副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第30話・後編
〜最悪の援軍〜



 カービィ達3人の戦士がマスコローゾとシャードロの2体の魔獣と戦いを繰り広げている中、その場所から少し離れたところに位置する場所。
 ジャクソンは1人、バイオリンが入ったケースを抱えたままデデデ城の方向へ帰っているところであった。
 しかし、そんなジャクソンを後ろから引き止める人物が2人いた。
「「待て!」」
「ぅん?」
「貴様が例の『緑色の血を流し、魔獣を始末する役目を持った魔獣』こと、『魔獣チクタクを殺したカメレオンの魔獣・ガメレオアーム』だな!?」
 現れたのはメタナイト卿の従者の騎士2人である、ソードナイトとブレイドナイト。
「おぅ、この俺のことをよく知ってるな。と言うより、何故そこまで知っている…?」
「夜、MTSのグリルとお前の密会の様子の一部始終は見させてもらった」
「やっぱあの密会は見られてた、ってことか…」
「ここで我ら2人がお前の相手になってやる……!!」
 ソードとブレイドはそれぞれ剣を引き抜き、剣先をジャクソンの方に向ける。
「悪いが俺はあんたらと戦う気は無い。俺の目的は星の戦士を始末する事と、不用な魔獣や裏切り者の魔獣を処分する事だからな」
「「問答無用!!」」
「あ〜ぁ、まったく……」
 ジャクソンは2人の同時攻撃をかわすと、魔獣としての本来の姿である、カメレオンの魔獣・ガメレオアームの姿に変化した。
「やはりそれが貴様の正体か!!」
「悪いがお前達と戦う気は無いんだ、俺は…」
 ガメレオアームはなんとかソードとブレイドの2人を振り切ろうとするが、ソードとブレイドは激しい攻撃を止めることはない。
「面倒だな……」
 ガメレオアームは仕方なくソードとブレイドの2人に向かって伸縮自在で、先端には鉤爪がついており、2本に分かれた尻尾を伸ばして攻撃しようとする。
 しかし、これに対してソードとブレイドは待っていたかのように駆け出す。
「!?」
「「うおおおぉぉッ!!」」
 ズバッ!
 ブシュウゥッ ビチャビチャビチャ!
「ちっ……!」
 ソードとブレイドは尻尾攻撃を見切り、2本の尻尾がそれぞれ地面に突き刺さった際に1人1本ずつ剣で尻尾を斬り落としたのだ。
 剣で斬り落とされた尻尾からはガメレオアーム特有の緑色の血液が噴き出し、地面に飛び散った。
 しかし、気がついたときにはガメレオアームは姿を消しており、ソードとブレイドはあたりを探すが見つけることは出来なかったかに見えた。
「見失ったか……」
「待て、ブレイド。これを見てみろ。奴の血が地面に…」
 ソードは地面を指差してブレイドに、道に血のような跡が点々と続いている事を教える。
「緑色の血が垂れている…。奴のことはこれを目印に追いかけることが出来るな」
「それよりも、メタナイト卿がパルシバル卿とパラガード卿のお2人から聞いた魔獣は奴の事で間違いないということがわかった」
「ああ。奴を追いかけるより前にこのことをすぐに卿に報告しよう。あの魔獣はその後で卿やボス、アックス達にも来てもらって仕留めなければ」
 ソードとブレイドの2人は斬り落とした尻尾をそれぞれ1人1本ずつ持ち、メタナイト卿が待っているデデデ城のほうへ向かった。


