副編集長の鎌田様作・アニメ版星のカービィ 第2期予想小説
第35話・その2
〜再戦!刃射尾簾羽唖狗忍者軍団!〜



 〜ププビレッジ 村はずれの草原〜

 ププビレッジは既に日が昇り、時刻は午前7時を過ぎた。
「桃忍、悪いがもう一度奴らを感知出来るかやってみてくれ」
 赤色のバイオスパークの頼みで、桃色のバイオスパークは再びレーダーのようにカービィたちの位置を探る。
「あっ、見えた!数人この近くにいるよ!!」
「ヘッ、じゃあ俺たちで歓迎してやろうじゃん?ワイユー殿、ヤミカゲ様。ここは俺たちにやらせてください」
「ま、失敗しないようにな?」
「良いだろう。奇襲は思うようにやれ」
 ワイユーとヤミカゲの返事を聞いた5人のバイオスパークは素早く、そして音も無く移動を開始。
 桃色のバイオスパークの感知能力を頼りにカービィたちの元へ正面から向かった。

 草原の方へと続く道には、いつヤミカゲたちが襲ってきても良いように慎重に移動をするカービィたちがいた。
 そんな中、ベニカゲは何かが近づいてくる気配を感づく。
「皆!!北東の方角からこっちに何か近づいて来ている!!」
「なにッ!?」
 全員、ベニカゲの言う北東の方角を見てそれぞれの武器を構える。
 するとその方角の上空から5人のバイオスパークが出現した。
 リーダーである赤色のバイオスパークを先頭に、彼から見て右に青色のバイオスパークと黒色のバイオスパークが、左に桃色のバイオスパークと白色のバイオスパークがいる。
「食らえぇぇぇぇッッ!!!!」
 赤色のバイオスパークは服から黒い煙玉を取り出して両手に持ち、自分たち5人を見上げているカービィたちに向けて投げつけた。
「避けるぞ!!」
「!!!」
 メタナイト卿の指示でカービィたちは全員煙玉を避け、煙玉で視界を悪くされてしまうことは免れた。
「チィ……ッ!!」
 煙玉を投げつけた後、5人のバイオスパークたちは避けたカービィたちの正面に着地する。
「奇襲作戦は失敗か…。どうする?赤忍」
 黒色のバイオスパークは次の手を打たなければ、と赤色のバイオスパークに言う。
「しまった、考えてなかったな…。こうなったら………」
 何かしようとしている赤色のバイオスパークを、カービィたちは警戒している。
 カービィたちから目を逸らし、赤色のバイオスパークは横に目をやり、次の瞬間…。
「逃げの一手だッ!!!!!」
「えぇーッ!?」
 赤色のバイオスパークが後ろを振り向いて走り出すと、他の色のバイオスパークたちも後に続いた。
 それを見て声を上げたフームはもちろん、カービィやメタナイト卿らも拍子抜けしてしまう。
「奴らが逃げた先は草原がある方だな……」
「卿、奴らを追いましょう!!」
 ソードナイト、ブレイドナイト、アックスナイト、トライデントナイトの4人は逃げて行ったバイオスパークたちを先に追いかけ始めた。
「奴らが逃げた先には、恐らくヤミカゲともう1人の忍者…ワイユーがいるだろう」
「本当に?なぜ…そう思ったの?」
「彼らは煙幕を外しただけで逃げて行った…。自分たちだけでは煙幕で最初に視界を奪うことが出来なければ、私たちに勝つことも出来ないと判断したのであろう」
「確かにお城で戦った時、あの忍者たちはヤミカゲやワイユーに比べると、そんなに強い奴だとは思えなかったわ…」
 メタナイト卿とフームの言う通り、バイオスパークたちは直前にヤミカゲとの戦いで消耗していたカービィや、魔獣たちとの戦いで傷が癒えておらず力が出せなかったナックルジョーとシリカの2人を相手にしていた時はともかく、メタナイト卿の部下の騎士たちやワドルディたち相手にも手こずり、ヤミカゲとワイユーの2人と合流した後でもメタナイト卿相手には傷1つつけることが出来ていなかった。
「今はソードたちに続いて彼らを追おう。彼らを追えばヤミカゲとワイユーの居場所もわかるはずだ。カービィ、もう一度聞いておく。奴との決着を付ける覚悟は出来ているな?」
「ぽよ!」
 メタナイト卿の問いにカービィは肯定するような返事をする。
「よし」
 カービィの返事を聞いたメタナイト卿は先に立ち、カービィとフームとベニカゲとツキカゲの4人がその後ろへと続く形となって走り出した。

