「そらッ!!」 「ぷあああぁぁッ!!!」 カービィの手に刺したクナイを引き抜いたヤミカゲは、乱暴にも抵抗出来ないカービィを蹴り飛ばし、両手で印を結んで身体から青い水のようなオーラを発する。 「秘技、爆水の術!!!」 ザバアアァァァァァッ!!! オーラを纏った状態で開いた両掌を地面に突いたヤミカゲの周囲から水柱が出現し、カービィ目掛けてそれが襲い掛かってきた。 「カービィ、逃げてぇ!!!」 戦えないフームはカービィに逃げるよう指示することしか出来ない。 だが、起き上がって逃げようとするカービィの目の前まで水柱は迫ってきていた。 間に合わないことを確信し、目を瞑るカービィとフームであったが……? 「カービィ!フーム!!」 ドバアァァァァッ!! 間一髪、カービィとフームの2人は空から飛んで来た影に連れられて爆水の術を受けずに済んだ。 水柱を避けることが出来、2人はまた地上にゆっくりと下ろされる。 そしてカービィが無事なのを確認したフームは彼の傍に駆け寄った。 「すまない、遅れてしまったな」 「ぽよ…!!」 「メタナイト卿!!」 ヤミカゲの爆水の術から2人を救ったのはメタナイト卿だった。 翼で空を飛び、2人を手で掴んで救出し、水柱を避けたらしい。 メタナイト卿はカービィとフームの前に立ち、そのすぐ後にソードたち騎士4人、ベニカゲとツキカゲの少年忍者2人も集まる。 「ワイユー、それにバイオスパークども…失敗したか」 自分の目の前に集合したメタナイト卿らを見て、ワイユーたちの死を把握したヤミカゲは目を細める。 「お前の部下は既に全員討たれた。これまでだ、ヤミカゲッ!!」 「やい、そこの黒いの!今度こそ、拙者の手で倒してやる!!」 ギャラクシアの切っ先をヤミカゲに向けるメタナイト卿と、忍者刀を鞘から引き抜き構えるベニカゲ。 「クックックックック……」 メタナイト卿らの活躍によって部下を全員失い、その事を指摘されたにも関わらず、ヤミカゲは視線を下に逸らして覆面の下で不敵に笑っていた。 そんなヤミカゲを見て、カービィたちはより警戒心を強める。 笑った後ヤミカゲは目を見開き、逸らしていた視線をカービィたちのいる正面に向ける。 「それが…どうした?」 「なに……?」 ヤミカゲの態度に変化が無いことに驚くメタナイト卿を他所に、部下を全員倒されてしまったことを知ってもヤミカゲは顔色1つ変えることはなく、忍者刀を引き抜きつつ喋り出す。 「奴らが倒されたなら、俺1人でお前たち全員を殺せば良いだけだ。それに俺には爆炎の術と爆水の術だけでなく、『切り札』もある…」 「『切り札』……?」 「それが何かは後でのお楽しみだ…」 「『切り札』とかいうのを使う前に拙者が倒してやる!!でやああぁッ!!!」 「ベッ…ベニカゲッ…!!」 かつてのリベンジに燃えるベニカゲは横にいるツキカゲの静止を振り切り、忍者刀を構えてヤミカゲに突撃。 カキン!カキン! ベニカゲとヤミカゲ、2人がそれぞれ持った忍者刀がぶつかり合い金属音を立てる。 だがヤミカゲの剣術の前には修行を積み強くなった筈のベニカゲの剣術も通じず、次第に彼が押されていく。 「粋がっていた割にはその程度とはな、小僧。いくらお前が強くなっても俺には及ばぬことを教えてやろう」 「何を…!!」 「そらッ!!」 ブウゥゥン…バギイィィッ!! 「ぐわああッ!!」 「ベニカゲ!!!」 エネルギーを纏った忍者刀を横に振り、ヤミカゲはベニカゲを弾き飛ばした。 宙を舞い地面に叩き付けられたベニカゲの元にカービィ、メタナイト卿、フーム、ツキカゲの4人が駆け寄り、ソードたち4人の騎士はヤミカゲに立ち向かう。 ベニカゲに駆け寄ったツキカゲは彼の身体を起こした。 「1人で戦おうとするからだよ…!」 