 一方、こちらは土手で2体の魔獣と戦っているカービィ、ナックルジョー、シリカの3人と、その様子を見てカービィに指示を与えているフーム。
 カービィはウォーターカービィになってシャードロを攻撃しているが、シャードロにはあまり効果が無いようで、救援に来たはずが逆にシリカと2人で苦戦していた。
「フシシシシシ」
 シャードロはカービィとシリカの人に向かって黒くてナイフのように鋭い刃のようなものを飛ばしてきた。
「カービィ、吸い込みよ!」
 戦いを見ていてシャードロに水は効果が無いことを感じ取っていたフームはカービィに指示を与え、飛ばされてきた刃状の黒いエネルギーを吸い込ませる。
 カービィはソードカービィに変身し、反撃を開始。
「回転斬り!!!」
「ヌアオォォォッ!!!」
 広範囲を攻撃する新しい必殺技『回転斬り』でシャードロの分身を一掃するカービィ。
 本体だけとなったシャードロに、シリカがクロスガンをミサイルランチャーの機能を使って攻撃しようとするが…。
「うぐっ……!(み…右腕が…)」
 シリカは無理に怪我をしている右腕を使ってクロスガンを扱おうとしたために手元が狂い、ミサイルを誤射してしまう。
 発射されたミサイルはシャードロには命中せず、土手の上の方へと飛んでいく。
 その先には、歩いていた謎のバイオリニストのジャクソンの姿があった。
 そのことに、土手を背にして戦いを近くで見ていたフームが最初に気がつき、後ろを振り向いてジャクソンに注意を呼びかける。
「あ、危ない!!」
「ん?」
 しかし、フームが注意をしたときには遅く、ミサイルはジャクソンの目の前まで迫っており、避けるのはほぼ不可能と言える状況になっていた。
 ドガアァァァン!!
 そのとおりに、シリカが誤射したミサイルはそのままジャクソンに直撃する。
「ぐぅあぁっ!」
 ミサイルの直撃を浴びたジャクソンは体勢を崩し、転倒して土手の上から滑り落ち、フームのところまで転がってきた。
「だ、大丈夫……?」
「ああ、大丈夫だ」
 フームは爆発に巻き込まれて怪我をしたであろうジャクソンに駆け寄ったが、ここですぐにおかしなことに気づく。ジャクソンは何故、並みの者なら直撃すれば身体はバラバラ、良くても身体の部位が欠損するかもしれないという怪我を負うほどの威力を持った爆発物の直撃を受けたのに、普通に起き上がったのか。
 そして彼の受けた傷を見て、ついに彼がただのププビレッジにやって来た旅行者ではなく、化け物か何か…異端の者であるということを知る。
「怪我は……………えっ……?」
 ジャクソンの服が破れた部分と腕のあたりの傷口、更に口からは、緑色の血が流れ出ていたのだ。
 それを発見したフームは予想外のことに戸惑った。
「貴方が…………まさか……パルシバル卿達が言っていた……!」
 ジャクソンも自分自身の正体が何であるかを、横にいるフームが知ってしまったことを悟った。
「あ〜あ……バレちまったようだな、なら仕方がないか」
 ドンッ!
「きゃっ!!」
 ジャクソンは横にいたフームを突き飛ばして立ち上がる。
 すると彼の身体は一瞬にして2頭身の人型のような姿から、2足歩行で襟飾りを首に生やし、尻尾は2本に分かれているが、すでに斬り落とされているカメレオンのような姿の怪物に変身した。
 その姿と体色はフームが覚えている限りでは、先日チクタクを殺し、MTSの副官であるグリルから『ガメレオアーム』と呼ばれていたカメレオンの怪物と全く一緒であった。
 そのジャクソンがガメレオアームに変身していく様子は、魔獣と戦っていたカービィとナックルジョー、シリカの目にもしっかりと焼き付けられていた。
「ぽよ?」
「そんな……」
「こんな…ことって…」
 周囲が驚きを隠せないのも無理はない。
 正体がついに露呈したガメレオアームは戦っているカービィ達のところへ近づいてくる。
「さあ俺の正体がわかったところで戦いの続きだ……!」
 ガメレオアームは跳躍し、シャードロと戦っていたカービィに飛びかかっていき、突き飛ばしてカービィをシャードロから引き離した。
「お前の相手は俺だ」
「ぽよっ!」
 突然魔獣側に加勢してきたガメレオアームにカービィは驚き、彼の攻撃を受け止められず、吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる。
「はあっ!!」
 ベロォ〜ン!
「ぽよっ!?」
 ガメレオアームが大きく口を開けたかと思うと口の中から長い舌を伸ばし、カービィを捕らえた。
 舌に捕まってしまったカービィはどうすることも出来ず、そのままガメレオアームの元まで引き寄せられてしまう。
 引き寄せられた先にはガメレオアームの大きな口が待っていた。
 はむっ!
「カービィ!!」
 ガメレオアームの元へ引き寄せられたカービィは彼の口の中へと引きずり込まれてしまった。
 それを見たフームは思わず叫んでしまう。
 ペッ!
 ドカァ!