 カービィたちから逃げてきた5人のバイオスパークは、ヤミカゲとワイユーのところへと素早く帰還した。
「奇襲作戦は失敗しました…。奴ら、流石に同じ手は通用しませんね…」
 赤色のバイオスパークがヤミカゲの前に跪き、残念そうな態度で報告をした。
「奴らはここに来るか?」
「はい、俺たちを追ってやって来るでしょう」
「それで?敵はどのくらいいる…?」
「昨夜はいなかった赤色の服を着た忍者と、紫色の服を着た忍者が奴らの仲間にいました…」
「(赤い忍者服?まさかあの小僧か…?いや、まさかな…)」
 赤色のバイオスパークの詳しい報告を聞いたヤミカゲの脳裏に、ある人物の姿が過った。
 そう、その人物とは以前ここへやってきたときに遭遇した、赤い色の忍者服を着た落ちこぼれの少年忍者ベニカゲ…。
 多少は可能性が有りそうだと思いながらも、ベニカゲのことはあまり知らない彼は、あの落ちこぼれのことだという油断した考えの方が強かった。
「…どうしました?」
「ん?いや、なんでもない……」
 横にいたワイユーの声でハッとしたヤミカゲはすぐに考えることをやめ、愛用の忍者刀を鞘から引き抜いて上に掲げ、ワイユーと5人のバイオスパークに対してこう言った。
「お前たち、遠慮はいらん!奴らを嬲り殺しにしてやるぞ!MTSがどうとかは関係ない!今日この日を奴らの命日にしてやるのだ!!」
 ヤミカゲの呼びかけの後、ワイユーと5人のバイオスパークはそれぞれ武器を手に取り、カービィたちを待つ。
 武器を手に取ってから2分もしない内に、彼らはやってきた。
「「ヤミカゲ!!」」
「…来たな、カービィ。メタナイト、そして…」
 ヤミカゲはカービィとメタナイト卿の2人の後ろにいるメンバーを確認する。
 その中で、ヤミカゲは赤い色の忍者服を着た忍者・ベニカゲが目に留まる。
「やはり赤い色の忍者服を着た忍者というのは小僧、お前のことだったか……」
「やい、黒いの!今の拙者は前とは一味違うぞ!!ここであの時のリベンジを果たす!!」
「一味二味違ったところで俺はお前などに興味はない」
「なにを〜……!!」
 ベニカゲはヤミカゲを一泡吹かせてやりたいと考えていたようだが、当の彼にとってはベニカゲなど眼中にない様子であり、軽くあしらわれてしまった。
 だが、ヤミカゲは覆面の下でニッと笑うと、バイオスパークたちの方へと身体を向けた。
「お前たちのような雑魚は俺が相手するまでもない。こいつらが相手をしてくれるからな」
「ヤミカゲ様はカービィとメタナイトの2人とのケリを付けるために此処へやってきたんだよ…。てめぇらみてぇな余計なオマケは、ヤミカゲ様に集る鬱陶しい害虫どもの駆除のつもりで、俺たちが相手をしてやろうじゃん」
 ヤミカゲに指名され、5人のバイオスパークが前に出てきた後、中央にいた赤色のバイオスパークがベニカゲとツキカゲの2人の忍者と、ソードナイトら騎士たちを挑発するかのように罵る。
「『害虫駆除』ですって!?なんてこと言うの!?」
 赤色のバイオスパークの相手のことをバカにしてるような言葉の表現にフームは激怒し、大声で言い返した。
「まぁ、ヤミカゲ様にお前たちは所詮その程度のレベルにしか見られてないってこった。相手をする俺達もヤミカゲ様ほど強くはねぇけどよ…」
 赤色のバイオスパークの言葉に黒色のバイオスパークが付け足すように言う。
「言わせておけば……!」
 黒色のバイオスパークに対しても怒りを露わにしているフームだったが、メタナイト卿が彼女の横に来て肩に手を置く。
「フーム、そなたの気持ちはわかるが少し落ち着くのだ」
「メタナイト卿!」
「そうだ。あんな奴ら、拙者たちでパッと片付けてやる!」
「うん。僕も無理のない程度に協力するよ…」
「カービィのことを見守り、指示を出す役目であるそなたが今冷静さを失ってはいかん。怒りで冷静さを欠けばそれこそ奴らの思うつぼだ」
「……わかったわ。ごめんなさい、メタナイト卿…」
 メタナイト卿、ベニカゲ、ツキカゲの言葉でフームは頭を冷やし、メタナイト卿に対して素直に謝った。
「フンッ。ワイユー、お前はメタナイトの相手をしろ」
「はい。命じられなくとも、最初からそのつもりでした」
 相手の会話を聞いた後鼻で笑ったヤミカゲはワイユーにメタナイトと戦うよう命令し、ワイユーもこれに応じる。
「カービィ。貴方の相手は…わかっているわね?」
「ぽよ!」
 フームに声をかけられた後、カービィは返事をしながらヤミカゲの方へと向き直る。
「さあ………始めるぞ!!」
 ヤミカゲがカービィに対して駆け出すと同時に、ワイユーはメタナイト卿に、5人のバイオスパークは2人の忍者と4人の騎士たちに一斉に襲い掛かった。
 村はずれの草原を舞台に、カービィたちとヤミカゲたちの2度目の戦いが始まったのである。