「う〜ん…拙者1人で勝てると思ったんだけどなぁ…」 「あいつは君1人でどうにか出来る相手じゃないよ!僕にはわかる…」 「くそぉ〜…カービィに前とは違う拙者の良いところを見せようと思ったのに…」 「次は突っ走らないでよ…!」 悔しそうに歯噛みをするベニカゲに忠告をするツキカゲ。 「カービィ、手は大丈夫…?」 「ぽよッ!」 ヤミカゲの攻撃で左手の怪我が酷いカービィのことをフームは彼の手を見て心配する。 しかし、それでもカービィは弱気になることはなく、むしろ力強い声でフームに返事をした。 「待って!カービィ、その怪我じゃ…」 「きっと、カービィも拙者と同じであいつにやられっぱなしでいるのは気が済まないんだ!」 「ぽよ!」 ベニカゲがカービィの今の気持ちを直感で言うと、カービィはベニカゲの方を向いて頷いた。 「ほら、やっぱり!」 「でも……」 不安そうな顔色を浮かべるフームだったが、そんな彼女の肩をメタナイト卿がポンッと叩く。 「確かにカービィの怪我は私も心配だ…。だが今はこの状況で彼という大きな戦力を欠く訳にはいかぬ。それにベニカゲの言う通り、彼自身も退く気は無いようだ」 「メタナイト卿……」 「もう心配はしなくていい。彼が危なくなったら、何があっても彼は私が守り抜こう」 「…ありがとう。貴方に任せていいわね…?」 「うむ。では行くぞ、カービィ」 「ぽよ!」 フームはメタナイト卿にカービィのことを任せ、カービィはニコッと笑うとメタナイト卿の後に続き、騎士たちとヤミカゲの元へ向かう。 ツキカゲのおかげで何とか冷静さを取り戻したベニカゲと、ツキカゲ自身も2人を追った。 「「うおおぉぉッ!!!」」 カービィたちが話している最中、先にヤミカゲとの戦いに臨んだ騎士たち4人。 ソードナイトとブレイドナイトはヤミカゲの左右から挟み撃ちにしようと斬り掛かる。 「ハァッ!!」 2人の攻撃を真上に跳躍してかわすヤミカゲ。 だがヤミカゲ跳んだすぐ横ではソードナイトの陰に隠れていたアックスナイトが同時にジャンプしていた。 ヤミカゲと同じ位置に来たところでアックスは斧を振りかぶる。 「これでも食らえッ!!」 ビュウゥゥゥゥン!! アックスが空中で投げた斧は真っ直ぐヤミカゲに向かっていく。 「よっ、と!!」 ヤミカゲは余裕を見せて空中でもう一段ジャンプし、アックスが投げた斧を回避。 しかし余裕を見せるヤミカゲに対しアックスは戸惑わず逆に笑みを浮かべる。 「その斧はただ投げるだけじゃないぜ!」 アックスの斧は、投げてもブーメランのようにアックス自身の手元へ帰ってくる特別性の斧。 ヤミカゲが避けた後、斧は空中で方向転換して再びアックスの前にいるヤミカゲ目掛けて飛んで来た。 「くそッ!!」 ギィィィィンッ!! 忍者刀を素早く鞘から引き抜きヤミカゲはアックスの斧を防ぎ、弾いて着地する。 だが今度はヤミカゲの隙を逃さずトライデントナイトが帯電した三叉の槍で攻撃。 「ぬおぉぉッ!!」 「チッ…!」 ボフッ!! 「ぐッ…!!」 槍が突き刺さりそうになった瞬間にヤミカゲは忍術『木端微塵の術』を使用、トライの背後に降り立った。 「4人がかりとは言え、この俺の隙を突くような良い動きをする。メタナイトめ、俺とは違って良い部下を持ったな…。それに比べ俺がこの星で部下に引き入れたあいつらと来たら…」 「「たああああッ!!」」 ヤミカゲが小声で愚痴を吐いている最中、今度はソード、ブレイド、アックス、トライがそれぞれ別の方向からヤミカゲを囲むように攻撃を仕掛けようと武器を構え駆け出す。 「特にガキの忍者2人に負けるようなバイオスパークどもは、いくら俺より弱いとは言えあまりにも能無しだった…!!秘技、爆水の術ッ!!!」 バシャアアァァァァァァァァッッ!!! 「「ぐわああああぁぁッ!!!」」 