「ぽよぉっ!!」
 カービィを口に含んだガメレオアームはすぐにカービィを吐き出し、近くの木にぶつけてダメージを与えた。
 続けてガメレオアームは口を開けて虹色に光る弾丸をカービィに向かって連射する。
 放たれた弾丸はカービィに命中、爆発に巻き込む。
「ぽよ〜っ!!」
 爆発で吹っ飛ばされ、カービィは持っていた剣を折られてしまい、完全に追い込まれてしまう。
 すぐ近くで戦っていたナックルジョーとシリカも、マスコローゾとシャードロを相手に苦戦していた。
 3人が魔獣達に苦しむ中、星の戦士達やフームにとっては間違いなく最悪とも言える、更に運の悪い出来事が重なる。
『皆で何やら楽しそうね。私達3人も仲間に入れてくれない……?』
「そ…その声は……!!」
「やっと来てくれたか、俺の女神……」
「はっはっはっは…」
「フシシシシシ…」
 周囲に突然、女の子のものと思われる声が響き渡った。
 その声はカービィやフーム達にも聞き覚えがあり、声を聞いたガメレオアームとマスコローゾ、シャードロは全員期待の表情を浮かべる。
 その声がした直後、魔方陣の中から転移魔法を使ってこの星までやってきたと思われる、現在のカービィ達にとっての最強の敵であるMTS副官のグリルと、カービィ達は初めて見る、MTSの新たなる上級ランク魔獣でグリルの護衛に就いているシミラとウィズが出現した。
「また遊びに来てあげたわよ〜、カービィ……。それよりも、貴方達2人は星の戦士達と顔を合わせるのは初めてでしょ?テキトーに自己紹介を済ませちゃって」
 グリルに言われ、彼女自身から見て左横にいたシミラが口を開く。
「私はMTSの魔獣シミラ。こちらの者はウィズ。私達2人は、偉大なるMTS首領とドロシア様の命を受け、グリル様の護衛に就くことになった」
「護衛と言うよりは『側近』とか『近衛兵』って言ったほうがかっこいいわよね〜。そんなわけで、今から私達も戦いに加わるから」
 グリルは前置きを終わらせるとカービィに、シミラはナックルジョーに、ウィズはシリカの方へと向かい、ガメレオアーム達魔獣に協力する。
「あれ?ガメレオアーム、尻尾が半分なくなっちゃってるけど…どうしたの?」
「ん?これか?ちょっと色々とあってな」
「もう、本当に油断したりとかだらしないんだから!…さぁ、ここからはキバっていくよ?女の子のためならなんでもするんでしょ?」
「当然だ。運命の女よ」
 グリルはガメレオアームの怪我を心配するが、彼がいつもどおりの調子だったので安心してカービィと戦うことにした。
「それっ!!」
「ぷあああっ!!」
 剣をすでにガメレオアームに折られ、丸腰となっているカービィにグリルは容赦なくフレイムボールを浴びせた。
 その後も遊び感覚で彼女は何度もカービィを殴り蹴り、時折魔法を喰らわせる。
 彼女の攻撃一発一発がカービィにとっては大きなダメージとなり、限界まで追い詰めてしまう。
 倒れそうになっているカービィに、次はガメレオアームが攻撃を仕掛けてきた。
「まだまだおねんねをするには早いぜぇ?はああぁっ!!」
 ズガアァァン!!!
「うわああぁっ!」
 ガメレオアームのタックルが決まり、カービィは後ろに転がっていく。
「そろそろやりましょ、ガメレオアーム」
「ああ、わかってる」
 グリルは倒れて動けないカービィの周りの空中にブロックを多数出現させ、ガメレオアームはカービィに向かって口を開け、それぞれ攻撃の準備に入る。
「1、2の……3!!」
 そして、グリルの合図でブロックはカービィの元へ一斉に落ち、ガメレオアームは口から大量の虹色に光る弾丸を発射した。
 それらは大爆発を起こし、カービィを爆炎に包んだ。
 ドガドガドガドガドガドガドガアアァァァァァンッ!!!
「うわあああぁぁぁぁぁっ!!」
 爆発の中からはカービィの悲鳴が聞こえてきた。
カービィィィーーー!!!!
 その残酷でやりすぎなグリル達の攻撃にやられるカービィを見て、フームは泣くような悲痛な声を上げる。
「イェイ☆」
「決まった!素晴らしい!!さすが俺……」
 爆発を背景にグリルとガメレオアームは決めポーズを取り、ガメレオアームはそれに決め台詞を付け加えた。
 爆発と煙が晴れた後で、そこにはすでに変身が解け、ボロボロにされていたカービィが倒れていた…。

