービィとシリカの2人を更に苦しめる。
 2対4の戦いでは圧倒的にカービィ達の方が不利であった。
「バーニングアタック!!」
 カービィの炎を纏った突進攻撃をサルのような姿の魔獣は素早くかわしてカービィの背後をとり、彼を掴んで地面に叩きつける。
「うわああっ!」
 チュイイン、ドシュン!!
「ぽよー!!」
 地面にめり込んで動けなくなったカービィにサルのような姿をした魔獣は右の掌からエネルギー波を発射、カービィを攻撃する。
 カービィの攻撃はサルのような魔獣にはまったく当たらず、カービィの方も息切れをし始める。
「はぁ…はぁ…」
「グオオオッ!!!」
「ぷあ! ぽよ!」
 しめたとばかりにサルのような魔獣はカービィに連続パンチを浴びせ、空高く殴り飛ばし、落ちてきたカービィを再び殴りつける。
 カービィは変身が解け、サルのような魔獣に思うようにいたぶられてしまう羽目に。
 カービィのすぐ隣では、シリカがチクタクが新たに本部から持ってきた可能性が高い3匹の魔獣相手に苦しんでいた。
 武器は戦いの最中にすでに弾き飛ばされ、彼女はなんとかそれをまた拾おうと敵の攻撃を必死で回避しているという状況であった。
「ガウウウッ!!!」
「グオオオッ!!!」
「くっ!」
 シリカはティンダロスの噛み付きとJ・アックスの斧を振り回す同時攻撃をなんとかかわしたが、 今度はローズラブリーがシリカの足元目掛けて遠方からベトベトした強粘性の粘液を飛ばして攻撃してきた。
 ティンダロスらの攻撃を避けた直後のシリカはそれに反応できず、発射された粘液をまともに浴びてしまう。
「し…しまった……!!」
 足元のあたりに粘液を浴びたシリカはネバネバで動けなくなり、更にローズラブリーが蔦を触手のように伸ばし、蔦はシリカの腕と首、腹部に巻きつく。
 そしてローズラブリーはシリカを強く締め付けた。
「ぐああああっ…!!」
 身動きが取れないシリカのところに、サルのような魔獣にいたぶられているカービィが吹っ飛ばされてきた。
「「うああああっ!!」」
 ドシュウウウン!!
「「がああああっ!!」」
 シリカは蔦と粘液のネバネバからは解放されたものの、カービィと一緒に吹っ飛び、地面を転がった。
 サルのような魔獣は右の掌からまたもやエネルギー波を発射し、2人をまとめて吹っ飛ばす。
 2人の星の戦士はどうやってこの状況を切り抜けるのだろうか!?


 カービィとシリカの2人が戦っている頃、ジョーはまだ修行をしており、右の拳の一点に意識を集中させていた。
「(今だ!!)」
 ドシュウウウウウウン!!
 ジョーはエネルギーが充分溜まったと見て自分の正面にあった岩に向かって右の拳を突き出した。
 すると、ジョーの右の拳からエネルギーが青いビーム状に撃ち出された。
「おお!よ、よくやったの〜、ジョー!」
「先輩!ついに完成させたんですね、師匠の究極の技『パワーショット』を!」
「ああ。もう技を出すコツは掴めた」
「パワーショットは一回撃つ事に成功すればあとは普通に使う事ができる」
「爺さん。それにしても、なんでこの技を…この俺に?」
「最初にも言ったかと思うが、わしが死ぬ前にわしの一番弟子であるお前にこの技を教えておきたくてな。それと、その技は若者が使ってこそだとわしは思うんじゃ」
「どういう意味だ?それは……」
「パワーショットは、エネルギーを溜める時間を長くすればするほど威力の増大が可能な技で、エネルギーを溜めた量によって一段威力が上の『メガパワーショット』、  更にもう何倍以上も威力が上の『ギガパワーショット』に進化していくのじゃが、その分体力の消耗が激しく、もう老いぼれのわしがこの技を使うとすぐに疲れてしもうてな。 だから若いお前に教える事にしたのじゃよ」
「なるほど……」