 カービィたちがヤミカゲ率いる忍者軍団との戦いが始まったのとほぼ同刻。デデデ城の近くに宇宙船が1機着地した。
 着地してすぐに、宇宙船の中から2つの人影が現れる。
 現れたのは銀河戦士団のリーダーである人物・オーサー卿と、同じく銀河戦士団のメンバーである戦士・ノイスラート卿の2人であった。
「着いたようだな。すぐにこの城にいるメタナイト卿のところへ行こう」
「しかし…外から見る限り、城には簡単に入れてくれなさそうだ…」
「うぅむ………」
 ノイスラート卿の言う通り、デデデ城はワドルディ兵士たちが警備のために、いつもより多く駆り出されていた。
 それも恐らく、星の戦士たちに支援をすることを約束してくれた、ワドルドゥ隊長の指示によるものであろう。
 しかし、その割には城の正面は開門したままであり、ワドルディたちのことが気になりつつも、オーサー卿とノイスラート卿は城へ足を踏み入れた。
 するとワドルディたちがオーサー卿ら2人の姿を見ると同時に城へ戻りだし、その後数秒もしないうちにやってきたワドルドゥ隊長が2人を出迎えてくれた。
「あ、貴方たちはもしや……」
「私は元銀河戦士団の一員、オーサー卿だ。同じくこちらはノイスラート卿。メタナイト卿はこちらに?」
「それが…」
 ワドルドゥ隊長はオーサー卿たちに、昨晩から現在までに起きたことを全て説明する。
 カービィたちは現在どこで戦っているのかわからないことも正直に話した。
「忍者軍団?まさか……」
「そのまさか、だな。率いているのはあのヤミカゲだろう」
「やはり奴は…。奴がこの星に来ているのならカービィたちが危ない。私たちも援護をしに行こう。 渡し物と情報交換、そしてこの星にいるという『新たな戦士』を探すのはヤミカゲを倒した後だ。 これまでの経緯を教えてくれた君には感謝する」
 ノイスラート卿の提案にオーサー卿は頷き、鞘から剣を引き抜き走り出す。
 ワドルドゥ隊長にお礼の言葉を述べたノイスラート卿も背負っていた戦斧を右手に取り、駆け出した。
 ズバズバズバァァンッ!!
「「ぐぉッ!!!」」
 しかし、城から村に向かう途中の道に差し掛かった時、2人は何者かの攻撃を受ける。
 2人はギリギリのところで爆発の直撃を避けることは出来たが、衝撃に怯み吹っ飛ばされてしまう。
 それでも2人は地面に叩き付けられることはなく、空中で受け身を取って綺麗に着地をした。
「まさか元銀河戦士団のメンバーがやってくるなんてな…」
「お前たちは……!!」
 道の脇から姿を現したのはMTSの上級ランク魔獣・ガメレオアームとマスコローゾだった。
「ライオンくん、新しい遊び相手を見つけてやったんだ。お礼ぐらいは言えるよな?」
「ああ、一応礼は言おう」
 オーサー卿とノイスラート卿は2体の魔獣を見て、それぞれが何者なのかすぐに理解する。
「あのトカゲのような魔獣は……」
「わかっているノイスラート卿。噂に聞いていた、『緑色の血を流し、別の姿に擬態できる魔獣』だろう。そしてもう片方は………!」
「ナイトメア軍所属の魔獣、マスコローゾ!消息不明となってた筈だが、生きていたとは………」
 オーサー卿とノイスラート卿の反応にガメレオアームはパチパチと拍手する。
「流石は俺だ。『1000年に1度の天才』なだけはある…っと、裏の仕事をしてるのにここまで有名になってたなんてな。アッハッハッハ!!」
「元銀河戦士団か…。ギャラクティックナイトに借りを返すことと、金髪のガキとのゲームもまだ終わってないが、こっちの新しいゲームも面白そうだ……!!」
「いくぜライオンくん!」
「来るか!?」
「くっ…こんなところで足止めを食らうとはな……!」
 ガメレオアームはマスコローゾに合図を出すと自分はオーサー卿に、マスコローゾはノイスラート卿に向かって地面を蹴って跳躍し、襲い掛かる。
 対するオーサー卿とノイスラート卿もそれぞれ武器を構えて戦闘態勢に入る。
 元銀河戦士団のメンバー2人と、MTS上級ランク魔獣2体の2対2の戦闘が開始された。


