カービィ達とヤミカゲ達の戦いが決した一方、プププランドにやってきた元銀河戦士団員のオーサー卿とノイスラート卿の2人と、潜伏を続けていたガメレオアームとマスコローゾの2体の魔獣による2対2の激しい戦いはまだ続いていた。 「うおぉぉぉぉッ!!」 「ぬんッ!!」 バギィィィィィッ!!! 「はッ!!」 「くッ…!」 空中から急降下しながら相手の頭を叩き割るかのようにノイスラート卿が斧を振り下ろし、地上でそれを待ち構えていたマスコローゾが棍棒で攻撃を受け止める。 攻撃を受け止めたマスコローゾはノイスラート卿を弾き飛ばし、空中へ飛ばされたノイスラート卿は受け身を取って着地をする。 「俺の武器は棍棒だけじゃない…!!」 「あッ…!?」 バシュバシュバシュバシュバシュッッ! ズガズガズガアァァァンッ!! マスコローゾの棍棒を持たない左手からミサイルのように爪が次々とノイスラート卿に向けて発射された。 ノイスラート卿は攻撃を素早くかわして斧にエネルギーを溜め、エネルギーが溜まった斧を振り上げた。 「ムーンショット!!」 ビシュウゥゥゥンッ! 振り上げた斧からはメタナイト卿たち他の銀河戦士団のメンバーが使う『ソードビーム』と同じ三日月状の光の刃が放たれる。 「チッ!!」 ドガアアァァァァァンッ! 防ぐことが間に合わず、マスコローゾは左腕にノイスラート卿の攻撃を受けた。 爆発の煙が晴れるとマスコローゾの左腕にはやや浅めの切り傷が出来ていることをノイスラート卿は確認する。 「認めてやろう、パワーはなかなかだな…。俺の身体に傷を付けたのはこれで3人目だ。…違うな。2人目の金髪のあのガキは表面だけしか傷を付けることしか出来なかったからお前を2人目としよう」 マスコローゾが言い終えると同時に、ナックルジョーの攻撃では胸部から煙が出ていただけであったのに対し、ノイスラート卿によって今付けられた左腕の切り傷からは僅かではあるが赤い血が流れ出していた。 「ぐぅ…そう簡単に傷を与えることは出来ないか……!」 ノイスラート卿はマスコローゾの防御の高さに驚きながらも斧を構え直し、再び攻撃を仕掛け直そうとする。 ベロォ〜ン!! 「ッ!!」 ガメレオアームはオーサー卿の身体を貫こうと舌を硬化させ、長く伸ばして攻撃をする。 だがその攻撃をオーサー卿は見切って最低限の動作で回避をし、舌は地面に直撃してガメレオアームに隙が生じる。 「とああぁぁぁぁッ!」 ブシュウゥゥッ!! オーサー卿の攻撃でガメレオアームの舌は切断され、切断された彼の舌からは緑色の血液が飛び散るが、ガメレオアームの攻撃はまだ終わっておらず、口を開けたままそれをオーサー卿に向けた。 ズドドドドドドドッ!! 「ふッ!」 ガメレオアームの口から次々と吐き出されるペイントボムをオーサー卿は素早い身のこなしで回避し、後退して反撃のチャンスを窺っている。 しかしオーサー卿とガメレオアームの周囲はペイントボムの爆発により巻き起こった煙と砂埃で視界が悪くなっていった。 「くッ…これはいかん……」 視界が悪い中、オーサー卿はガメレオアームの姿を探そうとするが……。 シュルシュルシュルッ! 「なにッ!?…ぐッ……!!」 伸びてきた2本の緑色の尻尾にオーサー卿は足を捕らわれ、宙に持ち上げられる。 「グルルルルルル……」 ガメレオアームは今度こそペイントボムを当ててやろうと持ち上げたオーサー卿を自分の口の前まで持ってくるが、オーサー卿も黙ってやられている訳ではない。 剣にエネルギーを溜め、自分を拘束しているガメレオアームの尻尾に向かって攻撃をした。 「ソードビーム!」 バシュッ!! 「ぐぅ………!!」 ソードビームを放ち、オーサー卿はガメレオアームの2本の尻尾を切断して脱出する。 ガメレオアームは悔しそうに尻尾を引っ込めた。 「俺の女神ことグリルから聞いたぞ。銀河戦士団で一番のお偉いさん…だっけか。