ヤミカゲが開いた両手を地面に突くと水柱がソードたち4人を狙って放たれ、水柱を防げなかった4人の騎士は大きく吹っ飛ばされる。 「さて…次は……!?」 4人の騎士たちに更なる攻撃を仕掛けようとするヤミカゲだったが、彼のところにクナイが数本投げつけられた。 すぐにクナイに気付いたヤミカゲは素早くかわし、クナイの飛んで来た方向に顔を向ける。 彼が顔を向けた方向にいたのは、カービィ、メタナイト卿、ベニカゲ、ツキカゲの4人。 フームは吹っ飛ばされたソードたちの救出をしている。 「やい、黒いの!さっきは油断したが今度は本気で行くぞ!!」 「ベニカゲ、今度は僕も一緒に戦おう…!」 「ガキが…わざわざまたやられに来たのか」 「ヤミカゲ、今度こそ終わらせる…!」 「ぽよ!」 ベニカゲ、ツキカゲ、メタナイト卿、カービィが並び立つ様子を見てヤミカゲは目を細める。 「そんなに死に急ぎたいのか。なら全員纏めて殺してやろうッ!!」 まず左手に3本のクナイを取ったヤミカゲは無防備な状態のカービィに投げた。 「カービィ、吸い込みよ!!」 クナイを吸い込むように指示をするフームだが、それを見てヤミカゲは呆れる。 「小娘、お前も知っているだろう。今のカービィでは例え変身してもこの俺を倒すことなど出来ないことぐらい」 「……!!」 「いや…そうでもないようだ」 「ん?」 フームはニンジャカービィが城内の戦いと先程の戦いのどちらでもヤミカゲに敗北したことを思い出し、顔色を悪くする。 しかし、彼女の横にいたメタナイト卿は平然としており、その余裕にヤミカゲは頭を傾げる。 そして、クナイを飲み込んだカービィはニンジャカービィへ変身。 だがその姿は頭に兜をかぶっておらず、逆にかぶっていたのは紫色の忍者頭巾。 以前とは明らかに違っていた。 「あれって…」 「ニンジャカービィが…進化している…」 「それ…どういうこと…?」 フームはメタナイト卿に何故ニンジャカービィが今までとは姿が変わり、進化をしたのか理由を訊く。 「前の戦いでミサイルカービィになった時と同じだ。星の戦士は戦闘経験を積む、強敵を相手に倒れても立ち上がる、敵に立ち向かう勇気を見せる…といったことを繰り返して成長し、限りなく進化していく存在…。カービィ、また少し強くなったな…」 「じゃあ…今のカービィは…」 「カービィはヤミカゲに立ち向かう勇気を見せ、能力を進化させた…。今の彼なら、ヤミカゲにも…」 メタナイト卿の答えにフームは納得し、再びヤミカゲの方に視線を移した。 「フッ、さっきと姿が違うようだが…他はどう変わったのかを見せてもらおうか!!しぇああああッ!!」 「ぽよ!」 忍者刀を振りかぶり、駆け出してきたヤミカゲを前にカービィはメタナイト卿たち4人よりも一歩前に出た後、背中の鞘にしまったままの状態の忍者刀の持ち手を握る。 「(居合い抜きか…?)」 走ってカービィに接近するとき、ヤミカゲは相手が何をしようとしているかがわかった…筈だった。 「隙だらけだな!はたき斬り!!!」 ザシュッ!! ヤミカゲは忍者刀でカービィを斬り付けるが、斬られたカービィはなんと木片に変わってしまう。 「変わり身の術だと…!?」 予想外の出来事に戸惑うヤミカゲの左横からはカービィが一瞬で彼の近くまで接近してきており、充分近づいたところでカービィは鞘から忍者刀を引き抜いた。 「居合い抜きッ!!!」 「ぐわッ!!」 忍者刀で斬られ、怯んだヤミカゲは後退する。 「そうか…動きは前よりも素早くなっているのか……」 進化したニンジャカービィの能力を攻撃や動きを見たことで読み取ったヤミカゲは態勢を整えようとするが、彼にその暇が与えられることは無い。 「黒いの!相手はカービィだけじゃないぞ!!」 「ふん、小童が!!」 