 新たに出現した上級ランク魔獣のシミラは、ナックルジョーと戦っていたマスコローゾの元へ駆けつけ、力を貸すはずだったのだが…。
「名前はグリル様から聞いている、マスコローゾ。悪いがここを退いてくれ。後は私に任せろ」
「何を言っているんだ、お前は」
「良いから下がれと言っているんだ!!」
 バシッ!!
「ぐはあっ!」
「!?」
 シミラは驚く事に、マスコローゾを手に持っていた杖で自分の後ろに跳ね飛ばしてしまった。
 その光景を見てシミラとマスコローゾの目の前にいたナックルジョーが驚かないはずがない。
「遠慮なく来い、お前の相手は私だ」
「1対1で戦おうというのか…?」
「そのとおりだ。私は卑怯な事は嫌いなのでな」
「(なんか妙な奴だな……。この前のチクタクとは違う…)」
 ナックルジョーがシミラの性格を前のチクタクとは反対である事を感じ取っている間に、シミラは手に持っている杖を両刃の剣のような形に変形させた。
 シミラの剣術はジョーを圧倒し、追い詰めていく。
「(奴の剣の攻撃は半端なく強い…なら遠距離で攻めるしか…)」
 接近戦は不利と見たジョーは後方に飛び、距離を取って右の拳にエネルギーを溜め始めた。
「……?」
 数秒後、エネルギーが溜まってジョーは右の拳をシミラのいるほうに向かって突き出した。
「パワーショット!!!」
 ゴオオオオオッ!!!!
 すさまじい威力を持った青白い波動は一直線にシミラに向かって飛ぶ。
 しかしシミラはこれを待っていたかのように向かってくる波動に向かって手をかざした。
「リフレクトバリアー!!」
 シミラが手をかざすと彼女の前には円形で半透明のバリアーが張られた。
 バシィィンッ!!
 バリアーはナックルジョーが撃ったパワーショットをそのまま跳ね返してしまう。
「なっ…!?うわあああっ!!!!」
 跳ね返ってきたパワーショットの直撃を受け、ナックルジョーは何が起こったのか理解する事ができぬまま、全身傷だらけの状態で倒れ、気を失った…。