「行くぜ!でえぇぇぇい!」
 赤色のバイオスパークを先頭に、青、黒、桃、白色のバイオスパークが順に走り込んでくる。
「望むところだ!」
 先頭の赤色のバイオスパークに向かって真っ先に攻撃を仕掛けたのはベニカゲ。
 赤色のバイオスパークの元には黒色のバイオスパークと桃色のバイオスパークが支援に回り、共にベニカゲを攻撃する。
 しかし、ベニカゲはそれに動じず、3人とも互角に戦えていた。
 ツキカゲは青色のバイオスパークと白色のバイオスパークの2人を相手に奮闘。
「あれ?俺たちの出番、もしかして……無い?」
 ベニカゲとツキカゲの2人が予想以上の活躍を見せ、アックスナイトは突っ立ってそれを見ていることしかできなかった。
「アックス、どうやらそうでもないらしいぞ」
「え?」
 トライデントナイトがそう言うと、アックスナイトは彼の方に向き直る。
 彼とソードとブレイドが見ている方向には……MTSの副官・グリルの姿があった。
「見ているだけってのも飽きちゃったし、暇な私は暇な貴方たちの相手をしようと思うわ。お互いに暇なんだし、丁度良いでしょ?」
「カービィ殿や卿たち、卿の昔のお仲間2人がそれぞれ力を合わせても、倒すまでには至らなかった相手だ…。俺たち4人でどこまで持つか………」
 そう口に出したソードナイトは剣を握りながらもグリルに威圧されていたようで、ブレイドナイト、アックスナイト、トライデントナイトも彼と同じ状態だった。
「もう、もっと肩の力を抜いたらどうなの?貴方たち……。安心して。そうは言っても貴方たちが相手するのは私じゃないわよ」
「なにっ………!?」
 パチンッ!!
 グリルが指を鳴らすと、転移魔法で騎士たち4人の前に魔獣が出現した。
 現れたのは体格は騎士たちと同じくらいの大きさで、頭部がモノアイとなっている4体のロボット魔獣だった。
「このロボットたちはバトルマシーンっていうの。大して強い魔獣じゃないんだけど、普段は各惑星に点在する私たちの組織によって建造された施設の警備を、貴方たちがこの前戦った剣士の魔獣『シュランガー』たちと共に担当してるわ。バトルマシーン、彼らの相手は貴方たちに任せたわよ。貴方たちも、こんな程度の雑魚魔獣相手なら多少の暇潰しにはなるでしょ?じゃぁねぇ〜♪」
 グリルは4体のロボット魔獣を『バトルマシーン』と呼んだ。
 バトルマシーンの説明と呼び出した理由を一通り喋ると、彼女は再び転移魔法でどこかへと消えてしまう。
「ターゲット捕捉。コレヨリ排除行動ニ移リマス」
「危険!危険!排除シマス」
「ピピィー…ガガ…排除!排除!」
「暇潰し、だって?馬鹿にしやがって…!」
 暇潰しと称して魔獣をけしかけてきたグリルに怒りを感じるアックス。
「だがこの場に出された以上、倒すしかあるまい。はああぁぁッ!!」
 4人の騎士たちも、グリルが呼び寄せた魔獣たちに果敢に立ち向かっていく。