最初に攻撃を仕掛けたカービィに続き、ベニカゲが投げた複数個の火を纏った手裏剣を左手に持ったクナイで弾くヤミカゲ。 しかし、今度は既に4人に分身したツキカゲに囲まれていた。 分身したツキカゲはヤミカゲに対し1人は忍者刀を持って接近戦を仕掛け、次の2人はそれぞれクナイと手裏剣を複数投げ、最後の1人は水を発生させて水流をぶつけてきた。 「くそッ!!」 4方向からの別々の攻撃に焦りながらもヤミカゲは真上に跳躍して回避する。 だが次に空中にいる彼に攻撃をしたのはマントを翼に変形させ、空を飛びながら突っ込んできたメタナイト卿であった。 「うおぉぉおぉッ!」 キン!キン! ギャラクシアと忍者刀がぶつかり合って金属音が鳴り響く。 互角に見えた2人の剣術であったが、空中戦は空を飛ぶ能力を持たないヤミカゲにとっては不利だったようで、メタナイト卿が繰り出したキックを喰らい、彼は地面に叩き付けられる。 「ぐッ!!」 倒れるもすぐに起き上がったヤミカゲは素早く青いオーラを身に纏い、両手を地面に突いて爆水の術を発動させた。 バシャアアアアァァッ!! 「またあの技よ、気を付けて!!」 「今度は本気でこの術を使ってやったぞ、有難く思え!!」 最大パワーで放たれた爆水の術によって起きた巨大な水柱は、先程までとは違って真っ直ぐに上がっただけでなく、カービィたち4人を飲み込もうと途中で形を変え、グワッと覆いかぶさるように襲い掛かる。 この強力な術に対抗すべく、メタナイト卿はギャラクシアからギャラクシアソードビームを撃ち出す。 カービィはというと、背中に忍者刀と共に携えていたピンク色の扇子を取り出して広げた。 するとカービィの周囲には扇子と同じ色をした無数の花々が一瞬で出現し、咲き乱れる。 「秘伝・乱れ花吹雪!!!」 ブワアアアァァァァッ!!! カービィが扇子を巨大な水柱に向かって振るうと、彼の周囲に咲いた花が花吹雪となり、一斉に飛んでいく。 それは桃色のバイオスパークが使った『桜花吹雪の術』と似ていたが、飛ぶ花びらの量はそれを遥かに上回っていた。 無数のピンク色の花びらはギャラクシアソードビームと共に水柱へとぶつかって爆発を起こし、それにより水柱は砕け、水飛沫となって辺りに飛び散る。 「やった!やったわよ、ベニカゲ!」 「うん、カービィには驚かされるばかりだ!」 爆水の術を防いだカービィを見て、フームとベニカゲの2人ははしゃぎ喜ぶ。 「クソッ、俺の最大までパワーを上げた爆水の術をあんな簡単に防いだ、だと……!?」 反面ヤミカゲは自身の最大で放った術を防がれて焦り出していたが、すぐに焦る気持ちを切り替え、次は赤いオーラを身に纏った。 「新しい忍術、乱れ花吹雪…とか言ったな…。所詮は花吹雪、燃やす術であるこちらなら防げまい!!」 乱れ花吹雪に対抗し、今度は最大パワーで爆炎の術を発動させるヤミカゲ。 次は水柱ではなく巨大な火柱が上がり、それらは爆水の術と同様の動きを見せる。 「まずいわ!」 最大パワーの爆水の術に続き、こちらも最大パワーであると思われる爆炎の術が繰り出され驚くフーム。 だがカービィは火柱が変わった巨大な炎の波を前にしても、険しい目つきではあったものの落ち着いた顔をしており、静かに印を結んで爆水の術を使ったヤミカゲと同じ青いオーラを身に纏う。 「カービィ、まさか貴方……!」 カービィの様子を見て彼が何をしようとしてるか察したフーム。 やがて彼女の目の前で予想していた出来事は起きた。 「秘技・爆水の術ッ!!!」 「何だと!?」 ザバアアァァァァアッ!! カービィが両手を地面に突くと、ヤミカゲの爆炎の術と互角の範囲を誇る巨大な水が発生。 カービィはヤミカゲの爆水の術までコピーし、自分の技としていたのだ。 これにはヤミカゲも危険を感じ、避けようとするが…。 ジュウゥゥゥッ ドオォォォッ!! 「ぐわああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 術の範囲は広く、ヤミカゲの爆炎の術はカービィの爆水の術に打ち消され、当のヤミカゲ本人は爆水の術にそのまま巻き込まれ、大量の水に押し流される。 爆水の術による水が引くと、術を真面に受けたヤミカゲが忍者刀を杖代わりにして立っていた。 「まさか……俺の爆水の術まで…コピーされるとは……ぐッ…!!」 ダメージは大きかったようで、ヤミカゲは全身が痛み思わず前屈みになる。 「来るか……?」 メタナイト卿はギャラクシアを構え、警戒している。 「まだだ。まだこの姿で戦ってやろう…!」 全身の水を払い、身体の痛みがありながらもヤミカゲは忍者刀を杖代わりにするのを止め、そのまま立ち上がった。 「ておああぁぁぁぁぁッ!!!」 手裏剣とクナイをそれぞれ投げてから、跳躍してヤミカゲは一番手前にいたカービィに斬りかかる。 ザシュッ! ドガアァァァァン!! 忍者刀を振り下ろし、その攻撃はカービィに当たるが、カービィはその瞬間に爆発した。 「ぐわッ!!」 爆発でヤミカゲは吹っ飛ばされ、転倒する。 「今度は木端微塵の術……かッ!?」 「微塵斬り!!」 態勢を立て直そうとするヤミカゲの正面にカービィは出現、クナイを持って彼を斬る。 「ぐおあ!!」 その後も次々とニンジャカービィの技が決まり、ヤミカゲはボロボロになっていた。 「ぐ……何故だ……」 ヤミカゲから距離を取り、カービィは持っている忍者刀を大きく振るって三日月状のエネルギーの刃を放つ。 「ぐおッ!!」 刃を顔面に受けたヤミカゲはよろけ、動きを止める。 更にカービィはもう一度忍者刀を振るった。 「風塵の術!!!」 「ぐはああぁぁッ!!」 ドガァァァァァンッ!! 突風に吹き飛ばされてヤミカゲは大岩に激突し、岩は粉々に砕けて辺りに砂埃が舞った。 「やったの……?」 カービィのヤミカゲに対する技の連発を前に見ていることしか出来なかったフームと、メタナイト卿たち。 しかし、砂埃の中からはしぶとくヤミカゲがカービィの方へと歩いてきた。 「ク…ククク……どうやら奴から貰ったあの力を試す時が来たようだな…。星のカービィ、貴様は確かに星の戦士としてパワーアップし、この俺を打ち負かした。だが、今度の俺はさっきとは違う。俺の『切り札』を見ろ………!!」 「ぽよ?」 何かをしようとしているヤミカゲを不思議そうに見るカービィと、不安になりつつあるフーム。 そして武器を握る手に力を入れるメタナイト卿と、2人の少年忍者。 「グググググ………グオオオアアアァァァァァァァァッ………!!!」 メキメキメキメキメキメキッ!! 「「!?」」 ヤミカゲが唸り、雄叫びを上げると彼の身体が音を立てながら異形のものへと変化していく。 「アアアァァァァァァァァ……!!」 バシイィィィィィン!! 黒い光を放ちながら変身が完了した彼は、二足歩行で、左手はドリルのような武器と化している怪獣のような姿となっていた。 「あの姿は…!?」 「身体そのものも魔獣となったのか…!」 フームとメタナイト卿は姿を変えたヤミカゲに、驚きを隠せないようだった。 「あんな化け物になるなんて……!」 「くっそぉ〜…拙者たちはどうすれば……!!」 ツキカゲとベニカゲ、2人の少年忍者もヤミカゲの姿を見て焦心に駆られる。 「これが奴が俺に与えてくれた力……。傷も完全に癒えたし、力が漲ってくるのがよくわかる…。さぁ…貴様ら、どうやって殺してほしいのかな?クッハッハッハッハッハッハッ!!!」 魔獣の姿でもヤミカゲはまだ喋れるようで、彼は高笑いを上げた。 新たな力を手に入れ、魔獣と化した忍者ヤミカゲ。 カービィやメタナイト卿らは彼との決着を付けることが出来るのか……!? |