腕は戦争の当時から衰えてはいないみたいだな。グリルにとって厄介になるなら…俺がここで殺す」 「例の『緑色の血を流し、擬態能力を持つ魔獣』というのはお前だな?MTS…私達からすればまだ謎が多い組織だが……これまでのことからその野望は止めなければならないことはわかっている。情報が1つでも多く欲しい。お前は私が捕まえる…!」 「俺はこんなところで捕まってなんかいられない。情報を渡せば俺が『あいつ』に始末され……いや、女神に誓って俺が倒れようと情報を渡すわけにはいかない。それにお前に俺は捕まえられない」 「…なに?」 「何故か?簡単だ。最後に勝つのは『愛』の力だからな。愛に勝るものは何もない」 「……?」 ガメレオアームの口から出た『愛』という言葉に、オーサー卿はキョトンとしていた。 「…は〜ぁ、ノリと遊び心の無い奴だな。まあ堅物に対して堅苦しい話をするとだ。捕まえるとかハッキリ言うのは、俺の能力を全て把握してからにしてほしいな」 「フッ…さっきから手を抜いて戦っていたのも様子見か…?」 「…どうやら洞察力は高いようだな。グリル達の言う歴戦の戦士なだけはある……ハァッ!!!」 「!!」 オーサー卿の洞察力の高さに感心したガメレオアームは会話を終え、脚力から生み出される高いジャンプで空中からオーサー卿に襲い掛かり、戦闘を再開する。 「グワアアァァァッ!」 空中から猛毒がある牙でオーサー卿に噛み付こうとするガメレオアーム。 「ふんッ!!」 バギィィィッ!! 「ガッ……」 「とおおッ!!」 「ぐわッ!!」 牙を剣で受け止め、オーサー卿は隙だらけになっていたガメレオアームの胴体に蹴りを入れて吹っ飛ばす。 ガメレオアームは蹴り飛ばされて宙に浮き、弧を描いて地面に叩き落とされた。 2対2の死闘が続く中、戦いの音を聞いて現場にヤミカゲ達との戦闘後のカービィ達がやって来た。 オーサー卿とノイスラート卿に気付いたメタナイト卿は彼らに声をかける。 「!?オーサー卿とノイスラート卿…!何故ここに…?」 「説明は後にさせていただこう。今はこの魔獣を…」 ガギィィィィンッ!! オーサー卿ら2人の攻撃を弾いてガメレオアームとマスコローゾは宙返りをし、後退した。 「やめだ、やめ。ライオンくん、今日はもうやめにしよう」 「なんだと…?」 ガメレオアームの急な判断と心変わりに、マスコローゾだけでなくカービィ達も驚いている。 「カービィ達が何故傷付いているかは知らないが、今の怪我を負っている俺が宝剣ギャラクシアの使い手を相手にしたら確実に死にそうだからな。グリルに誓ってこんなところで1つ命を無駄にしたくは無い。それからフーム。俺とお前で愛の…」 「お断りするわ」 「違うな。…いや、いい」 ガメレオアームが話し終える前にフームは彼のことを一蹴し、少し残念そうな顔をしてガメレオアームは何か言いかけたが途中で言葉を止めて姿を消した。 「フッ…命拾いをしたな」 マスコローゾも姿を消したガメレオアームに続き跳躍し、その場を離脱する。 「どうやらあの魔獣達は逃げて行ったようだ…」 「一先ずは安心したが…メタナイト卿。城の者から聞いたが、もしや貴方はヤミカゲと…?」 オーサー卿はガメレオアームたちの気配が消えたことを再確認すると剣を鞘に収め、カービィ達の方に身体を向けた。 そしてノイスラート卿がメタナイト卿に戦った相手のことについて尋ねる。 「うむ、私達を攻撃してきたのはヤミカゲと彼の部下の忍者達だった…。だが彼は死んだ」 「カービィが倒したのか…?」 ヤミカゲが死亡したことをメタナイト卿の口から聞いてオーサー卿は驚いた。 「いや…正確にはヤミカゲは魔獣化して我々に戦いを挑んでくるも、カービィによって重傷を負い、グリルにトドメを刺されて息絶えた…」 「そうか…。奴はMTSのことについては何か知っていたのか?」 