「話はまだ終わっとらんぞ。ここからが大切な事じゃから、よく聞いておくのじゃ。今、パワーショットは最高まで進化させると『ギガパワーショット』になると言ったじゃろう? そのギガパワーショットはわしが編み出した数々の技の中で最強の威力を誇る技なのじゃが、 ギガパワーショットは普通のパワーショットや普通のパワーショットよりも威力が上のメガパワーショットよりも体力の消費が激しく、 一発撃つだけでもそうとう疲れる。うかつに連発してはならん。無理に一日に何度も連発をしたそのときは、お前の命に関わることとなるぞ……」
 ジョーはバウファイターの警告を心して聞き入れた。
「わしが話したことを全部頭の中に入れておけば、お前は究極の技を使いこなしたも同然じゃ……って、うん?近くの平地が騒がしいのう……」
「この前逃げた魔獣か!?……爺さん。俺、早速究極の技『パワーショット』を試してくる!」
「おぅ、気をつけてな」
「先輩、頑張ってくださいよ〜!」
 ナックルジョーはバウファイターとデッシーに見送られ、空を飛んで騒ぎのする方向へと急いだ。
「ぽよ〜!」
「うわああっ!!」
 カービィとシリカは魔獣達…特にサルのような魔獣の猛攻撃の前に倒れそうになっていた。
 もはやこれまでかと思われたが……。
「待て!!!」
 修行を終えて『究極の技』を習得したナックルジョーが2人を助けに現れた。
「じょっ…ジョー……」
「シリカ!カービィ!お前達は下がってろ。奴らは俺が倒す……!」
 ナックルジョーは4体の魔獣の前に立ちはだかり、右の拳を後ろに引いてその一点にエネルギーを溜め始める。
「グルルルルル……」
 何が起きるのかわからない魔獣達は、ジョーのことを睨みつける。
 そしてティンダロスとJ・アックスの2体が同時にジョーに向かって走って襲い掛かり、ローズラブリーは蔦をジョーに向かって伸ばす。
 ティンダロスとJ・アックス、ローズラブリーの蔦が一斉にジョーに襲い掛かったそのとき、ナックルジョーはエネルギーが溜まった右の拳を正面に突き出した。
「パワーショット!!」
「ガァ!!??」
「グオォォォッ!!」
 ズドオオオオオオン!!!
 ナックルジョーが拳を突き出すと、右の拳から青色の光線のような波動がサルのような魔獣も含めた4体の魔獣に向かって放たれた。
 ナックルジョーのその技・パワーショットによってティンダロス、J・アックス、ローズラブリーの3体は一瞬にして消し飛び、倒された。
 だが、サルのような魔獣は上手くジャンプして避けたようで、ダメージを受けた様子はなかった。
「か…完成したんだ……究極の技が…」
「ぽよ〜!」
 ナックルジョーの勇姿を見て、シリカとカービィは感動し、目を輝かせた。
 続いてナックルジョーは残されたサルのような魔獣と対峙する。
「グオオオッ!!!」
「くっ!」
 相変わらずの素早い動きでサルのような魔獣はナックルジョーに襲い掛かってくる。
 そして肉弾戦が繰り広げられるが、素早さは相手の方がやはり上で、ナックルジョーはその素早さに追いつくことが出来ず、少々手を焼いていた。
「うわっ!!!」
 サルのような魔獣のパンチが、ナックルジョーを吹っ飛ばした。
 サルのような魔獣は続いてナックルジョーに掴みかかり、両手で彼を強く締め付ける。
「くっ……う………うがああああっ!!」
 ナックルジョーは締め付けられて苦しみ、悲鳴を上げる。
 サルのような魔獣はジョーを締め付けた後、彼の身体を地面に叩きつけ、追撃といわんばかりに跳躍してからの押し潰し攻撃をしてきた。
「うわああっ!!」
 ナックルジョーは押し潰し攻撃をまともに喰らい、彼はその後も連続で、何度も押し潰し攻撃を受けてしまう。
「ぐ………うぅぅ……うわああ!!」
 魔獣は容赦なくジョーのことを押し潰し、彼を再び掴んで自分の足元に投げ飛ばす。
 そして今度はどこからか持ってきた岩で足元にいるジョーを押し潰し始める。
「ジョー……」