 ウィズはシリカとシャードロの戦いに参加。
 しかしマスコローゾとの戦いですでに右腕と腹部に怪我をし、限界が近づいていたシリカ相手にウィズはあまりやることがなさそうな感じで、つまらなそうにシャードロがシリカをいたぶる様子を見ていた。
 ガブッ!!
「ぐあああっ!!」
 シャードロはシリカの影に溶け込み、後ろから彼女の怪我をしている右腕に噛み付いた。
 シリカは痛む右腕を押さえ込んでたまらず倒れそうになる。
「私にもやらせろ。そらっ!」
 バキィッ!
 すると、倒れそうになったシリカの元にウィズは瞬間移動し、手に持っているスティックで彼女を打ちのめした。
「うああっ!」
 打ちのめされて仰け反ったシリカに、ウィズは華麗な動きを見せつつ、連続でスティックを打撃武器の代わりに使って攻撃する。
 怪我と疲労、ダメージで限界を超え、フラフラになっていたシリカに、ウィズはとどめの一撃としてスティックで彼女の腹部を一突きした。 「はっ!」
 ドスッ!
「が…はっ………」
 ウィズのスティックによる突き攻撃を受けたシリカは口から赤い血を流しつつ倒れ、気絶してしまった…。

「嘘…信じられない……」
 MTSの強力な魔獣達と、後からやって来た副官のグリル、そして彼女の側近の魔獣によって星の戦士達が倒れていく光景をフームは目の前で見ていたが、それらが信じられない様子であった。
 カービィ達は完璧とまで言える敗北を喫したのである。
 その様を見たフームは精神的に大きなショックを受けて目眩を起こし、気を失いかけている。
「さぁ、3人にとどめを刺さなくちゃ。とどめは私がやるから、皆そこで見てて〜」
「あ…あぁ……ぁ…………」
 グリルのその言葉を聞いたのを最後に、フームの意識はそのまま途切れてしまった…。


「フーム!起きろ、フーム…!」
「う……ん…?」
「気がついたか…」
「メタナイト……卿…?それとここは…貴方の部屋?」
 フームは、自分の名を呼ぶ声で目を覚ました。目を覚ました彼女の前にいたのはメタナイト卿であった。
「あの…グリルと……魔獣達は?それと、カービィ達は……どうなった?」
 目を覚ましたフームは倒れていた間の記憶が無いため、真っ先にグリル達はどうしたのか、カービィ達は無事でいるのかをメタナイト卿に聞いた。
「安心しろ。グリルと彼女が連れている強力な魔獣達は苦労こそしたが、ソードやブレイド、アックス達と協力してなんとか退けた。カービィ達も無事でいる。しかしチクタクが倒れて安心するのもつかの間、また厄介な魔獣が現れたな…」
「ええ…。あのジャクソンさんが、チクタクを殺した魔獣だったなんて…」
「…そなたももう判っていることではあろうが、パラガード卿やパルシバル卿の言っていた魔獣はあのガメレオアームという魔獣のことで間違いはないだろう。それと、グリルが新たに連れていた2体の魔獣……。彼らも相当な実力者だった」
「これからカービィや貴方、そして星の戦士や騎士の皆にとって厳しい戦いが続く事になりそうね…。私は早くグリル達の上に立つ者の詳細を知りたいところなのだけれど…」
「うむ。まだ情報が不足していて私達にとってはなんとも言えぬが、奴らの首領は一体何者なのか…。宇宙各地で調査と戦いを続けているオーサー卿達ともこれからは頻繁に連絡を取っていかねば…。そして、MTSと組んだというヤミカゲの存在も忘れてはならない……。近いうちに奴はまたここへやってくるかもしれぬからな」
「そうね……」
 メタナイト卿とフームはこの先のことについて夜まで話し合っていた。
 ガメレオアームに続き、新たに星の戦士達の前に姿を現した、グリルの側近に就いている上級ランク魔獣のシミラとウィズの2体、そして現時点ではまだカービィやメタナイト卿達の耳にその情報は入っていないが、かつて銀河大戦のときに銀河戦士団の初代リーダーを名乗る人物と戦ったという魔獣のマスコローゾ。
 次々と出現する強敵達を前にしても、星の戦士は彼らを全て倒し、乗り越えていかねばならない。
 MTSの真の黒幕の正体を暴いて最後はその者を討ち、また宇宙に平和を取り戻すために…。