MTSについての情報を集めているオーサー卿はヤミカゲがMTSから何か情報を手に入れてたのかと考え、メタナイト卿に訊いた。 「彼はMTSのことについてはまだ知らないと言っていた。あの男は私達との戦いの後でMTSと協力関係にあるのを利用し、逆に彼らに取り入ることを考えていたが、MTS側からも信用されていなかったようだ」 「戦士団の裏切り者が、まさか協定を結んでいた相手に逆に裏切られて最期を迎えるとはな……」 ヤミカゲの死に様と、彼がMTSに行動を疑われていたことをメタナイト卿から知らされたノイスラート卿は、少し冷めた口調で皮肉る。 「メタナイト卿、事情は把握した。私達がこの星に来た訳は…いや、ここで立ち話を続けるのも良くないな。申し訳ないが、城の貴方の部屋へ案内はしてもらえぬだろうか…?」 オーサー卿の提案にメタナイト卿は頷き、話の続きをデデデ城のメタナイト卿の自室ですることとなった。 〜デデデ城 メタナイト卿の部屋〜 カービィ達はメタナイト卿の部屋に戻り、傷の手当てをしたメタナイト卿はオーサー卿とノイスラート卿の2人と話の続きをしていた。 その横でカービィも傷を治療してもらい、フームはバイオスパーク達によって散々な目に遭った為今回の戦いに参加していなかったナックルジョーとシリカの2人の心配をしている。 「2人とも大丈夫?」 「あぁ、休んだらかなり良くなったぜ。でも悪かったな、今回は一緒に戦うことが出来なくて…」 気遣うフームに、調子が戻ってきたナックルジョーは元気そうな様子を見せたが、同時に一緒に戦うことが出来なかったことには申し訳なさそうにしていた。 メタナイト卿とオーサー卿とノイスラート卿の3人は、オーサー卿が中心となって会話を続けている。 「…メタナイト卿。先程の話の続きだが、まずは単刀直入に言わせてもらう。MTSの首領は、銀河大戦当時に貴方やガールードらを支援してくれたという、マジカルーマ族の少年…………マルクだ」 「なッ…何ッ…!?」 突然オーサー卿の口から出た言葉にメタナイト卿は驚愕し、周囲の者も固まっていたが、ただ1人シリカがオーサー卿に詰め寄り、掴みかかった。 「ちょッ…と…それは本当なんですか、オーサー卿!?私の母さんやメタナイト卿を助けた人が、今の敵の首領って!?」 「シリカ!落ち着いて話を聞け!!」 母親に関係したことで冷静さを失い大声を張り上げるシリカを、ナックルジョーが後ろから羽交い絞めにする。 羽交い絞めにされたシリカはジョーの言葉を聞いて少し冷静になり、オーサー卿を掴むのをやめて黙った。 「我々の方でMTS所属らしい小悪魔のような生物を、1日前に秘密裏に捕えてな。その小悪魔は『帰ってもこのままでいてもどうせ殺される』などと、自暴自棄になりながらそのように言った」 「『殺される』…?彼が何故…」 「それ以上は何も話さない。MTSの目的などはどうやら組織の者全てが理解している訳ではないらしい。あとは『どうせ殺される』と繰り返し言っているだけだ」 「ば…馬鹿な……ほ、本当に…あのマルクが…!?か…彼に一体…何があったというのだ……!?」 メタナイト卿は銀河大戦時に自分やガールードを助けてくれたマルクが、現時点での最大の敵であるMTSの首領だと聞かされ、珍しく激しい動揺を見せていた。 「メタナイト卿……貴方が動揺するなんて、らしくないわ…」 そんなメタナイト卿にフームは優しく声をかける。 「…とにかく、後のことも私達の方で調べておこう。メタナイト卿は…MTS関連のことで変わったことは?」 「……先程の話の中ではヤミカゲの死のことについての話を優先した為話しそびれていたが、ヤミカゲは数日前に私達と共に戦った戦士の1人であるクレイトス卿が生きている、と言っていた」 冷静さを取り戻したメタナイト卿はオーサー卿に、ヤミカゲから聞いたクレイトス卿のことを話した。 「なに?それは誠か?」 