 一方、メタナイト卿はワイユーと城内で戦った時よりも更に激しい死闘を繰り広げていた。
「波動斬り!!」
「無駄だぁッ!!」
 バチイィィィィィィッ!!
 エネルギーを纏った右手による手刀で、メタナイト卿がギャラクシアから放った炎の衝撃波を打ち消すワイユー。
 そして休まずにワイユーはクナイを服から取り出し、メタナイト卿に向かって投げつける。
 飛んで来たクナイをギャラクシアの一振りで弾き、メタナイト卿は素早く接近してワイユーを攻撃。
「グハッ!!!」
 一撃を受け、怯んだと思われたワイユーだったが、斬ったメタナイト卿本人はその斬った感覚が無いことに気付いていた。
 ボヒュンッ!!
「…やはりか」
 メタナイト卿に斬られたと思われるワイユーは分身体であり、斬られてすぐに消えてしまう。
「こっちだ!!」
「ぬッ!?」
 分身を身代わりにした直後、上空から急降下しながら忍者刀を振り下ろしたワイユーをギャラクシアで間一髪受け止めるメタナイト卿。
 渾身の攻撃を受け止められ、ワイユーはすぐさまバク転をして距離を取る。
「(この忍者を倒して、早くカービィのサポートに回りたいところだが…)」
 その後も互いに譲らない攻防を繰り広げる2人。
 だがワイユーが想像以上の強さを見せるため、カービィの手助けをしたいメタナイト卿は焦り始めていた。
 だがシミラとの戦い(32話参照)によって消費したギャラクシアのエネルギーが回復しきっていない今、メタナイト卿には相手を確実に仕留められそうな必殺技が無い。
 ワイユーの攻撃を防ぎ、反撃をしつつも何とかこの状況を乗り越えようと脳内で策を練るメタナイト卿であった…。

「まずは…!」
 ヒュンッ!!
 服からクナイを取り出したヤミカゲは、素早くカービィに向かって投げてきた。
「カービィ、吸い込みよ!!」
 フームはカービィに指示を出し、カービィにクナイを飲み込ませニンジャカービィに変身させる。
「そうこなくてはな!!」
 ヤミカゲは続いて手裏剣を一気に3個投げつけ、自分は忍者刀を構えてカービィに突っ込む。
 カービィは手裏剣をかわし、ヤミカゲの忍者刀の攻撃に自分も忍者刀で応戦。
 だが、城で戦った時と同様、刀捌きはやはりヤミカゲの方が一枚上手であった。
 高速で斬り付けてくる攻撃にカービィは追い詰められていく。
 そしてヤミカゲの力強い一撃がカービィを空中に弾き飛ばした。
「食らえッ!!」
 ズバアァァッ!!
「うわあぁぁッ!!!」
 ヤミカゲの忍者刀による一撃が空中でカービィの柔らかい身体を切り裂き、怯んだカービィを更に蹴りつけて地表へと叩き落とした。
「ぷわぁッ!!」
「もう終わりだとは言わせんぞ?俺は貴様を嬲り殺しにしなければ気が済まんからな……!」
 地上へと着地したヤミカゲは傷を負ったカービィにしつこく攻撃する。
 カービィも忍者刀を構えるが、城での戦いの疲労がまだ多少残っていたこともあり、ヤミカゲの激しい攻撃を防ぐことしか出来なかった。
 ガギイィィィィンッ!!!
 ヤミカゲの強烈な一撃で、カービィの忍者刀は遂に弾き飛ばされてしまった。
「せやッ!!」
「ぽよぉ!!」
 攻撃を防げなくなったカービィを乱暴に蹴飛ばし、樹木の方へとぶつけるヤミカゲ。
「ククク…せいぜい楽しませてくれよ…」
 カービィの近くまでやってくるとヤミカゲは服からクナイを2つ取り出す。
 そしてカービィの左手をクナイで突き刺し、樹木へと貼り付けてしまう。
 ブスッ!!
「ぷあッ!!」
 クナイを突き刺されたカービィの丸い左手からは赤い血が流れ出す。
 樹木に固定され動けなくなったカービィを、ヤミカゲは何度も何度も蹴って痛めつける。
 反撃もままならないカービィはダメージが蓄積し、変身が解けてしまう。
「動けないカービィをあんな風に…!!」
 見守っていたフームはカービィが痛めつけられる様子を見ていることに耐えられなくなり、ある決心をする。
 その決心とは、ヤミカゲのカービィに対する非道な行為をやめさせようと、身体を張った行動を起こすというものだ。
 彼女は駆け出すとヤミカゲの横から彼の体に掴み掛かろうとするが……。
「邪魔だ!!」
 ドスッ!!
「きゃあッ!!!」
 多少は鍛えていてその辺の村人よりは腕力もあり、かつてメタナイト卿から教わった空手も出来るフームではあるが、元々非戦闘員である上、戦闘のプロであるヤミカゲにとっては敵ではなく、左手でどつかれて簡単に吹っ飛ばされてしまった。
「小娘!死にたくなければ、そこで貴様が信頼するこの小さな星の戦士が傷つき、死んでいくのを黙って見ているが良い…」
「う…くぅ……ッ!!」
 ふーむは自分では何も出来ないことを悔やみ、眼に涙を浮かべ、歯噛みする。
 仲間たちが必死で戦う中、劣勢を強いられてしまったカービィ。
 パワーアップを果たしたヤミカゲを倒すことは出来ないのか……?




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