 〜ウィザード・フォートレス 社長室〜

「…グリル達がカービィを倒そうとしたが、メタナイトと彼が率いる騎士達に妨害されて失敗したそうだ」
「……………」
 マルクは、社長椅子に座りながら、横にいるドロシアの報告を黙って聞いていた。
「それで、これからはどうする気だ?マルク…」
「そう言えば、今では僕達のところにいる元HN社の魔獣・マスコローゾは前に僕に『銀河戦士団初代リーダーと戦った事がある』って言ってきたよな?」
「それがどうかしたのか…?」
「それで思い出したのだけれど、『銀河最強の戦士』と言われていた銀河戦士団創設者にして初代リーダーの『ギャラクティックナイト』……。あいつは今どうしているんだ……?」
 マルクが言うには、銀河戦士団の初代リーダーの名は『ギャラクティックナイト』というようだ。
「…なんだ?私はてっきりガールードと同じようにそいつもお前が始末したものだと思っていたのだが……」
「ギャラクティックナイトは僕でも直接関わった事はないって。だけどそれに関しては、かつて僕とグリルに力を分け与え、今は宇宙のどこかで封印されたらしい『無の支配者』と呼ばれる存在なら知ってそうだけど。それで色々と当時のことを思い出してね……。まったく、僕にトドメを刺されて死んだガールードもそうだが、あの当時の銀河戦士団は全員頭がどうかしていたな…。ガールードは僕に直接話したことによると、キリサキンの攻撃で重傷を負いはしたが息絶えてはなく、完全に死ねずに昏睡状態に陥った後意識を回復させ、自分は怪我でもう戦士としては完全に終わったから仲間の足を引っ張りたくないということで表向きには自分は死んだことにした。そして戦士団の味方を装ってナイトメアの被害者面をしていた僕のことを頼って訪ねてきたが、それが彼女の運の尽きだった…。彼女は最初から銀河戦士団の協力者なんかではなかった僕にトドメを刺されて亡き者となった。あとは僕が裏からナイトメアに策略を教えて、仲間の戦士と相討ちにさせるように手引きをしたジェクラは家族の事を思って死に、それ以外の連中も仲間のために死ぬ事を選んだり、仲間を庇って死んだり……。団員はどいつもこいつも他人のために自分を犠牲にすることを選んでいた……。はっきり言って、戦いの場でそういう考えを持つというのは甘すぎる証拠だし、奴らは本当に馬鹿げていたと思うよ。お前と相討ちになった、戦士団の重役の1人の『メドラウト卿』も最後まで仲間のことを考えていたみたいだしな」
「フッ………」
「ん?どうかしたのか、ドロシア」
「いや、別に………」
「今日はここまでにするけど、また銀河大戦当時の話がしたくなったらお前を呼んだりするかもな。お前は僕の数少ない『話し相手』だからね」
「…私はこれから絵でも描いてくる。じゃあな……」
 ドロシアはそれだけ言うとマルクの元を離れ、別の部屋へと向かった。
 銀河大戦当時から生きているマルクとドロシアの2人。
 この2人は、カービィやメタナイト卿達が知らない銀河大戦の出来事をまだ他にも知っているのであろうか…?


 〜夜 ポップスター どこかの国〜

「明日は俺にとっては奴らとの決着をつける日だ。明日でカービィの奴に復讐を果たす」
「さてと、いよいよ俺の出番だな」
「いよいよ奴らと戦うのか…。なかなか面白そうじゃん?」
「奴らがどれほどのものなのか気になる…」
「星の戦士なんか私がボコボコにしちゃおう!!」
「お前達、そろそろ行くぞ。敵はここからちょっとばかり離れたプププランドにいる…!!」
「おうよ!!」
 シュババババッ!
 ポップスターのとある国の何らかの集団が潜んでいる謎の隠れ家。
 ここから多数の人影が飛び出していった。
 彼らの目的とは、一体……?




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