「わからない…だがヤミカゲは星々を渡り歩いている間に何かを知ったのかもしれん」 「だがそのヤミカゲはもうこの世にはいない。詳しいことを知る一番簡単な手段は失われたな…」 メタナイト卿の推測に、ノイスラート卿は残念そうに肩を落とす。 「…わかった。私達の方でそのことについても調べておこう。ヤミカゲが遺した貴重な情報だ。調べる価値はある」 「頼む」 メタナイト卿はオーサー卿自身の提案で、ヤミカゲが言っていたクレイトス卿のことについて調べるのを彼に任せた。 「それから、ジョー、シリカ。君達2人に渡したいものもあるのだ。こちらに来てもらえぬか?」 「なんだ?」 「…なんでしょう?」 オーサー卿は自身がノイスラート卿と共に乗って来た宇宙船が着地している場所にメタナイト卿とナックルジョーとシリカの3人を連れて行く。 宇宙船にオーサー卿は入って行き、まずは外で待つジョーに赤い色に金色の淵がある2つの肩当てを見せる。 「ナックルジョー、君にはこの肩当てを渡そう。これはこの間私達に会いに来てくれた君の師であるバウファイター殿と、君と同じくバウファイター殿の弟子の少年が君に渡すよう頼んできた物だ。なんでも、『ジョーに渡すのを忘れておったわい』とか言っていたな」 「(爺さん…肝心なこと忘れたりとかしてて大丈夫なのかな?デッシーが支えてくれてれば良いんだけど…)」 ナックルジョーは肩当てを見せられ、オーサー卿の話を聞いてバウファイターのことが内心心配になっていた。 「…?ジョー、どうかしたの?」 バウファイターのことを考えて意識が飛んでいるナックルジョーにシリカが声をかける。 「はッ!?じ、爺さんからか。有難う、受け取っておく。爺さんにもよろしく伝えておいてくれ」 シリカに声をかけられてジョーはオーサー卿から肩当てを受け取り、それを両肩に装着する。 「結構良い感じだ。肩やられると腕の機能までやられちまうし、これは助かるぜ」 バウファイターからの肩当てをナックルジョーはすぐに気に入った。 「それからシリカには、少し大きいがこれを…」 次にオーサー卿が宇宙船から取り出して来てシリカに見せたものは、彼女にとってどこかで見覚えのある、水色で鳥を模したようなマシン。 「これは…確か……」 「ナイトメア要塞が破壊されたことで機能しなくなり、MTSの目が届いておらず廃墟になっていたナイトメア支配下の施設に余っていたエアライドマシン・ウィングスターだ。カービィ、メタナイト卿、ジョーの3人とは違い、空を飛ぶ手段を持っていない君には必要だろう。持っておくと良い」 「し…しかし…これは普段持ち歩くのが大変なのでは……」 人1人が乗れるほどのサイズであるウィングスターを普段から携帯しておくなんてのは、確かに無理な話であろう。 「いや、大丈夫だ。このエアライドマシンは持ち主である君が必要な時に念じれば、すぐに君の元にやって来る。暫くは使いこなせるように練習すると良い」 「…はい!有難うございます!!」 シリカは説明を聞いた後ウィングスターを受け取り、オーサー卿にお礼を言った。 「シリカ。後でウィングスターはカービィのワープスターと共にカブーのところへ置きに行こう」 「わかりました、メタナイト卿」 メタナイト卿の提案を受け入れるシリカ。 そして、宇宙船の近くにカービィ、フーム、ベニカゲ、ツキカゲ、ノイスラート卿の5人もやって来た。 「さて、私とノイスラート卿はこの後この星の別の国へと向かうとしよう」 「…と言うと?」 「この星には、この国とは違うところにもう1人強い戦士がいるそうだな」 「は?もう1人俺達の仲間がいるのか?」 メタナイト卿の疑問に答えたノイスラート卿の発言に、ナックルジョーは頭を傾げる。 「君達は知らなかったな。前にナイトメア要塞に潜入した際に持って来たデータに記録されていたが、カービィに憧れて星の戦士を目指している『ボンカース』という男がいるらしい。