「ぽよ……」
 魔獣に苦戦するナックルジョーを見て、先ほどジョーの指示で後ろに下がったシリカとカービィは心配している。
「がああっ!…ぐっ……スピン………キック!!」
 何度目かの押し潰し攻撃を喰らったとき、ナックルジョーは傷だらけになりながらもスピンキックで反撃する。
「グオオオオオオッ!!!」
 気弾は岩を破壊してそのまま魔獣の顔面に命中。
 攻撃を受けたサルのような魔獣は怯み、後ずさりをする。
 そこにナックルジョーは力を振り絞って連続で技を決めていく。
 だが、黙ってやられている魔獣ではない。
 ジョーの攻撃を受け止めると彼を殴りつけ、怯んだ彼を足で踏みつける。
「うわああああっ!!」
「ジョー!!」
 もう体力があまり残っていないナックルジョーは攻撃を受け止められず、踏み潰されてしまう。
 それを見てシリカが思わず叫ぶ。だが……。
「う……うおぉぉぉぉっ………!!」
 踏み潰されたかに見えたナックルジョーだったが、すんでのところで腕に力を入れ、魔獣のことを持ち上げたのだ。
「うおりゃあああああっ!!!」
「ガオオオオオオオッ!!」
 ナックルジョーは持ち上げた状態からサルのような魔獣を投げ飛ばした。
 直後、ジョーは魔獣がフラフラになって起き上がるのに時間が掛かっている隙に右の拳にエネルギーを溜め、数秒溜めていると、 右の拳に溜めているエネルギーの色が青色から赤色へと変化する。
 そして……。
「ギガパワーショット!!!」
 ズドオオオオオオオオオオオオ!!!
「グオアアアアアアアアッ!!!」
 ナックルジョーは右の拳を前に突き出し、パワーショットの最強の進化系とも言える、超高温の赤い波動を撃ち出す技『ギガパワーショット』を繰り出す。
 ギガパワーショットを浴びた魔獣は高熱光線の前に一瞬で消し炭と化し、完全に消滅した。
 魔獣を倒したナックルジョーのところに、後ろに下がっていたカービィとシリカが駆け寄ってきた。
「やったね、ジョー!」
「ぽよ〜!」
「ああ。…うぅっ……」
 フラッ…
「ど、どうしたの?」
「ぽよ?」
 突然、ナックルジョーがふらついたので、シリカとカービィは心配して声をかける。
「…いや、今の技を使ってちょっと疲れただけだ。爺さんも、この技は体力の消費が激しい…みたいなことを言ってたしな。とりあえず、今日は早く帰ってゆっくりと休みたいぜ」
「そうだね、早く帰ろう?」
「ぽよ〜!」
 カービィ達3人が帰ろうとしたとき、バウファイターとデッシーの2人がナックルジョーの元へやって来た。
「見事じゃったぞ。ギガパワーショットを使いこなすとは、その技を完全にものにしたな」
「先輩、超かっこいいです!!」
「ああ、有難う。爺さん、デッシー。これからもこの力を使って奴らとの戦いに活かしていくよ」
 そうして、5人はデデデ城の、フーム達の元へと帰っていった。


「もう行っちゃうのですか?」
「はい。またいつかお会いしましょう、皆さん」
「向こうの星においてきた弟子達のところへ帰らなきゃならんからのう」
「次はいつここにやってきますか?」
「わかりません。でも、先輩に呼ばれればまた来れると思います」
 翌日の早朝、デッシーとバウファイターの2人は、カービィや別れを惜しむフーム、そしてナックルジョーに見送られながら自分達が住んでいる星へと帰っていった。
「さようなら〜!」
「ぽよ〜!」
「(ありがとうよ、爺さん……いや、師匠…!)」
 育ての親であるバウファイターから新しい技を教えてもらい、一段と強くなったナックルジョー。
 星の戦士達は更なる高みを目指してどんどん強くなっていき、HN社を遥かに凌ぐ脅威であるMTSに対抗するための力を少しずつ身につけ、成長していくのであった。




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