その男と接触を図りたいのだが…」 「ボンカース?」 「前にカービィに会いに来たことがある、見た目はゴリラみたいに厳ついけど、力持ちで心優しい男性よ」 「へぇ〜…そんな奴がこの星に…。で、オーサー。あんたはそのボンカースに会ってどうするんだ?」 フームから話を聞いて、ナックルジョーは納得しつつオーサー卿にボンカースに会った後のことについて問う。 「彼を説得して、私達の元へ来ないかと誘うつもりだ。MTSと戦うには、少しでも多くの協力者が必要だからな」 その説明にナックルジョーは黙って深く頷いた。 「…拙者には何が何だか……」 「………」 フームの横にいたベニカゲとツキカゲは話について行けず、口数が減っていた。 そんな彼らを気遣ってかオーサー卿は2人に声を掛ける。 「君達2人は、見た所ヤミカゲを倒すのに協力をしてくれたみたいだな」 「あの黒い奴には拙者、個人的なこともあって…」 「個人的?」 「ベニカゲは…」 「言うなあぁぁ!!」 フームがオーサー卿に説明をしようとしたところ、ベニカゲはそれを必死で止めた。 止められたフームはベニカゲに小声で話す。 「別に良いじゃない…事実は事実でしょ?」 「役に立てなかったことが恥ずかしいんだ…」 「………」 「どうかしたのかい?」 「彼、前にこの星にヤミカゲが来た時に襲われたことがあったの。それでカービィ達に協力してくれて…」 小声で話した後フームはオーサー卿に、ベニカゲが嫌がった部分には触れずにごまかした。 「成る程…そうだったのか」 「ホッ…」 納得したオーサー卿を見てベニカゲは胸を撫で下ろす。 「では君達。私とノイスラート卿はボンカースという男を探しに別の国へ行くとする。カービィ、メタナイト卿、ナックルジョー、シリカ。奴らの攻撃はこれから激しくなる一方だろう。私達も出来るだけサポートをする。メタナイト卿、次の情報交換の時にはいつも通り通信を入れよう。隠居しているダコーニョ軍曹にもよろしく伝えておいてくれ」 「うむ」 「ぽよ!」 「今回の用が済んだ後は、必要であればこちらからまたこの星に向かおう。それではな」 オーサー卿とノイスラート卿の2人は宇宙船に乗り込み、宇宙船はそのまま飛び立っていった。 「ぽよ〜〜!!」 「さよなら〜!!」 飛び立つ宇宙船を、手を振って見送るカービィとフーム。 その横で、ベニカゲとツキカゲも出かける準備をしている。 「じゃ、拙者達もまた修行の旅を再開するよ」 「ベニカゲ、ツキカゲ。今回はカービィ達を助けてくれてどうも有難うね?」 「い…いやぁ…もう礼は良いから。拙者達もまた来る時があったら来よう。その時は今回みたいに偶然通り掛かるんじゃなくて、助ける為とかの目的を持ってだな。ツキカゲもそれで良いだろ?」 「勿論。また助けになれるなら是非とも…!」 「それじゃあ、今度こそ忍者らしく…カッコ良く決めよう…!!」 そう言いながら、ベニカゲは球状の物体を忍者服から取り出し地面に叩き付ける。 「さらばッ!!」 ボフッ!! ベニカゲが叩き付けた物は煙玉。 白い煙が噴き出して、煙が晴れるとベニカゲとツキカゲの姿はもう消えていた。 「今回は決めてくれたわね…」 前回は煙玉で消えた後、川へ落ちて失敗していしまっていたベニカゲであったが、今回はそのような失敗は見せなかった為、カービィとフームは彼が成長していたことを改めて実感した。 「…次からはまたグリルが陛下を通じて魔獣達を送り込んで来る。気は休まることはないぞ、カービィ」 「ええ。カービィ、頼んだわよ!」 「ぽよ!」 メタナイト卿とフームの言葉に、しっかりとした声で返事をするカービィ。 ――銀河戦士団を裏切った忍者・ヤミカゲは死んだ。 だがそれは1つ壁を乗り越えただけに過ぎない。 MTSにはまだまだ強敵が控えている。 それらとの戦いに向け、カービィ達星の戦士は決意を新たにしたのだった…。 |